「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんと、アル株式会社代表取締役のけんすうさんの対談が、まぐまぐ!LIVEで配信されました。対談のテーマは『日米IT連続起業家が考えた「稼げるWEB3.0の最前線」』という今話題の興味深いモノ。今回のクロストークの模様を一部だけテキストにて特別に公開いたします。司会進行はフリーアナウンサーの内田まさみさんです。(この記事は音声でもお聞きいただけます。)
※「まぐまぐ!Live」アプリでアーカイブ動画公開中。視聴方法は記事の最後で紹介しております。
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高校生が大人と対等になったIT黎明期
内田まさみ(以下、内田):本日は中島聡さん、けんすうさんの対談に、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。今回の配信ですが、開始20分までは、誰でもが楽しめる一般公開。そして全編をご視聴いただけるのは、中島聡さんが発行する有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』の読者限定となります。ご登録いただいた初月は、購読料無料となります。配信終了後もアーカイブで配信を見られるので、ぜひこの機会にご登録ください。それでは、さっそく、本日の主役のお二方をご紹介しましょう。まずは、けんすうさんです。よろしくお願いします。
けんすう:こんにちは、よろしくお願いします。
内田:そして、中島聡さんです。
中島聡(以下、中島):よろしくお願いします。
内田:お二人を知らない方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんので、簡単にご紹介させていただきます。まず、中島聡さんからです。中島さんは、高校時代にアスキーで記事執筆やソフトウェアの開発に携わり、早稲田大学に入学されました。入学後はキャドソフト「CANDY」を開発し売却、そして卒業後はNTTに入社。その後、マイクロソフト日本法人を経て、アメリカの本社に移動。「Windows95」や「Internet Explorer」を開発。マイクロソフト退社後には、アメリカで起業した二社を売却。現在は、シアトル、ハワイ、日本を居住地とされながら、ドローン開発のベンチャー企業へ参画。最近では「Web3.0」を活用した「Nouns Art Festival」を主催するなど、最前線で活躍されています。
続いて、けんすうさんをご紹介します。浪人時代に大学受験情報の匿名掲示板「ミルクカフェ」を開設。早稲田大学在籍中には、掲示板サイト「したらば」運営会社の社長となり、事業をライブドアに売却。卒業後は、リクルートに入社。在職中にハウツーサイト「nanapi」を創業。リクルート退職後は、KDDIグループにジョインし、スーパーシップ株式会社取締役を経て、現在はクリエイターを支援するサービスを提供するアル株式会社代表取締役でいらっしゃいます。
お二人は初対面ですか?
中島:初対面です。
けんすう:もちろん、お名前は昔から存じ上げておりましたが。
内田:存在はお互いに知っていたということですね。今、私も、お二人のプロフィールを紹介しながら、似通ったところがあるんじゃないかなと。
けんすう:ちょっと似てますね。
内田:もちろん大学も一緒ということもあるんですけど、大学に入る前から、パソコンだったり、ITだったりに親しまれて、そこに未来を感じていたと思うんですが、中島さんはいかがですか?
中島:未来を感じたわけではないんですが、16~17歳くらいの頃からプログラミングが大好きになってしまったんです。
内田:けんすうさんもですか?
けんすう:僕も16~17歳ぐらいの時に、まさに「Windows95」が出始めたときに、インターネットに触れて。
内田:中島さんが作られた「Windows95」ですね。
けんすう:これは面白いなぁと思って、ホームページを作ったりしたところからハマりました。
内田:そこに色んな可能性を感じていたんですか。
けんすう:そうです。でも16歳くらいだったので、可能性を感じたからというより、高校生が発信した情報を大人が読むということが、それまで想像もできないことで、それができるようになったという感動で、ずっと遊んでいたような感じです。
内田:若い人が発信したものを大人が読む。
けんすう:そうです。高校生が何かを発信するには、インターネット以前だと本当に雑誌を作るとか、そういうレベルでしかできなかったと思うので、それが無くなったことに、すごく感動した覚えはありますね。
内田:中島さんも若い頃、アスキーとかで記事の執筆されてたんですか?
中島:そうです。南青山に事務所があって、そこに自分の原稿を持ち込んだんです。原稿と言ってもプログラムなんだけど。自分が書いたプログラムをパソコン雑誌に載せてもらおうと思って持って行ったら、可愛がってもらえて。
内田:形は違えど、若い人たちが発信するものを、ある意味、大人が受け取ることになったんですね。
中島:その時はまだ雑誌経由だったけど、高校生の自分が雑誌に記事を書けるのは嬉しいじゃないですか。
内田:自分で持ち込んだというのを聞いてビックリしました。
けんすう:やっぱりなんでも黎明期は、そうやって若い人だろうと、年齢差をあまり感じさせない仕組みになってたりするので、それが面白かったんです。
内田:もう一つ共通点と言えば、大学時代から起業されて、その後、それを売却したっていう流れも、似通っていますね。起業に至ったのは何かきっかけがあったんですか?
けんすう:2ちゃんねるを作ったひろゆきさんと、大学時代に仲良くしていて、彼がそのレンタル掲示板の仕組みを作ったんですけど、社長はやりたくないから、一番社長に似合わなそうなやつにやらせようぜってなって、僕が選ばれて、社長にさせられたっていうのが経緯ですね。
内田:一番似合わなそうな方…。
けんすう:それでやってた感じです。
内田:経営者の立場になられて、何か変わりましたか?
けんすう:何も変わらないです。当時もやっぱりインターネット上で知り合った人と、ほぼリモートで、そのレンタル掲示板をやっていました。レンタル掲示板は、あまり中央の管理が無いんです。今の「Web3.0」みたいに、それぞれの掲示板で勝手に管理者の掲示板を作って、彼らが運営をして、お客さんを連れてくるので、やることはあんまりなくて、秋葉原の(家賃)5万円ぐらいの場所にDELLのサーバーを置いて、それでやってるだけだったので、みんなあまり何もしてなかったです。
内田:そういうもんなんですね。
けんすう:そういうものなのかどうかはわからないですけど、僕がやっていた会社は、会社というほどではなく、マネジメントも含めてほぼ何もしないっていう感じでした。
インターネットの世界をリセットする「Web3.0」
内田:これはでも中島さん、ウェブの世界で起業するのは、アイディアがしっかりしていれば、誰でも起業ができるっていうところが魅力のひとつなんですかね?
中島:それもあるけど、今「Web3.0」が注目されているのは、実は揺り戻しなんじゃないかなと思っています。というのは、インターネットの最初の頃は、自分でサーバーを立てて、ビジネスが本当にできちゃってたんです。でも、だんだんと寡占化が進んでしまい、もう今は結局、AmazonやGoogle、マイクロソフトがみんな取っちゃったわけじゃないですか。小さな人が、レンタルサーバーのビジネスをしても、今はビジネスにならないわけですよ。でも「Web3.0」になると、また一回全部リセットされるので、今、個人で面白いことができる時代がまた来たんです。
内田:大企業に集まってしまったものを、自分たちにもう一度取り戻せるという状況なんですか?
中島:そうですね。僕も会社を作って売却したんですけど、結構疲れるんです。会社を作って、お金を集めて、人を雇うと、すごい責任があるじゃないですか。僕は特に社長だったので、全責任が来るわけです。とにかく全員に給料を払うお金を毎日どこかから手に入れてこなきゃいけない。売上だろうと投資家だろうと、どこでもいいから手に入れてこなきゃいけない。それが止まったら会社がパタッと倒れるわけです。
それを僕は、あんまり面白いと思わないし、その時期は全然プログラムが書けなくて。やっぱり経営に集中しなきゃいけなくなる。二回やって、もうやりたくないなと思っているところに「Web3.0」がやってきた。少し前までは、大きなことをやろうとしたら会社を作らなきゃいけなかったのが、今、もう一回リセットがかかったんです。本当に秋葉原の5万円のところから「Web3.0」のサービスを出せるようになったんです。そこが僕はすごいことだと思う。
内田:そうすると、「Web3.0」では、色んな所から色んなアイディアが生まれてきて、より活性化する社会になるというイメージなんでしょうか?
けんすう:インターネット初期の雰囲気に近くて、その頃の人達は、やっぱり自分で色々何かできるよねと思ってやってたんです。この世代の人って、今はやっぱり「Web3.0」の流れを「すごい面白いよね」って言ってるんですけど、逆に10年ぐらい前から起業してる人はピンと来てなくて「これ何が面白いんですか?」とか「これ詐欺じゃないですか?」って言っている。やっぱりこの差が面白いですね。なので、僕的にインターネットの黎明期がもう一回来ているような感じがします。
内田:ワクワクするような感覚があるんですね。
けんすう:そうです。いかがわしいものも含めて、色々出ているのが面白いなと思ってます。
内田:それがまた、黎明期の特徴だったりもしますね。
けんすう:そうです。ほぼ詐欺じゃないかっていうのがたくさんあるので、すごい昔を思い出します。
中島:楽しいです(笑)。
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