売れなくなってきたものに対し、売り物を変えるのではなく「売り先を変える」ことで売上を伸ばすという方法があります。それを実践して成功しているのがサントリー。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では著者の理央さんが、サントリーの「ボスマート」について詳しく分析しています。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
売り物を変えずに売り先を追加する~サントリーボスマートに学ぶ売り伸ばしの方法
サントリーが始めた、自販機で軽食が買える、「ボスマート」が話題になっています。
会社の中に置く、お菓子やカップヌードルなど、の軽食が買えるサービスで、小さい棚のような什器に軽食が置いてあるのです。
会社の休憩室などに設置してあれば、残業した時など、好きな時にコンビニなどに行く必要もなく、休み時間に楽しみことができます。
買いたい場合は、商品をとって、その横に自動販売機があり、お金はその自動販売機に入れて支払う、という仕組みです。
いわゆる自動販売機をセルフレジとして使う、ということです。
日本経済新聞によると、サントリーは、この仕組みを「一台一台の自販機は、直営小売店のようなもの」と位置付けているそうです。
地方に行くとたまに見かける、野菜や卵の「無人販売所」といった感じです。
もちろんこのセットの横には、本家本元の飲料の自販機も置いてあり、サントリーとしては、軽食と飲み物を一緒に買ってもらうことを狙っています。
コンビニの普及や、コロナ禍による外出制限などで、飲料の自動販売機は、年々減少傾向にあります。
そんな中で、いかにして自販機で売るか、という知恵を捻った結果の取り組みです。
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これまで、自動販売機を設置する時は、人通りが多い繁華街などを中心に置いていましたが、人流が減ってくると、売り上げが減ったり、そもそも場所が限られたりしてきます。
そこで、これまでのように、消費者向けに売ることに加えて、企業向け法人向けに売っていこうとするのが、今回のボスマートです。
昨年から進めていた、企業向けの福利厚生の機会を狙った、“社長のおごり自販機”という企画も全国展開するとのことです。
これは、「社員は、自販機に社員証をかざすと、無料で飲料が手に入る」というもので、「社長にドリンクをおごってもらう」という仕組みを、そのままネーミングしたのも面白いですよね。
企業にとっては、売り物を変えることは難しいですが、このように売れる市場に敏感であったり、変化の中でのチャンスを素早く汲み取る努力をして、「売り先」を追加することで売り伸ばすことができます。
消費者向けのサービスや製品を販売している企業であれば、法人向けにできることはないか?と、発想を転換することで、このような新しい売り先を追加することができますよね。
売れない問題が出てきた時には、流行っている手法を試したり、ITを取り入れたりすることも大事ですが、その前に、今一度自社の環境を見直して、売り先が追加できないか、を、考えてみることが重要です。
それを表す典型的な事例でした。
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