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「自民の悪事を暴いて牢屋に入れよう」衆院選で政権交代が実現する唯一の公約

2012年に行われた第46回衆議院議員総選挙の圧勝以来、長きに渡り政権与党として君臨し、数々の疑惑が噴出するも全てを数の力で握り潰してきた自民党。もはやこの国の民主主義は、すっかり形骸化してしまったと言っても過言ではありません。このような状況を打破する術は残されているのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の世界的エンジニア・中島聡さんが、東京新聞の望月衣塑子氏のツイートにヒントを得たという、次期衆院選で野党が必勝するために掲げるべき公約を提案。さらに野党に対して、具体的な選挙戦術と政権交代後すぐに取り組むべき課題についても提言しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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日本に政権交代が必要な理由とその実現方法について

私がブログをあまり書かなくなった一番の理由は、原発や自民党の批判をすると、すぐに「お前は左翼か!」と噛み付いて来る人たちがいるから、ということはここでも以前に触れたことがあると思います。彼らは「ネトウヨ(ネット右翼)」と呼ばれる人たちで、その多くは自民党に(もしくは自民党が雇った電通に)雇われた人たちだ、というのが今では常識になっています。

私自身は、人権に関してはリベラルな発想を持ち、夫婦別姓は認めるべきだし、女性や社会的弱者の差別は徹底的に排除すべきと考えていますが、こと経済に関しては、可能な限り政府が関わらない自由競争が好ましいと考えているし、政府は小さい方が良いと考えているので、その面では、保守的な考え方を持っています。

そんな私にとっての理想は、米国のように2大政党が拮抗する状態です。二つの政党の力が拮抗していれば、選挙の結果を決めるのは、私のような中間層なので、保守側の党があまりに保守的な政策を推し進めれば、お灸を据えるべく次の選挙ではリベラル側の党に票を投じることができるし、その逆も可能になります。

そんな形で政権が時々入れ替わると、今の自民党のように好き勝手なことをしていると、その悪事が政権が変わった時に白日の元にさらされることになるため、下手をすると、その人たちは牢屋に入ることになります。そのリスクが歯止めとなって、政治家が好き勝手なことをしなくなるのが、2大政党制の一番のメリットとも言えます。

特に今回は、森友学園、加計学園、東京オリンピックにまつわる買収事件、政権と電通とパソナの間の癒着など、長期間続いた安倍政権の膿が山ほど溜まっているので、政権交代さえ起こせば、彼らがした悪事を白日の元に晒して、悪徳政治家を政界から一掃し、シロアリのように税金にたかっている電通やパソナにお灸を据えることすら可能なのです。

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そんなことを考えていた時に、目に飛び込んできたのが、東京新聞の望月衣塑子氏のこのツイートです。

これは素晴らしいアイデアだと思います。野党は、原発・消費税・地球温暖化・夫婦別姓などの、野党内部ですら意見が分かれる政策を掲げる必要は一切ないのです。次の選挙の争点は、「政権交代による膿出し」一点に絞るべきなのです。野党が一丸となって、この一点だけをひたすら連呼し、「ここでお灸を据えなければ、政治家はますます好き勝手なことをするし、電通やパソナは税金の甘い汁を吸いづつけるだけ。この問題を解消する唯一の方法は政権交代。そのためには一人でも多くの人が票を投じ、自民党にNOを突きつけるしかない」という一点の曇りもない、誰にでも分かるメッセージを国民に伝えるべきなのです。

理想的には野党は一つにまとまるべきですが、(どんなに素晴らしいことを言っていても)「共産主義」の看板を掲げる共産党とだけは組めない人がいることも理解できるので、まずは立憲民主党あたりを中心に一つの大きな野党を作り、自民党+公明党 vs. 立憲民主党+共産党の4大政党の図式を作り、上に書いたシンプルなメッセージで、政権交代を起こし、最初の100日で徹底的な膿出しを行うべきなのです。

それが実現して初めて、国民は「票を投じて時々政権交代を起こす」ことの重要さを学ぶし、政治家たちは政権交代時に開示されることを恐れて悪事が働けなくなります。

一つ付け加えておくと、電通のような広告代理店に税金を流すことを許してしまうと、その返礼として政権を握っている党に有利になる世論操作を行うことが出来てしまうので、とても危険です。

特に怖いのが、自民党が計画している憲法改定です。電通が本気になれば、多くの人々の意見を「改定に賛成」側に動かすことは十分に可能です。特に最近は、インフルエンサーのSNSでの発言が世論に与える力が大きいので、インフルエンサーを雇って、彼らに「今の憲法は時代遅れ」「この憲法は米国に押し付けられた」などの発言をさせるだけで十分に人々の見方を変えることが可能です。

自民党が政権を握っている限り、持続化給付金事業のような仕組みで電通に大量の税金を流し込み、その返礼として憲法改定に向けた世論操作を電通にさせるだろうことは、火を見るよりも明らかです。

そんな横暴をさせないためにも、ここは何がなんでも政権交代を実現し、汚れ切った日本の中枢にメスを入れるべきなのです。

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最後に野党の人々に一言。今の日本にとって、日本の中枢の腐敗を正すことが何よりも大切です。それと比べれば、野党間の政策の違いやイデオロギーの違いなど、些細な話です。消費税、エネルギー政策、少子化などを今回の選挙のトピックにしてはいけません。そんなことをすれば、野党は一致団結できなくなるし、自民党につけ入る隙を与えてしまいます。

ここぞという時には「引き算」をすることもとても大切なのです。今回の選挙では、「政治の腐敗是正のための政権交代」だけを政策に掲げて、野党一丸となって戦ってください。それこそが自民党のアキレス腱なので、そこだけを徹底的に攻めるべきなのです。

分かりやすいメッセージで2016年の選挙に勝ったトランプ氏に学ぶのであれば、「安倍晋三の悪事を暴いて牢屋に入れる」ことを公約として掲げても良いと思います。「電通を税金を使うすべての事業から排除する」でも結構です。そして「安倍晋三を牢屋に入れるために選挙に行こう!」をキャッチフレーズにして、普段選挙に行かない人たちに、票を投じてもらいましょう。

そして、政権交代を実現した際には、少なくとも最初の1年間は、本気で自民党の悪事を暴き、役所の文書を黒塗りなしで公開し、電通やパソナのような悪徳企業を、政府が絡む事業から排除することに専念してください。具体的な政策の議論は、その後で結構です。

日本は、90年代のバブルの崩壊以来、30年以上に渡る低成長期に入り、そこから脱却出来る気配をいまだに見せません。その主たる原因は、保守的なサラリーマン経営者が経営する国際競争力を失った企業が、さまざまな利権にしがみつくことによりいつまでも生き残り、それがベンチャー企業の活躍を阻み、人材の流動化を妨げていることにあります。

日本企業の多くは、単に「内向き」なだけでなく、「いかに政府から流れてくるお金を手に入れるか」に最適化してしまっているのです。電通やパソナはもちろんのこと、土木建設業、ITゼネコン、介護産業などにもそんな企業が溢れているのが日本の現状です。

利権政治は、自民党に限らず、一つの党が長い間政権を維持すると必ず生じてしまうのです。その利権政治の罠から日本を脱却させるには、数年おきの政権交代を起こすしかないのです。

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image by: 首相官邸

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