とても正気とは思えない……これがあの記者会見を見た誰しもが思った正直な感想ではないだろうか。5日に静岡県の牧之原市で起きた、3歳の園児がバスに置き去りにされ死亡した事件を受けて、川崎幼稚園が7日午後3時から記者会見を開いた。しかし、増田立義理事長兼園長(73)の声はかすれて聞き取りにくく説明も“しどろもどろ”。亡くなった園児の名前を何度も間違えたり、ヘラヘラ笑うなど、まるで他人事のような態度は「東池袋自動車暴走死傷事故」を起こし“上級国民”と呼ばれた飯塚幸三受刑者(90)を彷彿とさせた。
ありえない幼稚園側「4つのミス」
地元テレビ局の静岡放送などの報道によると、河本千奈ちゃん(3)は発見された当時、体温が40度を超えていたという。この日の現地の気温は30.2度と真夏日の気温を記録していた。バスの中には、中に入れた飲み物が飲み干されて空っぽになった水筒が見つかっており、さらに暑さをしのぐためか、千奈ちゃんは上半身の服を脱いで倒れていたとという。千奈ちゃんの死亡した状況の説明にショックを受けたのか、7日の午前に開かれた同園の保護者説明会では、過呼吸のような症状となった保護者や保育士ら13人が救急搬送される事態となっている。
そして同日午後3時に同園でおこなわれた記者会見で、増田園長は事故を謝罪し役職の退任を表明。その後、増田園長は事故が起きたあらましと、原因となった以下の「4つのミス」を挙げた。
- 1つめのミス:バスを降りた園児の名前や人数を確認していなかったこと
- 2つめのミス:園児がバスに残されていないか、運転手がチェックする決まりになっていなかったこと
- 3つめのミス:クラス補助の職員が、園児の出欠を確認するアプリなどで最新情報を確認していなかったこと
- 4つめのミス:千奈ちゃんがいないことを、クラス担任が保護者へ連絡していなかったこと
事件当日の5日は、いつもの運転手が病欠のため、年に数回しかバスを運転しない増田園長がハンドルを握っていた。しかし増田園長は、いつも運転手が行う「運転後に後部座席を見て確認」「運転後の後部座席の消毒」も怠っていたという。同乗した70歳の派遣職員も後部座席を確認することなく、増田園長と職員がお互いに「確認は相手がするものだ」と思っていたと説明した。
ヘラヘラと笑い、園児の名前を間違う他人事ぶり
しかし、この記者会見があまりにも酷い内容だった。同会見で増田園長は、千奈ちゃんを「ちなつちゃん」「ちなつちゃん」と何度も言い間違えた。
また、取材記者から「(ボソボソしゃべるので)何を言っているか分からない」「マスクを外して話して」と注意されても、増田園長は「歳なもんで声がガラガラ」と、信じられないことにヘラヘラと笑ったのだ。
さらに、増田園長は「僕がいなくなったら(園が)さらによくなるように……」などと語ると、横にいた弁護士に「園を続けるかは決まっていない」と遮られ「そうか。廃園になるかもしれないね」と、まるで他人事のように薄笑いを浮かべて話したのである。
隣りに座った杉本智子副園長(58)も終始、原稿を見ながら事務的にしゃべり、聞こえないように話した「あー、もう疲れちゃった」という声をマイクが拾ってしまっていた。
そんな他人事の園長・副園長と「けんか腰」の弁護士を含めて、この会見はネットで大炎上。その燃え上がりはまるで収まる様子がない。
増田園長は典型的な「ボンボン」苦労知らずの言い訳男
文春オンラインが7日に増田園長の「人となり」を詳しく報じた記事によると、増田園長は先代の実父から2002年に園長を引き継いだという。質実剛健主義の先代と違い、増田園長は典型的なボンボン気質だとした。「俺は知らない」「そんなことは言ってない」が口癖で、子供の頃についたあだ名は「ええからげん(=いいかげん)八兵衛」。
しかし、園長に就任すると、近隣の幼稚園を次々と買収して、経営拡大を追求したという。規模は大きくなったものの、子供の扱いや園の管理がずさんになるのではないかと懸念されていたようだが、その心配が現実になってしまったのである。
今回の事件現場となった川崎幼稚園の送迎バスは、地元でもいち早くペインティングを施して人目をひいていたが、そのペインティングは後部座席の窓ガラスにまで施されており、後部座席の中の様子が全く見えない仕様になっていた。このペイントさえなければ、中に千奈ちゃんがいることに誰かが気がついた可能性もあり、今後は通園バスのペインティングにも規制などをもうけてもらいたいところだ。
上級国民・飯塚幸三と共通の“腐臭”に世論猛反発
記者会見の増田園長の言動を見て思い出されるのは、あの「東池袋自動車暴走死傷事故」の飯塚幸三受刑者だ(90)。
パーキンソン病を宣告され、歩くこともままならない身体でありながら自動車を無暴運転。母娘の命を奪い、9人が重軽傷を負った事件である。
飯塚受刑者は、裁判で自身の過失を棚に上げ、事故を自動車メーカーのせいにして「安全な車を開発するように心がけていただきたい」と他人事のような発言をして無罪を主張。
事故の直後は元通産省技官という肩書のためか、すぐに逮捕されることもなく、マスコミから「容疑者」呼ばわりされず「元院長」などと特別扱いで報道されていたため、ネットで「上級国民」と呼ばれて批判された。
今回の増田園長も、立場の違いはあれど、この事件さえなければ父の幼稚園を引き継いだ「地元の名士」のままで終わったのかもしれない。そして、どこか他人事のような態度から飯塚受刑者と同じ匂いを感じた多くのネットユーザーたちが、今回もSNS等で猛批判し炎上している。
国は、送迎バスによる「園児の取り残され防止」のため、内閣府、文部科学省、厚生労働省、と連携してワーキングチームの設置に向けて調整中だという。
増田園長の責任問題を含めて、この事件の全容が早く解明されることを願うばかりだ。
Twitterの反応
薄ら笑いの記者会見
車内にあった女の子の空の水筒
どんなに苦しかったことか…『女児の姿なく休みかと思った』
まったく誠意が感じられない。
保護者説明会は怒号の混乱の中中止に→廃園になるかもしれないねw
こいつ命をなんだと思ってんだ?#川崎幼稚園 https://t.co/KcLztmzjEV
— たま (@UOduO1g7rJ1JvlU) September 7, 2022
3歳児置き去り事件での
川崎幼稚園の園長の謝罪会見を見た他人事のような言い訳
名前を言い間違える
園の存続について笑っている
事件の重大さが伝わってこないなど、酷すぎる‼️
知床遊覧船を思い出した
無駄に歳をとった責任者は
あんな風になるんでしょうか……— エムズ (@_msstyle) September 7, 2022
今回の幼稚園バスの事件、川崎幼稚園の増田園長の言動が、池袋の事件の飯塚幸三に酷似していて、本当に胸糞悪い。人が亡くなった、しかも自分の過失で。という認識がなさすぎて吐き気がする。
— 思いやり大事 (@tsumariyo_sea) September 7, 2022
会見の様子酷すぎる…
起きてんのか寝てるのかわからない理事長
ケラケラ笑いながら答える副園長
保護者説明会で救急搬送者続出って何事って思ったけど会見見たら納得
人としてまともじゃない
千奈ちゃんと遺族の方が不憫でならない…#川崎幼稚園 #空の水筒— りー☺︎10m🎀 (@lii_baby_fam) September 7, 2022
人材不足が原因?
いい人材雇うのが大変?
なんでテレビに向かって「いい人紹介しろ」?
なんでヘラヘラしてるの?
なんで他人事?横の副園長も終始ヘラヘラ。
こいつら他人事で反省してないやろ。記者会見見てない人は見てほしい。
胸糞注意#川崎幼稚園 #記者会見 #バス置き去り pic.twitter.com/tZT5HKwoBP— 小田ひろみ (@MIYUSUMMER1793) September 7, 2022
自分の地元の、しかも自分が通ってた幼稚園であんな大問題起きてるとは思わんかった
園長先生、事の重大さ分かってない。
しかも記者会見で笑う、信じられんよ俺が大好きだった園長先生はもう居ないんだな
残念だよ#川崎幼稚園 pic.twitter.com/LK2Zwant49— ひとき (@_Hi1x) September 7, 2022
自分の地元の、しかも自分が通ってた幼稚園であんな大問題起きてるとは思わんかった
園長先生、事の重大さ分かってない。
しかも記者会見で笑う、信じられんよ俺が大好きだった園長先生はもう居ないんだな
残念だよ#川崎幼稚園pic.twitter.com/LK2Zwant49— ひとき (@_Hi1x) September 7, 2022
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image by: MAG2 NEWS編集部