消費税の増税時にポイント還元の施策で加速し、コロナの流行により現金のやり取りを敬遠することで、一気に定着した感のあるキャッシュレス決済。この2年でどういったものがよりキャッシュレスで消費されるようになったのか、「キャッシュレスデータで見る、2021年ヒット消費番付」を三井住友カードが発表しました。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、著者の理央さんがこのデータの読み取り方を解説。変化の状況を正しく掴めば掴むほど、次の手を打つ時に当たりやすくなると、こうしたデータとの向き合い方を伝えています。
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消費ヒット番付に見るデータの読み取り方
三井住友カード株式会社が出した、「キャッシュレスデータで見る、2021年ヒット消費番付」が、とても興味深い内容になっていました。この番付は、キャッシュレスで買われた商品の、“カテゴリー”の中で何がよく売れたかを、リアル店舗とネット店舗のそれぞれで出しているのが、通常のヒット商品番付と異なる点です。
ちなみに、商品ではなく「消費」ですので、商品名ではなくて、どんな種類のものが売れたのか、というカテゴリーでの比較になります。そして順位の決め方も、2019年と比べて2021年にどれくらい伸びたのか、という数字での比較で番付を決めています。
なので、現金ではなく、クレジットカードなどキャッシュレスを使う人たちの間で、コロナの前と後で、どんな種類の商品が増えたのか、という傾向がわかるのが興味深いデータです。
まず、横綱はリアルとネットともに、生鮮食品でした。やはり外出規制などで、家でご飯を作ることもあり、生鮮食品を買う人たちが増えた、というのが数字に出ています。
リアル店舗の方では、関脇にコンビニ食品、小結に飲食店でのテイクアウトが増えているので、やはり食べることの変化が如実に出ています。確かに考えてみれば、この1年半あまりで食生活がだいぶ変わりました。
また、リアルの2位の方はペット関連が増えています。巣ごもりで、ペットがブームになったこともあり、スーパーに行ってもペットコーナーの棚が、増えているのが目につきます。
一方で、ネットの大関以下が、リアルとは全く違うのが目につきます。ネットでの購入は、食に関するものではなく、エンタメ系が多いのが特徴でした。大関は映画・動画。ネットフリックスやアマゾンなどの月額課金制の、サブスクリプションサービスです。関脇が、ホビー・娯楽品で、小結がアプリ課金、という順位になっています。
こちらも家で過ごすことが増えて、ゲームを今までは無料でやっていたものを、有料アイテムに課金をして楽しもう、というようなことが想像できます。
お財布が1つなので、外出を控えた分、家で使うというような、何かをやめた分、何かに使う、という傾向が食べることと遊ぶことに見えています。
また、食べるものはやはりリアルで買う、という傾向がみえ、家で遊べる娯楽的なものに関しては、スマホなどで簡単にできることもあり、この1年半で増加して、そこにお金を使うことに慣れてきている、さらに、ネットで支払えることができるため増えた、ということが見えてきます。
総じて、自分の興味の種類によって、リアルとネットを使い分けている、という傾向がありますよね。データを見ると、東京や神奈川ではネット消費への移行が増えていると出ています。
このように、データを見ると売れ筋の商品と、消費者の買い方の2つの傾向が見えてきます。世の中の人が、どう動いているのか、という傾向を掴むということは、以前と違う点は何か、という「変化」を読み解くことです。そして、変化の状況を正しく掴めば掴むほど、次の手を打つ時に当たりやすくなるのです。
その意味でも、これからの市場を占う上で、参考にできる面白いデータと言えます。
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