残業をして必死に仕事をこなせば上司へのアピールになる~と考えている社員は多いでしょう。一見するととても真っ当な意見に見えますが、実は昇進の際に不利になってしまうといいます。果たしてどういうことなのでしょうか。メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさんは、上司になった時のふるまいから逆算し、平社員の時にどのような仕事のこなしかたをすれば昇進するかを論じています。
上司になると時間が無くなるから
上司になって部下を持つようになったら、仕事に於ける意識の半分は部下に使うようになります。今までは簡単に言えば、自分のことだけを考えていたら良かったんですよ。
あなたに与えられた仕事、役割、求められる成果って、あなたがどうにかすることで、もっと言えば、あなたが自分自身をコントロールすることで手にすることができたんですね。
そこに他者が存在するとしても、それは同僚であり、他部門の人であり、サービスパートナーであり、顧客なわけで、あなたの分身では無いんですね。
ここが非常に大事な概念でして、部下というのは究極の形を採ると「あなたの分身」になるんですよ。自分がやろうとしていることを、自分の代わりに、自分が狙ったのと同じ結果を手にしてくれる人、これがあなたにとって最高の部下になるんです。
同僚や他部門の人って、あなたの分身ではなく、あなたにできないこと、あなたの権限が及ばないことについての業務を、アウトソーサーとしてやってくれる人たちのことです。
あなたが営業部のセールス担当だとして、経理部に請求書の処理をしてもらうとか、マーケティング部の人に宣伝広告の計画を作ってもらうとか、人事部に中途採用をしてもらうとか、本来のあなたの仕事じゃないですから。
ところが営業部の課長になったら、部下の営業マンはあなたの分身になるわけです。部下の人は、あなたのやるべきことをあなたに代わってやる、そのやったことがあなたの実績の一部になるわけですから。あなたの実績の一部になるからこそ、あなたには責任が生じるわけですね。
マーケティング部の人が失敗をしても、経理部の人が請求書の処理を間違えても、営業部のあなたは、最後のところでは責任を取る必要がありません。それは彼らの業務実績があなたの成果として反映されないからです。
しかし部下に関しては話が違います。あなたの部下の実績も一部はあなたの実績として反映されるわけですから。
ここまでは当たり前の話ですよね。
ですから、部下を持つとあなたは自分のこと以上に、部下が何をやっているのか、どうやっているのか、進捗はどうなっているのか、成果は上がりそうなのかが気になるわけですね。それが「意識の半分は部下に使う」ということの意味です。
これが何を意味するかというと、
■ 自分がやるべきことに掛けられる時間が減ってしまう
ということですよ。今まではいつでも自分のことだけを考えていたら良かったんです。仕事といえば、自分の責任範囲の中のことで、それは自分の振る舞いでほとんどの決着を付けられるモノだったんですね。
もっといえば、他の人が何を、どうやろうが、究極的なところでは責任を問われないのですから、意識を向ける義務は無かったんです。
それが根本から変わるのが部下を持ってからのあなたなんです。つまり部下の成果イコール自分の成果にもなる反面、部下の失敗イコールあなたの失敗にもなるわけですよ。
だとしたら、放置プレーはできないですよね。だからあなたは部下に意識を向けざるを得ないのです。
つまりその分、自分がやりたいことに掛けられる時間が減るということでしょ。ですから、誰を課長にするかという選択に於いては、
● 自分の可処分時間が減っても業務をこなせそうな人
という視点が大事になるんです。
つまり、部下を持っていない情況で、仕事がパツパツになっていて、いつも残業をしているような人を、誰かの上司にしてしまうと、上司としての振るまいができなくなるということですよ。
これは今、平社員のあなたにとっていえば、
● 如何に残業をせずに、今の業務を完了させられるか?
が実は、昇進レースではかなり有効な要素になるということです。
ここに気付いていない人が非常に多いんですよ。そのことを生産性というのです。
image by: Shutterstock.com