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鬱々とした現代の日本社会を生き抜くために養うべき“眼力”とは

新型コロナウイルスが蔓延し、私達の生活は大きく変化しました。それにともない、社会で見過ごされてきた問題が顕在化してきています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、 現代の日本社会で働く「私」たちにとって今何が求められているのかを論じています。

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「私」はどんな人間か?

2021年は、「日常の中にある仕事」について、考えさせられることが多い一年でした。働くこと、家族と暮らすことの難しさを突きつけられる報道も多かったですよね。最後の、最後まで。

27日(月)の日経新聞朝刊の社会面には、ずらりと以下の見出しが並びました。
「困窮相談 コロナ前の2.5倍 30万件非正規や女性なお苦境」
「高齢者への虐待 家族から1.7万件」
「心の不調で求職2.1万人 全国自治体職員」

コロナの出現により、社会で見過ごされてきた問題が次々と顕在化しましたが、いずれの問題も根が深く、混迷を極めていると言っても過言ではありません。

本メルマガでも、事件や問題が起きるたびに取り上げてきましたが、大手メディアの報道熱は日を経るごと冷めてきたように感じています。

社会の急激な変化は、“弱き者”を置いてけぼりにしがちです。リソースが元々欠けている人たちは、変化に対応できず、声を上げることもできない。
一方、“強きもの”たちは、自分たちに有利な新しい社会を作ることに躍起になる。状況が厳しくなればなるほど、その傾向は強まります。人間が生まれ持つ、心の歪みがそうさせるのです。

そして、気づけば「自分」も雨の冷たさに悲鳴を上げることになってしまったのが、2021年だったように思えてなりません。そして、おそらく来年はもっともっと厳しくなる。暴風雨になるかもしれません。

本来、働くという行為は幸せになるための最良の手段です。

が、今度はもっともっと働く人たちだけが譲歩を迫られ、ある日突然、つかまっていた“綱“を切られたり、あるいは、放すことを余儀なくされるのです。

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なんだか書いているだけで気が滅入ってくるのですが、これが今の「日本社会」です。

今、「私」たちに求められているのは、ありのままを見るまなざしと、問題の本質を見極める力です。

そのためには、自分の中に選択肢を用意しておくこと。
そして、「一人の人」として、正しい良き行いができる、成熟した大人になること。
この2つに尽きると思います。

特に、2021年は50代をターゲットにした「希望退職」を募る会社も増え、「45歳定年」という言葉が話題になるなど、いわゆるバブル世代を取り巻く環境は厳しくなりました。

こういう厳しい状況だからこそ、「〇〇会社の私」といった属性や肩書きを語る必要のない「成熟した私」になる。人間に宿る、危機でこそ高められる不思議なパワーを信じ、一歩前に踏み出す勇気を持って欲しいです。

自分のこれまでの業績を評価してくれる会社に転職するもよし、そのまま会社に残るもよし。50代の武器である、暗黙知を、後輩たちに役立たせる働き方、技術移転をしてほしい。

自分の存在意義、居場所に悩む50歳だからこそ、後輩たちが役立つ行いをすれば、後輩たちに頼られる存在になる。半径3メートルの人が幸せになる行為をすれば、「人生の先輩」として評価されます。

会社の業績ではなく、人生の業績になる行いをするうちに、「もっと自分の能力を発揮したい、まだまだ終われない」と必ずや思うようなります。

全ての人間に宿る、危機でこそ引き出されるパワーは、誰かの役に立つ正しい行いで引き出され、それが「幸せへの力」となっていくのです。

心理学者でナチスの収容所を経験したV・E・フランクルは、著書『夜と霧』でこう訴えています。

「最後の最後まで大切だったのはその人がどんな人間であるかだけだった」
「最後の最後まで問題だったのは裸の人間だった」と。

さて、「私」は正しい行いをしているでしょうか。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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