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人気TVバラエティプロデューサーが見つけた“はじめて”を続ける生き方

SNSやYouTubeで発信を続けてきた人が、一度それらをやめて立ち止まってみると、さまざまな想いが巡るようです。3月11日から20日間、世間への発信をやめ「遮断した生活」を送ったのは、『からくりTV』『金スマ』などを企画制作したTVプロデューサーの角田陽一郎さん。今回のメルマガ『角田陽一郎のメルマガDIVERSE』では、老いていくと利己的で自分勝手な人が増える理由に気づいたと綴ります。さらに、人生が始まりの連続で、初めてを繰り返していくものであることに気づき、世間と関わりながら生き続けていくことを改めて決意しています。

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初めての、始まりは、日々続いていく

「遮断の二十日間」

前回の満月号では、僕は『接続と遮断』と題して、3月11日から、SNSの更新と、そして週末に生配信していたYouTubeを停めたことを話しました。それから二十日間近く、僕はまさに世界との接続を最小限にするように遮断して、扉を閉めて生活してみました。そんな折りは、まさに色々と人生の来し方行く末を考えますよね。今までの僕に人生はどうだったんだろう?そしてまだまだ続くであろうこれからの人生はどう生きよう?

うまく言えないと誤解を生じてしまうのですが、そんな中で僕が感じたある想いがあります。ウクライナで戦争が起こっています。それは、ものすごく悲しいことなのだけれど、例えば2年前に亡くなった僕の父は、このウクライナでの戦争については当然知らないわけです。なぜなら当たり前ですが、彼が死んでからこの戦争は始まったわけですから。

同様なことはたくさんあって、例えば反原発運動に積極的だった僕も大好きだった忌野清志郎さんは、311の福島の原発事故を知らないわけです。なぜなら、彼が2009年に亡くなった後に、2011年に東日本大震災は起こったわけですから。原発崩壊の映像をテレビの中継で見ながら、その時も僕は、想ったわけです。この悲惨な光景を清志郎が見ていたら、どう想っただろうな、って。

で、翻って、そんな当たり前の事実をぼーっと考えながら、また当たり前の事実を悟るわけです。世界で何が起こっても、それは僕がこの世界から消えてしまったら、それは僕とは、関係なくなるわけなんだと。さらに酷いことを言ってしまえば、地球温暖化が進んで、2050年には地球環境がこれだけ破壊されるって言われたって、自分はその瞬間に生きているかどうかなんてわからないし、2045年にリニアが大阪まで繋がったって、乗れるかどうかなんてわからないわけです。

そうか、だから人は老いていくと、利己的で自分勝手な人が増えるんだろうな、それを老害と言うんだろうな、結果若い人がやっぱり施政者になった方がいいな、なんて他人事のようなことも一方で感じつつ、結局、人は、その生きている間の瞬間瞬間を、ただ生きていくだけなんだと、シンプルに実感したのが、この二十日間の遮断期間だったわけです。

「この世界から消えてしまう日まで」

で、今日の新月です。僕は、この日の朝から、またSNSでの『おはようございますメッセージ』を始めてみました。

おはようございます。4月1日卯月朔日です。今日は新月。始まりの日。そして新たな年度も始まる。人生に、始まりは何度でもやってくる。毎日は、いいことも悪いこともあるし、終わることだって続くことだって回帰することだってある。ならば今日は、新しいことをまた初めてみる日にしようと想う。(https://twitter.com/kakuichi41/status/1509679425855852546

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今この文章を書いている僕は、まさにこんな感じで朝に呟いたような心境です。毎日は、いいことも悪いことも、当然あるし、終わることだって、続くことだって、なんなら回帰することだってあるのです。おもしろいことが思いつく日だって、悲しいことが起こったりする日だって、新たな出会いも、当然の別れも、愛情も、憎悪も、当然込み込みであるわけです。でもそんな日々も自分がこの世界から消えてしまえば、それこそ一瞬で遮断されてしまうわけです、それも一刀両断に、言語道断に、有無も言わせず、間髪入れずに。

どうせいつの日かそう遠くない未来に、この世界から遮断されるわけです。ならば、今この生きている瞬間に、自分の人生を、この世界から遮断する必要なんてあるのだろうか?そんな想いが、今の僕のこの新月の心境です。つまりぐるーっと回って、元の想いに回帰してきたとでもいうか。

でもこの回帰している期間は、むしろ無駄な迂回道だったって訳ではないと思うのです。だって、少なくとも、悲しいことも、嫌なことも、それらを嬉しいことや楽しいことと、一緒に込み込みで、受け入れようという心境には、若干でも遷移している自分に気づくわけなのです。

そうなんです、宇宙空間を高速で移動する星々のように、僕らは、この宇宙空間で、二度と同じ場所にはいられないわけです。そして自分という個体はその瞬間瞬間に細胞が生まれ変わって、二度と同じ身体でいることはないわけです。そして、この世界と接続している自分自身の精神は、刻々と伝達される情報更新の中で、もはや同じ想いのままで生きられるわけなんて、二度とないのです。

なので、また新しいことを、今日、この新月に、新しい自分が、始めてみるわけです。それ自体が新しいことでなくたって、もはやそれを始める自分は、昨日までの自分とは違うわけですから。

つまり、始まりは、何回始まったって、初めて、なわけなのです。そして、この世界から消えてしまう日まで、日々の人生なんて、はじまりの連続なのです。

ならば、僕は、回帰しようと想います。過去を後悔しようとも時には想います。未来を諦めてしまおうとも時には想います。他人を憎悪したり、世界を唾棄したりを、繰り返して生きていきます。でも、それでも、そんな想いをまた、拭い去って、捨て去って、前を見てみようとも想います。

なんて、バカな自分。時に、自己嫌悪を繰り返しながら、そんな自分を、時に励ましながら、周りに励まされながら、周りを励ましながら、孤軍奮闘で、時に誰かと一緒に、前途洋々に、時に座礁しながら、それでも、日々を、日々の人生を、はじめてみようと想うわけです。この世界から消えてしまう日まで、そうやって生き続けていくんだろうと想うのです。

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image by:Cooler8/Shutterstock.com

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