気象庁は4日、東京・小笠原村の父島近海で午前6時8分頃、マグニチュード(M)6.1、深さ77km、最大震度5強の地震を観測したと発表した。この地震による津波の発生はなかったものの、震源近くの母島で震度5強、父島で震度4の揺れを観測したという。
「なんだ、はるか離島の地震か」と安心してしまった関東住民は多かったのかもしれないが、今回の地震によって「ある懸念」が現実のものとなる可能性がでてきた。それは、「伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震」である。
今回の震源地よりも本州寄りで、同じく「伊豆・小笠原海溝」沿いの鳥島(東京都青ヶ島村)近海では現在、過去に例がないほどの群発地震が頻繁に発生している。独立行政法人防災科学技術研究所(NIED)が公表している、気象庁一元化震源要素(2日前以前)およびHi-net地震観測システムによる自動処理結果(前日・当日)の震源要素を使用して作成された「Hi-net自動処理震源マップ」によると、ここ30日間で鳥島近海で群発地震が発生していることがわかる。
つまり4日に発生した小笠原村震度5強がトリガーとなって、鳥島近海の伊豆・小笠原海溝でアウターライズ地震が発生する可能性、あるいはその前兆である可能性が出てきたのである。
アウターライズ地震とは、海溝の外側付近でおきる地震のことを指す。この「アウターライズ」とは、海洋プレートが折れ曲がって海溝から沈み込む際にできる隆起帯を指し、その部分を震源域とする地震を「アウターライズ地震」と呼んでいる。この鳥島近海で群発地震が起きているエリアは、伊豆・小笠原海溝のアウターライズ(外側)にあたり、もしこのエリアでM8クラスの地震が発生した場合、東日本大震災で発生したものと同規模の巨大な津波が発生し、房総半島や東京湾、伊豆半島などの関東周辺から南は九州まで津波被害が出る可能性がある。
昨年12月21日には、内閣府が北海道から東北地方の太平洋沖に延びる「千島海溝」と「日本海溝」沿いでマグニチュード(M)9級の巨大地震が発生した場合の被害想定を公表し、あの東日本大震災の死者数約1万8000人を10倍以上も上回る19万9000人と発表したばかり。もし、この伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震による巨大津波が発生すれば、その被害規模は千島・日本海溝地震の想定をはるかに上回るだろう。
● 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について(内閣府、2021年12月21日発表)
MAG2 NEWSでは2020年8月、地質学者の「日本沈没」に関する可能性について学会発表された論文に関する記事を公開したが、その中で「今後、マリアナ諸島は沈没するかもしれない」という仮説を紹介した。
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今回の小笠原周辺の地震発生により、日本近海では今後何が起きても不思議ではないのかもしれない。ドラマの中で描かれたような「日本沈没」は無いにしても、3.11で多くの被害を出した津波地震の脅威がまだ完全に払拭されたわけではない。今後も、遠方の地震とたかをくくることなく、伊豆・小笠原海溝周辺の地震に注意を払う必要があるだろう。
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Twitterの反応
初夢ではないんだが、昨晩見た夢、大地震で東京が焼け野原、瓦礫の山と化して何の情報も入らず携帯ももちろん通じない中で右往左往するという、実にリアルなものだった。目が覚めてニュース見たら、明け方に小笠原で大きな地震があったと。なんか怖いんで、水の備蓄の補充とかやっとこう。
— Aotarou (@aotarooooou) January 4, 2022
今度は小笠原か。大きな地震が多いですね、ここ最近。
— 更なるスフィア (@outer_sphere) January 4, 2022
震度5強の地震あったか?と思ったら小笠原村か…たしかに東京だな
— ぢcえけ (@diceke0531) January 4, 2022
明けましておめでとうございます☺️仕事始めの朝から、小笠原の地震で驚きました😖島の東側は崖になっているところが多く崩れやすいので、登山道が近い母島の乳房山や石門などは特に心配です。。。写真は母島南端、小富士から(2017)。母島の西〜南には幾つかの無人島があり、中央右は平島。 pic.twitter.com/bI0DBaGIFt
— 東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム【公式】 (@realMSM1902) January 4, 2022
朝の小笠原の地震、あれだけ大きかったのにその後全く余震が観測されてないのな(微振動は除く)。地震記録が6時以降ぱったり止まってるのは不気味。
— k1.@専任育児従事者 (@k1numata) January 4, 2022
地震って怖い。
平和な毎日に感謝。
大した被害無さそうで沖で操業中の船舶も大丈夫そうでよかった。— ひゆうまる@小笠原父島 (@hiyuumaru2) January 4, 2022
備えあれば憂いなし
気象庁などの公的機関の情報を参考にするのはもちろん、地震の予知に関する研究を続けている機関の発行するメールマガジンを購読することも、防災に繋がる準備の一つ。避難経路の確認、防災グッズの準備、そして地震メルマガの購読などで事前に情報を得ておくことは、来るべき巨大地震への備えになるだろう。今一度、改めて身の回りの「防災準備」をチェックしてみることをオススメしたい。日本の地殻変動はまだ始まったばかりだ。
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