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おにぎり1個50円。元路上生活者が赤字ギリギリで食堂を続けるワケ

元ホームレスの店主が、貧困家庭の子供たちのためにと赤字ギリギリでも歯を食いしばりながら運営を続ける「50円おにぎり食堂」。そんな善意で成り立っている店舗が今、存続の危機に立たされています。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、その設立までの歩みと存在意義を紹介。さらにこの食堂の消滅が意味することを綴るとともに、存続のための支援を強く訴えています。

元ホームレスが切り盛りする、50円おにぎり食堂

人は悩み、人はさまざまな事情を抱えて、時にはホームレスに身をやつすこともあります。その迷宮から抜け出すことは容易ではなく、何度も自分と戦い、傷だらけになりながら、そこで力尽きてしまう人がたくさんいます。

しかし、中には奮起し、社会復帰を果たす人もいます。

愛知県名古屋市のある区役所の一角に、おにぎりや惣菜を50円で販売するお店があります。このお店の主も、ホームレスから這い上がったひとりです。

学校卒業後、28歳まで会社勤めをしていましたが、働きづめであることに疲れ、退職。就職先を探していましたが、気力を喪失。人生の迷子になってしまい、7、8年ひきこもり状態に。その間に親とのいさかいもあり、家を出て路上生活、ホームレスとなります。

多少の蓄えもあったので、1日100~200円でやりくりし、5年間ホームレスを続けてしまいました。その後、ホームレス支援の情報誌「ビッグイシュー」に出会い、その販売で、徐々にホームレスから脱却することに成功。

その頃、「子どもの貧困」というニュースを目にしました。年収200万円前後の低所得世帯の子どもが、小学校のひとクラスに6、7人いるというものです。このニュースに大きな衝撃を受けたと言います。

生活困窮者は自己責任だ、という批判はありましたが、その子どもには何の罪もありません。そう思った店主は、そんな子どもたちを助けなければいけないと感じ、行動に移します。知っていたNPO法人の協力を得て、食堂を開店することにしたのです。

料理を学んだことはなかったのですが、料理をすることは元々好きで、家庭料理の延長なら、自分でも何とかなると考えたのです。おにぎりをメインに、だし巻き玉子やおでん、肉・魚の煮物、揚げ物、炒め物、サラダなどの惣菜を毎日10品ほど並べています。

これらのほとんどが50円。

子どものお小遣いでも買うことができるように、苦しい生活をしている人でも気軽に買うことができるように、この金額にしています。

当然ながら、赤字ギリギリ。それでも、困っている人たちを助けるためならばと、歯を食いしばっているのです。

お客さまは、子ども連れだけではなく、近くの職場で働くOLや自分で作るより美味しいからと言う女性、自宅で作ると高くつくと言う高齢女性などが、毎日のように並んでいます。イートインスペースも10席ほどあります。いまや、この地域になくてはならない存在となっています。

このお店の主旨を知ってい人は、野菜などの食材を差し入れしてくれたり、寄付をしてくれたりします。みんなに支えられているのです。

しかし、この有意義な活動に存続の危機が訪れています。場所を貸してくれている区役所が移転することになり、残り1年ほどで閉店せざるを得ないのです。その先が、まったくの未定なのです。

無料あるいは安く借りられるスペースがあるのかどうか。普通に探すだけでは、そんな場所に出会うことは不可能です。支援者が必要なのです。場所を提供してくれるか、資金援助をしてくれる人や企業を探さなければ、この食堂は消えて無くなります。困る人が大勢出てくるのです。

ぜひとも続けて欲しい活動です。いま助けられている人を再び不幸にすることは、絶対に避けなければいけません。人助けのためにお店を開いた店主を見捨てることなど、できないのです。

支援者が現れることを強く望みます。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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