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統一協会から目をそらす「安倍マンセー派」に小林よしのり氏が“贈る言葉”

一部を除く気骨あるメディアの追及により、次々と明らかになる安倍元首相を筆頭とした自民党と旧統一教会との「深すぎる関係」。しかし当の議員たちは反省する素振りもなく、安倍氏を支持してきた雑誌には疑惑発覚後も元首相に対する美辞麗句が並んでいます。そんな状況に疑問の声を上げるのは、『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』等の人気作品でお馴染みの漫画家・小林よしのりさん。小林さんは自身のメルマガ『小林よしのりライジング』で今回、耳を疑う発言を繰り返す自民党所属議員たちを強く非難するとともに、安倍元首相に対する強烈な「贈る言葉」を記しています。
※本稿では著者の意思と歴史的経緯に鑑み、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を「統一協会」と表記しています

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ゴーマニズム宣言:安倍マンセーの方々へ

統一協会の話題を、テレビも週刊誌もどんどん扱っている。

先週の時点では、権力に忖度して沈静化していくのではないかと危惧していたが、統一協会を扱えば視聴率が上がる、部数が伸びるという現象に、もう各局・各誌とも抗えない状態になっているようだ。

安倍晋三があんなに無惨に殺され、しかもそのことによって安倍と反日・反社会カルトである統一協会の癒着関係が明るみに出されてしまうという事態は、「安倍マンセー派」にはとても耐えがたいことだろう。「私の心の中の美しい安倍晋三を汚さないで!」みたいな心の叫びが聞こえるようだ。

そんな、何が何でも安倍のことは美化しておきたい「安倍マンセー派」のために、「月刊WiLL」も「月刊Hanada」も「月刊正論」も、安倍追悼の大特集号を組んでいる。

そこでの安倍は「不屈の政治家」であり、「稀代のリーダー」であり「自由の守護神」であり「日本の宝」であり…と、賛美、賛美、賛美の嵐である。

まるで、文鮮明を「メシア」と賛美するかのように。

もちろん3誌とも安倍と統一協会の関わりなど一切触れず、そればかりか、銃撃の原因となったのは悪意ある安倍批判を繰り返した「アベガー」(サヨク)のせいだとする記事まで載っている。「愛する安倍さんの裏にそんな闇があったなんて、そんなこと見たくなーいっ!」といった状態である。

メディアでは連日、統一協会と安倍晋三・自民党の癒着関係が報じられているのに、ここは全くの異世界である。現実に対して徹底して目を塞いでいるその様子は、それこそが「信仰」であり「カルト宗教」であるとしか言いようがない。

そしてこれは信仰であるがゆえに、議論が一切通用しない。

首相時代の安倍があんなことをした、こんなことをしたといくら具体的に挙げても、「『アベガー』だ!」と言って、一切聞こうともしないのだ。

統一協会の信者が、「サタンの言葉だ!」と言って都合の悪い声に耳を塞ぐのと同じである。

だが、そんな安倍マンセー教信者にも、決して「『アベガー』だ!」では否定のできないことがある。

それは、安倍晋三が「戦後レジームからの脱却」を掲げながら、それを全てベタ降りしたことである。

安倍は第一次政権発足時に「村山談話」(侵略史観)を踏襲すると言い、「河野談話」(慰安婦強制連行)を踏襲すると言い、「東京裁判」に異議を唱える立場にないと言い、ついにこれを撤回することはなかった。

そして集団的自衛権の行使容認については、まずアメリカ議会で約束して、それから日本の議会での議論を開始した。

戦後レジームの根幹は、アジア侵略史観(自虐史観)とアメリカ追従である。安倍はこれから脱却すると言っておいて、より強化してしまったのだ。

これは決して否定のできない事実としてあるのだから、絶対に反論のしようがないことである。

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しかもこの上に、統一協会の問題が加わるのだ。

ジャーナリスト・鈴木エイト氏が公表したリストによれば、統一協会と関係のある国会議員は112人で、うち98人が自民党議員、中でも安倍派が35人に上る。しかも、まだ公になっていない議員は他にもいると考えられるという。

明らかになっているだけで、自民党の国会議員の4分の1以上が関わっているというのだから、びっくり仰天である。

しかも、警察組織を管理する立場にある国家公安委員長までも、統一協会の関連団体が主催するイベントの「京都府実行委員会委員長」を務めていたことを認めている。全く狂気の沙汰であり、そしてそれは全て第二次安倍政権発足以降に顕著になったことなのである。

中でもわしが特に重視しているのは、2013年の参院比例で初当選した元産経新聞記者・北村経夫への選挙協力の件だ。

統一協会の内部文書には、安倍から直々に北村を後援してほしいとの依頼があったと記され、さらに「まだCランクで当選には遠い状況」だった北村を当選させることが「組織の『死活問題』です」と書かれていたという。

その結果、北村は当選。二期目を目指した2019年の選挙でも、初当選時と同様に盤石な地盤を築けていなかったにもかかわらず、安倍が選挙直前に慌てて統一協会に支援を依頼し、再選されたといわれている。

広告塔として利用されていたという程度なら「知らないうちに悪用されていた」なんて言い訳もできなくはないが、安倍が自ら直々に統一協会(カルト団体)に後援を要請し、票の差配をして当選したとなれば、致命傷ではないか?

公明党・創価学会に協力してもらうのが当たり前になって、完全に感覚がマヒしていたのかもしれないが。

いずれにしても、安倍晋三と統一協会の間には「ズブズブ」程度の言葉では言い表せないくらいの関係性があったのは間違いないし、このままいけばこれからも事実がどんどん明るみに出されるだろう。何しろ30年分の事実が眠っているのだから。

だが、否定しきれないほどの事実が出てきた時に、自民党・ネトウヨ・安倍マンセー派たちがどうするかは目に見えている。

居直り始めるのだ。森友学園の時のように。

どんな事実が出てこようと、「それくらいはよくあること」だの、「ちょっと名前を貸しただけ」だの、「悪用されただけ」だのと言い始めて、どれだけ非難の声が挙がっても「それが何か?」とばかりに、大したことではないかのように相対化していく。それを、世論が飽きて関心を失うまでひたすら繰り返すのだ。

森友学園の時は、結局はその手で乗り切ってしまった。自殺者まで出してしまったにもかかわらずである。自民党はそれに味を占めて、今度もその手で行けると高を括っているに違いない。

自民党の茂木幹事長は「自民党として、組織的な関係はない」と白々しく弁明したが、その一方で安倍の実弟・岸信夫防衛大臣は「旧統一教会の方と付き合いもあるし、選挙の際にも手伝ってもらっている」と、開き直って関係を認めている。

岸はさらに、「旧統一教会に手伝ってもらったというよりは、旧統一教会のメンバーに、ボランティアでお力をいただいたということだ。選挙なので、支援者を多く集めることは必要なことだと思っている」と言っている。

選挙のための、普通のことをやっているだけというような言い方までするのだ。

さらに福田達夫総務会長に至っては、「なんでこんなに騒いでいるのか、正直な話、よく分からないというのがあります。正直言います。何が問題なのか、分からない」とまで発言している。

この無神経が凄すぎる。なぜこんなことを平然と言えるのか?カルトとの関わりを何とも感じないのは、そいつもカルトだからだとしか思えない。

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とにかく、こうして居直って相対化して、森友と同じように「普通のこと」にしてしまおうというのが連中の手口だ。

しかし、これを絶対に「普通のこと」にしてはいけない。もしそれを許してしまったら、30年前と同様に再び報道もなくなってしまい、ほとぼりが冷めたら政界にまたもや統一協会が正体を隠して浸透して来るということが繰り返されていくだろう。

この機会に、カルトは絶対に叩き出さないと、より一層の無法行為がまかり通ってしまう。

統一協会は普通の宗教ではない。カルトである。それも相当に悪質な、破壊的カルトである。

それは、暴力団と何も変わらない「反社会的勢力」である。むしろその悪質さ、その規模、一般人に与える被害の大きさ、どれをとっても暴力団を遥かに凌駕していると言っていい。

今は「反社会的勢力」と関わりを持つと、非常に重い社会的制裁を受ける。お笑い芸人が暴力団員と直接交際があったという理由で、引退を余儀なくされた例もあるし、暴力団がらみの「闇営業」に出たというだけで、長期間の謹慎を課せられた者もいる。

それなのに、政治家はこれだけ反社会的勢力と濃厚接触していてもお咎めなしなのか?政治家の社会的責任って、お笑い芸人よりも軽いのか?

統一協会のメンバーと付き合いがあり、選挙の支援を受けたことを認めている岸信夫は、霊感商法や献金強要被害などの問題について「そういうことが言われている団体だということは認識をしていた」と認め、「被害に遭った方がいることは大変な問題だと思っている」と言っている。

知ってて協力を受けていたのだ。即刻議員辞職しなければおかしい!

関係が明らかになった他の議員も全員議員辞職させ、統一協会を完全に排除した上で出直し選挙をするべきである!

安倍晋三の「国葬」は9月27日だ。

自民党、とりわけ安倍派が統一協会と癒着しまくっていた事実が今後どれだけ出て来ようと、「WiLL」「Hanada」「正論」は、何が何でも国葬が終わるまで安倍を賛美し続けるのだろう。だったらいっそのこと、わしが先に安倍への賛辞を書いてやろう。

偉大なる指導者、安倍晋三様、ありがとう!

あなたこそが、日本の宝でした!

朝日新聞を始めとする、これまでいくつもの政権を潰してきた反日マスコミに打ち勝って、史上最長の政権を築いたその栄光は決して消えません!

反日マスコミに勝つために、より強力な反日カルトと手を組むなんて、こんな大胆な逆転の発想があろうとは、さすがとしか言いようがありません!

政権を獲得し、これを維持するためなら、反日・反社カルトに国民を売ってもかまわないとは、ものすごい覚悟でした!だからこそ、どんなに不祥事を起こしても選挙となれば無敵だったわけです。こんなことが野党にできるわけがありません!この「売国力」こそが、誰にも及ばない安倍さんの並外れた力量だったのです!

安倍さんが目指した「美しい国」とは、かつて朝鮮を侵略したことを真摯に反省し、その贖罪のためにどこまでもお金を貢ぎ続ける国だったとは、思いもしませんでした!

普通はこんなことが明らかになったら、保守や右派の人たちから「裏切りだ!」と非難の嵐が巻き起こるはずなのに、安倍さんに対してだけは絶対にそれが起こりません。この人徳のすばらしさ!いい信者…じゃなくて、支持者に支えられて、最高の政治生活ができて、さぞ幸せなことだったでしょう!

志半ばで凶弾に斃れたことは不幸ではありましたが、これだけ立派な業績を残されたことですから、きっとその魂は文鮮明の待つ霊界に迎えられ、天国に行けることでしょう。統一協会の信者やその家族がどれだけ地獄を見ていようとも!

安倍さんはこれから国葬で送られます。これだけ国を売りまくって国葬をしてもらえるなんて、まさに前代未聞の偉業です。

安倍晋三の名は、21世紀の日本人がここまで信じがたいようなリーダーを担いでいたという事実と共に、後世の人々に驚愕の眼差しで見られることになるでしょう。 未来に、日本という国がまだ存在していればの話ですけれども。

「戦後レジームからの脱却」と言いつつ、アジアへの自虐と従米主義という「戦後レジーム」に逆戻りし、統一協会の「自虐史観」をテコにした日本人からの献金主義で家族の破壊を繰り返す。

こんな首相は、もう二度と出てこないことでしょう。出てきてほしくもありませんが!

空前絶後の稀代の宰相、安倍晋三様、マンセー!マンセー!!(『小林よしのりライジング』2022年8月2日号より一部抜粋・文中敬称略)

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image by: 首相官邸

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