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「遅発性副反応」のデータを明かさぬワクチンキャンペーンの問題点

デルタ株による新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、緊急事態宣言の範囲を拡大しても実効性は乏しく、実質的に政府が頼みとするのはワクチンのみ。ならば「副反応」について、詳らかに情報開示すべきと主張するのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは、政府もメディアも接種直後から2日後くらいまでに起きる副反応に関しての説明はあるものの、1週間から10日後に発症する「遅発性副反応」の説明がほとんどないことを問題視。実態を誠実に説明し確実な補償もセットにしなければ不信感は拭えず接種率向上など望めないと苦言を呈しています。

副反応のこと

ワクチン接種による副反応はその発症時期から大きく3つに分けることができる。将来何年後かに起こるかもしれないもの(将来性副反応)、1週間から10日後に起こるもの(遅発性副反応)、接種後すぐに起こるもの(急性副反応)の3つである。

このうち将来性のものは今は語りようがない。急性のものに関してはメディアで多く大きく取り上げられている。問題は遅発性のものである。これに関しては全くと言っていいほど情報がない。試しにインターネットで調べてみても山中伸也氏による発信があるばかりでその他と言えば自治体が独自に調査しているものくらい(それも調査結果ではなく調査用紙など)である。

現在自分が知り得る範囲でこの遅発性副反応について説明すると、その症状は発疹・発赤などの皮膚症状、倦怠感などの全身症状、抑うつ・希死念慮などの精神症状と多岐にわたっている。特に皮膚症状に関しては写真で見ただけではあるがちょっと目を背けたくなるほどである。また精神症状に関しては何となくインフルエンザ治療薬の副反応に似ており今後の研究を待ちたいところでもある。

大体、発症後1週間程度で軽快に向かうようだが、治療には抗ヒスタミン剤、ステロイド、抗生物質などが使われており、対症療法的にも一筋縄ではいかないさまを物語っている。前2剤は免疫系を抑える薬であり、抗生剤は細菌等を殺し免疫系を助ける薬である。相反する効果の薬剤を適宜使い分けなければならないのである。

それにしてもワクチンキャンペーンを進めて行く過程でこういった負のデータを詳らかにしないところは如何にも不誠実な気がしてならない。そもそも健康体(特に若者)の人に異物を注射して人為的に何らかの病的状態を生じさせている訳である。誠実な説明と確実な補償は、何を置いてもまず第一に重要なことであろう。

接種に迷っている人には、それをすることによるメリット・デメリット、それをしないことによるメリット・デメリットをデータに基づいてできるだけ詳しく説明し、最終的には個人が自由意志でもって決定できるようにしなければならない。そこに社会的な強制力が働くようなことになっては絶対いけない。

そしてワクチンキャンペーンを全国民的に進めたいなら、デメリットをできるだけ小さくする努力をしなければならない。それには確実な補償が必要である。例えば副反応として認めるか否かの審査も、因果関係レベルではなく相関関係レベルで行うこととすればそれだけでも受ける側の気持ちは随分楽になる。ワクチンを受けたから具合が悪くなったのに、因果関係が証明できないなどと言われて次回審査に持ち越し持ち越しされれば当事者としては堪ったものではない。

もっと言うと、副反応の重さによって補償金を前もって決めておくなどすればさらにいい。例えば副反応症状が1週間を超えるごとに10万円給付といった具合にである。またこういった施策によって正確なデータの回収も可能となるので、取引としてもそんなに悪くはない。このデータが新たなワクチンの研究開発、さらには新たな感染症対策に大いに役立つことは言うまでもない。公衆衛生への先行投資と考えればいい。

人が、他人や周囲から頻りに勧められる何かに対し不安を覚えるのは不信があるからである。国が本気でワクチン政策を進めたいならこの不安の原因を少しでも減ずる努力をすることである。前にも言ったが、それには誠実な説明と確実な補償を置いて他にはない。

しかしながら今の政府の態度は「この状況が続くのが嫌なら黙って注射を受けろ」と脅しているかのようにも見える。ワクチン以外は何もしていないのだからそう見えるのも当然である。そこには誠実な説明も確実な補償もない。これでは不信は永遠に拭えない。何もせず何も語らずして誰かを納得させるなど幻想に、そう、ただの幻想に過ぎないのである。

image by: Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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