「Web3.0」の「透明度」の高さ
中島:今までだと、例えばウェブのSNSでサービスを作るじゃないですか。そうすると、ウェブサイトでアクセスすると、確かにそこにログインして、自分が投稿した写真を見られるようになっているんだけど、その中がどうなっているかは見えないじゃないですか。でも実は中身は、今だと「マイクロサービスアーキテクチャ」といって、いくつかの写真を貯めておくサービスがあって、ここにはユーザー認証をするサービスがあって、それがAPIで結びついて、最終的にウェブを見せているんです。でも「Web3.0」の時代に作ると、このマイクロサービスが全部外で見えるんです。なので、この人が上げてる写真一覧とかいうのを、APIでアクセスできるようになってしまう。
内田:みんな見えてしまう。あけっぴろ気になってしまう。
中島:それが、個人情報が漏れるっていうレベルの話じゃなくて、サービス事業者すら隠せない。というか、隠すような作り方をしていると信用してもらえないので。信用してもらうのに、ソースコードをオープンにしなきゃいけないので、そこも面白いところで「NFT」というのはアプリケーションなので「スマートコントラクト」を書いて「NFT」を発行するんですけど、ソースコードが非公開のところは危ないから、そんな「NFT」は買うべきじゃないんです。基本的にはソースコードは全公開なんです。そこもすごいところですよ。
内田:すごいですね。本当は隠したいところなわけですよね。
中島:昔だったら隠したかったけど、みんなオープンなのに、ひとりだけ隠してると信用されない。何をしてるかわからない。検証する人もいるんです。たぶん、検証ソフトもあります。だから、例えば、誰かにトランスファーしようとしたら、別の人にいってしまう、みたいなこともやろうと思えばプログラムでできるので、そういう悪い「NFT」も実は世の中にあるんです。危ないかどうかも誰かがチェックできるわけです、ソースコードがあれば。
内田:わかる人が見ればわかるんですね。
中島:今はもうみんな基本はオープンです。
内田:すごく透明度が高くて。
中島:やたら高いです。
内田:しかも、それをみんなが活用できるようになると、今のITだってどんどん発展していっているように私には見えますけど、さらに加速度的にものすごいものがどんどん発達してくるような感じがします。
けんすう:他で実装されたものは、瞬時にみんな「こうやるのね」っていうのがわかるので。
内田:自分で考える必要がないですもんね。
けんすう:発展もすごいです。公開される情報も、そもそもやっぱり「ウォレット」を公開しているので、いくら持っていて、いくらどこに払ったかが、全部わかるわけです。なのでこれ以上、さっきの写真一覧が出ようと、あまりもう気にしないみたいな感覚はあります。
内田:何も隠さない世界が来るんですかね。
中島:面白いことになる。
けんすう:隠さないことが前提なので、それ前提のものになるんでしょうね。だから、結構有名なブランドとかが「NFT」に興味を早く持ったきっかけって「NFT」を配っておくと、そういうのに興味がある「ウォレット」の一覧を把握できちゃうからなんです。グッチの「NFT」を「ここのイベントに来ればあげるよ」みたいなことをやったとしたら、そのイベントに来た人の「ウォレット」を把握できるので、その後のお客さんの動きを全部チェックできるっていう、今まで彼らがすごく欲しかったけど取れなかったお財布の中身と、何に使ってるかっていうのが見られるのが、やっぱりすごい価値だと思って、早くやっているっていうのは聞きました。
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