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保守とリベラルが大喧嘩。日本で報じられぬ米国を揺るがす大論争

2021年のバイデン大統領就任直後から現在に至るまで、アメリカで大論争となっている不法移民を巡る問題。しかしそのニュースが日本で報じられることは皆無と言っても過言ではありません。なぜ国内メディアは当問題に関して無視を決め込んでいるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、アメリカ社会を二分する不法移民問題を詳しく解説するとともに、日本のマスコミが移民論争をまったく伝えない理由を考察。その報道姿勢に対する自身の率直な感情を記しています。

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米国:泥沼の不法移民論争とマスコミ

今、アメリカで起こっている騒動をご存じでしょうか?

カリフォルニア州知事が司法省に「テキサス州知事とフロリダ州知事を不法移民の誘拐罪で起訴しろ」と手紙を出したのです。

参考:DeSantis blames Newsom’s ‘hair gel’ for muddling ‘brain function’ after call for DOJ to probe migrant flights

経緯を説明しましょう。

現在、米国では不法移民を厳しく取り締まるべきだという共和党系と、不法移民に寛容であるべきだという民主党系の知事市長らの泥沼のバトルが続いています。

テキサス州知事やフロリダ州知事は、不法移民をニューヨークやワシントンDCにバスや飛行機で送り込んでいます。

「壁を作ってしっかりと国境管理をしてくれ。国境は大変なことになっているのだ」というバイデン大統領とマスコミへのアピールです。

また不法移民に寛容な政策をとる聖域都市、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど市への直接的な不満表明でもあります。

これら聖域都市が不法移民を取り締まらず逆に保護を与えているから流入が止まらないのだと怒っているのです。

「そんなに不法移民を大事にしたいなら、送り込んでやる」という事です。

先日はテキサス州知事が不法移民保護論者の市長のいるシカゴ市に不法移民を送り込みました。

シカゴ市長はその不法移民を近隣の聖域都市でない共和党系の市にバスで再移送しました。

送り込まれた共和党系の市長は当然怒ります。連鎖反応です。

シカゴ市長は「テキサス州知事が不法移民をチェスの駒のように政治的に使っているからだ」と非難しています。

大変な論争というか喧嘩です。

そして最初のカリフォルニア州知事の話になります。

カリフォルニア州知事は司法省に「テキサス州知事やフロリダ州知事が不法移民をバスや飛行機で聖域都市や民主党系の州に送り込んでいるのは誘拐犯罪だ」と起訴を要望したのです。

「聖域都市に行った方が仕事が得られるよ、と騙してバスに乗せている。詐欺的な誘拐である」というのです。

フロリダ州知事は「カリフォルニア州知事はヘアジェルのつけすぎで頭がおかしくなっている」と応答。

テキサス州知事は「バイデン大統領やカマラ副大統領が国境に行かないのであれば、我々が国境を彼らに見せてやる。」と一歩も引きません。

それに対して、ホワイトハウスの報道官は、民主党系の州に移民を送る共和党の州知事を「違法な演出」と非難しています。

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さて、一歩離れて、これらの泥沼論争についての報道はどうでしょう。

アメリカのマスコミ報道は完全に二つに分かれます。

保守系、共和党系のFOXニュースは、バイデン大統領の国境政策と聖域都市を強く感情的に非難しています。

CNNをはじめとする大多数の進歩的、民主党系の大手マスコミはあまり積極的に報道しません。報道しても事務的な形です。

共和党の支持者たちは、そういった大手マスコミに対して、完全に信頼を失っています。

「どうせ大手マスコミは少しでもトランプが正しかったというような報道はしたくないのだ。」と、まったく信頼していないのです。

日本のマスコミはどうでしょう。

シンプルに「報道しない」という姿勢に見えます。

もし本当に米国不法移民問題を細かく報道すれば、日本人の感覚から言えば、国境管理を厳格にして不法移民は厳しく取り締まるべきだ、という結論に必ずなります。

それはトランプ前大統領の主張を是認する事にもなりますので、それが嫌なのでしょうか?

こういった不法移民の泥沼の争いはなるべく報道しない姿勢のようです。

それで「アメリカ人の半分(共和党支持者)はいまだにトランプに騙されている」といった論調をこれからも続けるのでしょう。

これで日本人がアメリカ人の考えを理解できるとは思いません。

客観的な報道がなぜできないのか。怒りを通り越して、不可思議さと諦念の感情がわいてきます。

P.S. 以下、私が書いた不法移民に対する論争の過去のまぐまぐ記事です。

日本の新聞が報じぬバイデン大統領「最初の試練」アメリカ国境崩壊の危機が近づいている
テキサス州知事ブチ切れ。日本メディアが伝えぬ米国の政策論争とは

(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』9月18日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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