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中国で未婚女性『剰女』が増える深い闇。なぜ彼女たちは結婚を諦めるのか

中国では最近、「剰女」という言葉をよく目にするそうです。その意味は適齢期を過ぎた未婚女性を指すそうなのですが、なぜ近年中国ではこのような女性が増えているのでしょうか?今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では、中国在住のMochiさんがその背景について詳しく語っています。

中国で最近よく見かける「剰女」という言葉とその背景

皆さんこんにちは!深センはそろそろ梅雨入りの様を呈して来ており、ただでさえ湿度の高いところに気温が上がってきているので超高層ビルの上部は雲に隠れています。

日本の梅雨と違い、こちらはスコールのような雨が降る日が1、2週間続く感じです。それが終わると一気に夏模様で半袖のワイシャツがメインとなる季節が始まります。

さて、今日は私がよく見る英字ゴシップによく出てくる「剰女」という言葉や背景についてお話ししたいと思います。

「剰」は「残っている」という意味なので「残っている女性」つまり、「適齢期を過ぎた未婚女性」を指します。

目覚ましい経済発展を遂げたとは言え、家族に関わる考え方は古いままの中国、特に剰女と呼ばれる世代の親世代は「女性は結婚して子供を産むことがゴール」という考えが根強く、娘が結婚して初めて安心します。

この安心には娘の将来を憂うることが無いという安心と、老後の面倒を見てもらうつてが出来たという安心の二つあります。

中国では子に養ってもらうのは当然の権利で、そのために育てているというのが多くの親のマインドセットです。

老後も出来るだけ自分たちの力で生きていくというのは少数派。息子と娘の両方いる場合は「より裕福な方」に同居を迫る傾向にあります。

そこで何が起こるかと言うと「婿に対する要求」がきつくなります。例えば深センでよく挙がるのは「いわゆる3高、持ち家、車」です。

持ち家は今後自分たちが身をよせる場ですからとても大事です。不動産バブルのさなかにある深センでは資産的価値も見逃せません。

共働きが普通の中国では、「幼い孫の面倒を見る」という大義名分で実家をたたんで親が引っ越してきます。ここまでが親側の論理。

対して当事者である剰女達はどうでしょう?この世代は幼少期から大学入学までわき目も振らず猛勉強を強いられて来ました。

学校に部活は無く、恋愛は禁止、中学から寄宿生活で「ただ一度の大学入学試験」に全てを捧げた世代です。

大学で初めて勉強以外の世界を知り、人間的な生活を送ったのも束の間、あっという間に4年が過ぎて就職。

薄給と小さなアパートでチャイナドリームを夢見ながら「996(9時から21時まで週6日間働く)」に代表されるような日々に突入。恋愛をする時間があるなら寝ていたいほど疲れています。

そんな生活を数年送り、仕事も覚え肩書も付いた頃には自己表現の形、自己肯定感の拠り所が仕事になっています。

逆に言うと経済的にも自立しているので親世代のように夫に依存する必要はなくなっています。

気がつくと何年も恋愛をしておらず、経済的安定性という意味での結婚の必要は無く、周りに眼鏡に適う未婚男性はいない。

「剰女」になってしまったことに気づきます。年齢的には30歳を超えたあたり。

ここから自然な恋愛を経て結婚に至りたい派と独身生活を謳歌し続けたい派に分かれますが、条件のいい男性は既に結婚しているパターンが多いので前者は徐々に諦めモードに入り、後者の仲間入りをします(うちのスタッフや顧客の担当者はそうでした)。

帰省の度に親から「まだかまだか」と言われるのにウンザリし、「レンタル彼氏」を雇って帰省し、恋愛中を装ってその声をやり過ごすというのがニュースになったことも。

剰女がいればもちろん剰男もいます。

「子供の姓は父方」が普通なので、一人っ子政策下において息子が好まれた結果(娘なら闇で中絶か里子)、結婚適齢期の未婚男性は同世代の未婚女性よりもなんと3,000万人も多くなってしまいました。

その中で先に挙げた「3高、持ち家、車」の条件を満たせる男性がどれほどいるでしょう…。

未婚男女の増加は下がり続ける出生率と合わせて、中国で急速に進む高齢化社会の重要な要素です。

「特色ある共産主義」をスローガンにする国家主席がどんな手を打つか楽しみです。

では、今回はこのへんで。

(『出たっきり邦人【アジア編】』5月16日号より一部抜粋)

著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 アジア6カ国の在留邦人メンバー 【発行周期】 週刊

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