【中島聡×けんすう】IT黎明期以来のワクワク感。世界は「Web3.0」でどこまで変わるのか?

 

「Web3.0」は政府を必要としないことを政治家はわかっているのか?

中島:選挙とかも変わっていくと思いますよ。

内田:選挙。

中島:選挙こそ本当は「ブロックチェーン」を使うべきなんです。その方が確実に本人確認できるし、一瞬で投票のグラフがリアルタイムで上げられる。今だったら開票しなきゃいけないじゃないですか。それもいらなくなる。投票した瞬間に反映されて、気が変わったら、こっちって変えることもできるし。

内田:今の選挙の方式は、投票券の紙を送る。送って、届いて、開いて、投票所に行って、書いて、開封作業があってみたいな、ようやく夜になって結果がわかるという流れですよね。

中島:それをスマホからプッとできるようになるんです。リアルタイムで票がわかるし、ここ入れてもダメだったら、こっちに移そうみたいなことができるかもしれないし、それどころか、それぐらい便利だと、例えば参院だと3年間に一度しか票を入れられないけど、毎回法案が上がる度に国民全員で投票するとかもできるわけです。ところが、まだやっぱり投票するのにガス代がかかるし「ウォレット」と票が結びつくんですけど、そこと投票する人間をどう結びつけるかっていうところなど、色々と解決できないことがあるから、今は選挙には使えないけど、でも多分20年後とかには、そうなっているじゃないかな。

内田:20年くらいかかりそうなんですかね。

けんすう:社会の方に実装できるかどうかっていう問題が結構あります。

中島:でもやっちゃう国とかはありそうですね。例えばエストニアあたりがやっちゃって、前例が出来て、すごい便利で、みたいな感じで進むのかな。

けんすう:やっぱり人間がいて投票するって、その場所にいなきゃいけないという制限がすごく強いので、エストニアみたいに、いつロシアに攻められて亡命政府になってもいいように、みたいな発想の国だったらやれるかもしれないです。

内田:社会的なものに実装できるのは時間がかかるかもしれないですけど、このコロナ禍において、日本の自治体だったり、国だったりとか、そういうシステムがやっぱりなかなか上手くいかないのが明白になりましたよね。給付金がうまく配れなかったり、詐欺もいっぱいあったりとか、かなり問題になってきて、そういうのも、我々のデータ的なものがうまくつながる未来が、20年ぐらい先にあったりするのかもしれないですね。

けんすう:あるかもしれないなっていう気持ちと、やっぱり「ブロックチェーン」上に置くのは、中央の管理があまりいらないので、政府とは相性が良くないかもしれないとは思います。

中島:自民党の一部の人たちが「Web3.0」で盛り上がってるじゃないですか。本当にわかってるのかなと思って(笑)。

内田:自分たちの存在がいらなくなるかもしれないってことですよね。大げさに言っちゃえば。

中島:それもあるし、本当に「ブロックチェーン」に国としてコミットするとしたら、やっぱり通貨を「ブロックチェーン」に載せると、お金の流れは透明化するので、例えば政党助成金が誰に流れたとか、全てが全員にわかっちゃうんです。プログラムを書けば、政府から自民党に行ったお金が、どの時点で、いくら、誰に、流れたのかが全部わかります。例えば、一度電通に流れて、電通に20%いって、こっちにいきましたとかいうのが、高校生がプログラムを書くだけで、スッと読めちゃう。

内田:逆にそうしていただきたいと思ったりしますけど、それを知られたくない政治家は多い気がします。

けんすう:たとえば、通貨発行権は国の根幹じゃないですか。

内田:日銀ですね。

けんすう:やっぱり、金本位制をやってたから、金を各国の中央銀行が今持ってるので、割とコントロールできてるんですけど、そこがビットコインになって、通貨をガンガン刷ることによって、通貨の信頼度が下がる。各国やりづらいんじゃないかなと思ってるんですけど、それなのに自民党とかが「Web3.0」を進めているのは、結構面白い状況ですよね。中国とかは逆にすごく暗号通貨を警戒してるので合理的だなと思います。

内田:管理したい人たちが、なぜか騒ぎ立てているっていう感じなんですね。

けんすう:わかんないですけどね。

中島:あれは、暖かく見守ってた方がいいかも、面白いことが起きるかもしれないから(笑)。

内田:本当ですか?中島さんから見たら、逆に彼らがわかってないんだなっていうのを、言っちゃってませんか(笑)。

中島:でも、正しいこともやってるので、例えば税制の話とか、やっぱりみんな今「Web3.0」関連の企業って、シンガポールとかドバイとかに逃げちゃってるじゃないですか。

内田:そういうのを逃がさないで、国内でも盛り上がれるような環境を作るためには必要。

中島:少なくとも税制をちゃんと、別に規制するところはすればいいわけで。

内田:今は全然規制とか何もないんですか?

中島:変な規制だけあって、例えば「トークン」をお金集めのために発行すると、残っている「トークン」に税金がかかるんです。どうしようもない法律なんです。

内田:そうなんですか?

中島:だから、資金集めすると、いきなりキャッシュも持ってないのに税金を払わなくてはいけないという状況に追い込まれる。とてもかわいそうな状況です。それでみんな海外に出ちゃうんです。

けんすう:「トークン」を発行して「トークン」全部の価値が1,000億です、みたいになったら、じゃあ「1000億のうち50%を持ってるあなたたちは、500億持ってますよね、では500億売上げましたよね」という感じになるんでしたっけ。

中島:ひどいですよね。

けんすう:じゃあ法人税30何%を払ってくださいねっていうのがあるので、1,000億の「トークン」を発行してお客さんに配って、自分たちがトークンを持っていても「トークン」なので別にお金じゃないわけです。でも300億ぐらい税金がかかるみたいなことが起こっちゃったりするので、それでは発行できないよね、じゃあシンガポールに行こうみたいになっている。

そもそもトークンって何?

内田:ちなみにいまさらですけど「トークン」っていうのは何なんですか?

けんすう:「トークン」は難しいですよね。

内田:無理やりここで説明させようとする私も鬼ですかね。

けんすう:「トークン」は…そうですよね。確かに。

内田:ポイントみたいなものとも違うんですよね。お金ではない。

けんすう:ポイントみたいなものというか、株式みたいなものと想像すると遠くないかもしれないです。

中島:株券とか近いですね。

けんすう:「トークン」によっては「ガバナンストークン」って言ったりしますけど、それが投票券みたいになってて、例えばこの食事のレビューサイトの仕組みをこう変えようと思います。賛成反対って言って投票することができて、賛成多数だったら、運営者もそれに従わないといけないみたいな設計はできます。

中島:世の中には色んな権利があるじゃないですか。例えばコンサートのチケットでもいいし、あとは投票権とか免許証とか卒業証書とか、役に立つ立たないは別にして、何かを証明してくれるものってあるじゃないですか。

内田:今までは紙でしたね。

中島:それを電子化できるようになりましたよってことです。それが瞬時にその人が持っているかどうか確認できるので。

内田:嘘はつけないですね。すごく便利な気がします。

中島:便利です。

内田:お二人にとっては今さらな感じですよね。

けんすう:でも大事です。自分の「ウォレット」があって、色んなサービスを通じてできたデータが「ウォレット」と結びついてて、これは誰でも参照できるっていうのが大きな意味を持っています。例えば、このイベントに行ったよっていう証明の「NFT」をもらえるサービスがあるとして、そこに100回行ったら、そこに100個の「NFT」を持っているっていうのが、自分の「ウォレット」に結び付くんですけど、これは発行している会社じゃなくても、例えば他のSNSがそれを一覧で表示させようとか、やろうと思ったらすぐにできちゃうんです。

そこが革命的で、今までSNSは、データをなるべく囲い込む方がいいので、囲い込むし、外に出さないようにしてるっていうのがあったんですけど、それがもう基本的には全部「ウォレット」に結びついて参照できるっていう形なので、そこがすごいんです。

 

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