日本社会を蝕む「朝鮮民族主義」とは何か?創建1250年の神社宮司が斬る旧統一教会問題と「日本人も知らない神社の話」

2022.12.30
mag_Sunmyungmoon
 

2022年に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件によって注目を集めている、与党・自民党とカルト宗教団体「統一教会」との蜜月関係。 1250年以上の歴史を持つ愛知県清須市の清洲山王宮「日吉神社」の神職三輪家56代である宮司・三輪隆裕さんは『宮司のブログ』の中で、統一教会の創始者・文鮮明が世界を裏からコントロールするという「最終目的」のために手段の一つとして宗教を利用してきた歴史を紹介しながら、本家のキリスト教からも敵視される同教団が、日本の神社界にまで入り込んでいる実態を白日の下に晒しています。

三輪隆裕(みわ・たかひろ):
清洲山王宮日吉神社 宮司。至学館大学客員研究員。1948年、愛知県にて出生。名古屋大学文学部卒業、諏訪神氏に連なる神職三輪家56代。保守系の国会議員らで組織される日本会議と、全国に8万の拠点を持つ神社本庁による「全体主義」「戦前回帰」に異を唱える言論活動をおこなっている。また、IARF(国際自由宗教連盟)を通じて世界に異宗教間の相互理解と共存を呼びかけている。

旧統一教会のデタラメすぎる聖書解釈

安倍元首相への銃撃事件を発端に、統一教会(世界基督教統一神霊協会、現在は世界平和統一家庭連合と改称)の情報が話題を攫っている。

私は1967年に名古屋大学へ入学したが、当時のキャンパス内では、新入生のオルグ合戦でさまざまな組織が火花を散らしていた。日本共産党系の民主青年同盟(民青)と全共闘系の諸派は、中でも激しく対立していた。その中で、目立ちはしなかったが、素直で純真な新入生に優しく語りかけていたのが、当時どの大学にも入り込んでいた原理研究会であった。「科学と宗教を統一させる原理を説明する」というのが謳い文句であった。※編集部註:統一教会によって大学内に非公認で設けられている学生サークル

私は、民青の合宿にも誘われ、全共闘のセクトの連中と議論を闘わせ、どちらにも与しなかった。実は、原理にも声をかけられた。それは偶々上京した時、渋谷駅前で勧誘をしていた原理の学生の話を聞いたのがきっかけであった。当時、神職の高位資格を取るためにキリスト教の勉強をしていた私は、彼らの語る聖書解釈が実にいい加減で一方的なものであることに気づき、激論を闘わせたのである。4、5時間も話していたと覚えている。原理の学生たちは根負けして、場所を移して続けようと提案した。私はそこで、これから名古屋へ帰らなければならないと言って別れた。これが唯一の接点であった。

その後、学生運動も下火になった頃、学生の不良化防止のためと称して、個別訪問や交差点で停止した車両に花束を売りつける若者が目立った時期がある。これもおそらく原理、すなわち統一教会の資金集めであったろう。

日本人を食い物にする「朝鮮民族主義」とは何か

1980年代になると、統一教会の霊感商法が社会問題として取り上げられるようになった。元々、日本人の中に、死者の慰霊をしなければ、その霊魂が怨霊や悪霊となって現世に様々な不幸をもたらすという信仰がある。これは、平安時代の御霊会がその原点であり、祇園祭や天王祭に代表される日本の夏祭りは全てこれと関係があると言ってよい。従って、先祖の慰霊を怠れば現世や未来に不幸がくるので、お金を出して、あるいは行動を通して慰霊しなさいと言った言説に日本人は極めて脆弱である。新宗教や新新宗教の大部分はこれを布教に利用している。

私は、1985年頃から、IARF(国際自由宗教連盟)という宗派を超えた交流と世界平和の促進を図る組織と関わるようになった。その中で、立正佼成会の方々から、当時統一教会の日本の初代会長であった久保木修己という人が、立正佼成会から脱会した人物であり、いわばヘッドハンティングされたということがわかった。彼はまた、1968年創設の国際勝共連合の日本の初代会長でもあった。統一教会は、この他に世界日報や世界平和教授アカデミーといった関連組織も作っていた。

つまり、文鮮明という1954年に統一教会を創始した人の狙いは、政治、学問、宗教、マスコミ等多岐にわたって社会に影響を及ぼし、自分が世界を裏からコントロールすることを最終の目標としていたのではないか。何よりも、政治への世界的影響力を持ち、世界政治を裏側から操ろうと試みたのではないか。それは反共産主義と朝鮮民族主義を核とした政治活動であり、宗教は人々を洗脳するための道具であったように思われる。つまり統一教会は宗教を手段の一部とした政治活動である。

反共産主義を掲げたので、日本では笹川良一、岸信介といった右翼大物との接点が生まれ、現在の自民党右派との繋がりに続いている。また、朝鮮民族主義は、日本で詐欺まがいの莫大な募金を行い、これを韓国をはじめとする海外の政治宗教活動に使用するという仕組みを支える、アダム(主人)は韓国、イブ(奉仕者)は日本という論理構造に示されている。さらに冷戦終了後は積極的に北朝鮮の金一族と接点を持ち、献金を通じて一定の関係を築き、朝鮮統一の足がかりにしようとした態度にも示されている。なお、統一教会のなりふり構わぬ反社会的な資金集めは日本に特徴的なことである。それほど日本人は扱いやすいということだ。

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