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習近平、沈黙の怒りで待ち受ける報復。日米重視で中国から睨まれる韓国

選挙戦から『文在寅政府の政策を見直す』と言い切っていた韓国の尹大統領。就任早々、アメリカのバイデン大統領と会談するなど、方針転換を内外にアピールしています。しかし、それを快く思っていない国があることは明白です。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、尹政権の外交及び北朝鮮政策について詳しく解説します。

尹、文と正反対の道を歩む

第20代大統領選挙初のテレビ討論(今年2月3日)で、司会者が共通質問として「就任後各国首脳会談の順序」を尋ねると、尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補は「私はジョー・バイデン米大統領にまず会い、岸田文夫日本首相、習近平中国国家主席、金正恩北朝鮮国務委員長の順でお会いします」と答えた。

そのように順番を決めた理由について当時尹候補は「なぜなら民主党政権5年間にあまりにも親中・親北に偏って屈従外交をする中で、韓米・韓日関係がボロボロになった」とし、「これを正常に回復することが先決問題だ」と述べた。

以後、ユン候補は大統領選挙に勝利し、この発言は現在新政府外交・安保政策の基調のように受け入れられている。

尹大統領は、候補時代から文在寅政府の政策を見直すと公言していた。特に大統領就任後「反文在寅」性向が最も目立つ分野が外交・安保だ。

大統領室の高官は24日、中央日報の電話取材に対し、「文在寅政府が掲げた『韓半島平和プロセス』と『3不政策』は、文在寅政府が終わった瞬間消滅した」とし、「協定や協約ではないため、尹錫悦政府がこれを遵守しなければならない義務もない。すでに廃棄した」と述べた。

文在寅政府の外交・安保路線だった「韓半島平和プロセス」と「3不政策(サード追加配置をしない、米国ミサイル防衛システム参加はしない、韓米日軍事同盟はしない)は、新政府が継承しないという意思を明確にしたわけだ。

北朝鮮政策だけを見ても、以前とは違って強硬基調が明確だ。尹大統領が23日、CNNとのインタビューで、北朝鮮の核実験の可能性について「強力に対処し、北朝鮮の挑発を阻止する」と警告したのが代表的だ。

それと共に文在寅政府については「北朝鮮の顔色をうかがう屈従外交は失敗したということがこの5年間で証明された」と指摘した。

大統領室関係者は「前政権のように北朝鮮の顔色を伺いながらこれ見よがしにショーを演じるような態度で南北首脳会談はしないというのが尹大統領の確固たる考え」と伝えた。

米中に対する外交方向性も文在寅政府とは正反対に進んでいる。米中覇権競争の中で韓国を味方につけようとする両者の力が強くなる状況で、安米経中(安保は米国、経済は中国)路線で均衡を取ろうとしたのが文在寅政府の外交基調だった。

反面、尹錫悦政府は米国側に重心を移動しながら全体的に「安米経世」(安保は米国、経済は世界)に路線転換をする様相だ。

23日、米国主導の経済協議体である「インド・太平洋経済フレームワーク(IPEF)」発足式に参加したユン大統領は同日、CNNインタビューで「クアッド」加入可否についても「引き続き考慮している」と話した。クアッドは米国主導の多国間安保協議体だ。

ただ、韓国が米国に密接になることに反比例し、神経を尖らす中国をどう落ち着かせるかが尹大統領の宿題だ。

ユン大統領はすでに候補時代、中国が反発するサード追加配置の可能性に言及するなど、中国を刺激するほどの発言を多数やってきた。

これに加えて、前日CNNインタビュー中にIPEF参加で中国が経済報復措置に乗り出す可能性についてユン大統領は「中国側があまりにも過敏に考えるのは合理的ではない」とも話した。

しかし、「尹錫悦引継ぎ委」公約集で、中国を「最大貿易相手国であり、北朝鮮核ミサイル解決などのための主要利害関係国」と明示したことに照らしてみれば、尹錫悦政府も中国の経済・安保的価値を疎かに扱うことは難しい。

一方、この日民主党は、文在寅政府の対北朝鮮政策を「屈従外交」と表現したユン大統領発言に対して強く反発した。

民主党は中央選挙対策委員会公報団名義の書面ブリーフィングを行い、「北朝鮮核を平和的に解決するための努力が尹大統領に屈従的に映ったとは、その認識が実にもどかしく残念だ」とし、「尹大統領は北朝鮮と対決姿勢になるのも辞さないというのか」と反問した。

25日早朝、北はさっそく3発の弾道ミサイルをぶっ放した。

すぐに非難声明は出したものの、非難しているだけの態度なら前政権とさほど変わらない。今後どのように北と対峙していくのか。また中国とどう対峙していくのか。

さらに、日本とは友好雰囲気を築きたいという底意はわかるが、具体的に日韓関係をどのようにもっていくのか。

「反文在寅」構図から尹錫悦独自シフトをいかに敷いていくのかが注目されるところだ。(中央日報を参考にした)

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年5月27日号)

image by: 左 Shutterstock.com / 右 尹錫悦 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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