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ミュー株の脅威で終わらないコロナ禍。いま日本が検討すべき6つの対策

先進国でのワクチン接種率は上昇してはいるものの次々と変異株が現れるなど、一向に収束が見通せないコロナ禍。このような現状にあって、我が国はこれから先、いかなる考え方を持ちどの方向へ進んでゆくべきなのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、「構築すべきはウィズコロナ社会」とした上で、そのために検討すべき6つの対策を提示。さらに自民党総裁選の行方についても解説しています。

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ウィズコロナ社会の構築

何人かの総裁候補の政策が出てくるが、一番の争点はウィズコロナ対策である。

ウィズコロナ対策には、有事法の体系を作るしかない。ロックダウンができることやCDCを作ること、医療機関に命令できる権限を知事に付与するなど、国民の生命を守る法体系にするべきである。

もう1つが、有事法で、ロックダウンなどの有事の給付はチェックなしで行い、後で返還を迫る法体系にする。勿論デジタル化で、チェックできるようにした方が良いが、それができなくともすぐに給付することである。法体系を有事法体系と平時法体系とに分けるべきである。自衛隊法も有事と平時を分けるべきである。

2番目の争点は、経済政策や成長戦略である。ウィズコロナでの経済体系を前提にした施策が必要であり、コロナ禍でコト消費からモノ消費に消費が世界的に転換している。

中国はサービス業に大きな制約をかけて、モノ消費に戻し始めている。米国もコロナ禍が長引き、サービス業の雇用が減少している。

そのため、IT産業(特にEC、ゲームなど)や製造業(特に半導体、自動車)は活況であり、コト消費からモノ消費にシフトしてきている。この傾向は、当分続くと思う。このため、アベノミクスのような金融緩和だけでは、経済規模は大きくならない。

製造業では、日本企業は海外に工場を展開したが、そこでコロナ禍になると、ワクチンなどの対応ができずに、長期間のロックダウンになるので、ワクチン対応などがスムーズな国内回帰や先進国展開を必要としている。

製造業の復活で、素材や海運なども活況になり、一時的に昔に戻ったような経済になっている。日本企業の復活のチャンスでもあるので、政府は産業政策を作り、その上で研究開発費支援を行うべきである。

それと、中国の有能な技術人材引き抜きをどう止めるかである。有能ではない技術人材の引き抜きは止めないことも必要である。有能な人材をどう判定し、優遇措置を取るかが重要な視点になる。その他には、ハッカー対策、スパイ対策も必要になる。要するに、経済安保法制の整備が必要である。

ミュー株でベルギーでは、2回ワクチン接種した人も多数死んでいるようであり、変異種の影響で今後とも数年の間、コロナ禍を抜け出せない。WHO(世界保健機関)もミュー株を「注目すべき変異株」に分類し、警戒を強めているが、ワクチンの「死亡予防効果」を減退させる恐れが出てきている。ということで、コロナ禍は当分続くとみて、経済政策を構築するべきなのである。

3番目は、高齢化少子化対策である。製造業を日本に回帰させると、その労働力が不足することになる。今までは移民を入れずに、工場を発展途上国に持っていき、労働力不足を回避してきたが、今後は、逆に日本に移民してもらい、労働力不足をカバーするしかない。

このためには、難民もある程度入れるしかない。特にアジア圏の難民を受け入れていくことが必要になる。欧州は中東やアフリカの難民を入れている。米国は中南米からの難民を入れている。日本はアジアからの難民を受け入れるしかないはずで、国際会議で日本の責任が問われかねない。

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4番目には、米中対立での日本の立ち位置である。日米同盟を堅持して、その上で中国とも付き合うことであるが、人権問題や覇権問題には、ある程度対応していくしかない。欧米との関係が独裁国中国との関係より重要であるからだ。

企業も日本の対中政策を見通して、中国市場向け製品のみを中国国内で作る方向でシフトするしかない。早く投資回収をするべきであるし、高度技術製品の製造は中国ではしないことである。社会主義化が進んでいるので、早期に撤退するべきである。

5番目は、金融財政政策であり、それで必要なのが、米国や中国のバブル崩壊時に、どのように影響を最小限度に抑えるかでしょうね。中国の不動産企業の株価が暴落している。中国のアパートは高額であり、そのほとんどが投資目的なので、住んでいる人も少ない。

この不動産価格の暴落がいつ起きても不思議ではないし、不動産のバブル崩壊は、中国経済に大きな影を落としてくる。日本の1990年を見れば、その怖さがわかる。中国進出の企業は撤退も考えておくことである。

もう1つが、米国株価の上昇が続いているが、PER30倍まで行きそうである。日本株価はPER13倍であり、その差が大きい。この米国株バブルもいつか崩壊することになる。その時、日本株も下落するが、経済的な影響を最小化する必要がある。日本人が大量に米国株に投資をしているが、その影響がどう出てくるのか、今から検討しておくべきでしょうね。

そして、まずするべきは、日本株バブルを起こさないことである。そのためには、PERが20倍程度になったら、日銀はETF売りを行うべきであるし、逆にPERが10倍か株価が25,000円割れになったら、ETF買いをすることである。

米国が金融緩和、特に量的緩和を行っている時には、安易な増税をしてはいけないし、利上げもするべきではない。このようなことをすると円高になり、製造業を潰すことになる。日米経済はつながっているので、米国経済政策に連動した政策が必要である。

特に岸田さん支持の知識人に財政均衡主義の人がいるので、注意が必要である。日本経済をつぶすことになる。日本一国主義経済ではないことを肝に銘じてほしい。しかし、米国や中国のバブル崩壊の影響を小さくすることは必要である。このバランスを取った金融財政戦略が必要になる。

6番目は、地球温暖化とそれに伴う災害対策である。地球環境が毎年おかしくなっている。この状況を放置できない。太陽光発電や風力発電などの開発は重要であるが、それだけでは電気が足りない場合は、どうするかが問題になる。

風力発電は地域偏在性が高く、その電気をどう運ぶかも問題になるし、平地の少ない日本では、平地は食糧生産に回すしかなく、山地に太陽光発電となる。このため、安全性などの問題を規定する必要がある。マイクロ水力では水利用の法律を改正する必要がある。1つ1つ問題を解決して、積み上げていくしかない。

このため、再生可能エネルギー開発が進むまで、小型の安全性が高い原子力発電も使用するしかないことも視野に、安全性の高い原発の利用も考えておく必要がある。

電気があれば、EVや水素自動車が走ることができる。その全体体系を検討しておく必要がある。

それと、洪水や山崩れの危険地域での住宅開発は禁止するべきであるし、危険地域の開発をする宅地業者を処罰する法律を作るべきである。また、現時点で危険地域に住む人には、立ち退きをさせるしかない。土地を国や地方自治体が安く買い取ることである。

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自民党総裁選挙は

菅首相が総裁選挙に出ないとしたが、党役員人事を行おうとしたが、役職に応じたのは、小泉進次郎議員しかいなかったようだ。河野さんも応じなかった。このため、党役員人事が暗礁に乗り上げた。

小泉さんが、二階派、細田派、麻生派、竹下派を回ったが、菅さんを押す派閥はなかった。このため、小泉さんが菅さんに総裁選挙での再選がなく、大負けになるので、辞退した方がよいと進言したようだ。

とうとう、菅さんの自分に都合が良い強引な党運営に、自民党の議員たちがダメ出しをしたことで、辞任になった。

小手先のコロナ対策に終始した菅政権であった。国民が望む抜本的な対応策を取るべきであったと思うが、残念なことになった。

ということで、総裁選挙には、岸田さん、高市さん、河野さん、石破さん、茂木さんが出るのであろう。

党員選挙では、河野さんと石破さんが多数を取ることになるが、麻生派は分裂する。河野支持派と反河野派に割れる。河野支持派は、今後河野派としての活動をしていくことになる。麻生さんは、このため引退せざるを得ないようだ。世代交代になる可能性がある。

今度の衆議院選挙で、二階さんも引退になる。自民党は、衆議院選挙で大負けか小負けになり、どちらにしても引責辞任となる。それを読んでいるから幹事長交代を容認したのである。しかし、次の幹事長は難しいとも読んでいたのであろう。事実、菅さんは党役員人事ができずに沈没した。

衆議院選挙での負けを織り込んでも、どの線の負けで自民党総裁の責任とするかが次の問題になる。もし、高いハードルなら、衆議院選挙後にまた総裁選挙となるし、そこには今回当選の総裁は出られない。そこまで待った方が良いことになる。

その問題があるのに最初に立候補した岸田さんは、非常に偉い。このアドバンテージは大きいはずである。よって、本命は岸田さんだとみる。衆院選挙のハードルも低くするはず。

しかし、選挙の顔としては高市さんが良いと、安倍さんは判断して高市さんを支援するという。安倍さん支持のタカ派知識人達は、アベノミクスを掲げる高市さんを推奨している。

高市さんは、今後の候補であり、一定数をとれば今回は成功であるが、細田派が一致して支援すると、面白いことにはなる。支持が広がるとも思えないが、ツイッターなどでタカ派知識人たちは、気勢を上げている。

河野さんは、自派閥を構築するための立候補であり、党員からの人気を石破さんから奪えるかどうかである。もし、最初の投票で過半数を岸田さんが取れないと、2位に付ければ、河野さんにも将来的にチャンスが出る。

石破さんは、自民党内野党という位置づけであり、党員選挙で過半数を取らないと難しいが、人気があるので、一部自民党議員が加担する可能性はある。総裁にはなれないし、次期政権でも干されるが。

もし、岸田さんが首相になるなら、官房長官は河野さんが一番適任となる。河野さんと菅さんの無茶ぶりは一緒であり、政策実行力は大きいからだ。岸田さんの大所高所からの判断と実行力の河野さんで、安定的な政権ができると見る。

しかし、そのような政権ができると、安倍前首相の3度目の首相就任ができないと見て、高市さんを支援するのであろう。タカ派知識人たちの派利派略だ。岸田さんには、リベラルな知識人達が付いているから、タカ派知識人は近づけない。

しかし、トランプさんが再度大統領になったら、世界広しと言えど、手玉にとれるのは安倍さんしかいない。岸田さんでは無理である。よって、安倍さんの3度目の首相就任の可能性はある。

さあ、どうなりますか?

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image by: StreetVJ / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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