人生100年時代ともいわれ、少子高齢化が止まらない日本では、介護をする人口が増えています。今や誰もが通る道となった介護について詳しく、そして優しく教えてくれる一冊をメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』が紹介しています。
【一日一冊】わたしが、認知症になったら
原川大介 著 加知輝彦 監修/中央経済社
介護のプロが教える両親が認知症になったときの心構えです。
認知症の比率は85歳以上で50%とも言われています。つまり認知症は、病気というよりも老化現象であり、年をとれば一定の確率でだれでも認知症になってしまうのです。
まず最初に両親が認知症になったときに知っておくべきことは、介護する人の負担を減らすことを最優先することです。
介護サービスが使えるのであれば、限度まで使えばいいし、お金の心配があれば、専門家に相談すればいいのです。
また、どのように介護していくのか、親戚の中で議論になったときも、あくまでも今、介護している人の意見を尊重するのが原則です。
介護疲れで、介護されている人よりも介護している人のほうが具合が悪くなっては本末転倒ということです。
介護サービスを使えるだけ使えばいい…お前が幼かった頃、私たちはお前を保育園に通わせた(p24)
介護のプロだけあって、介護サービスの現状や課題をよく知っているんだな、と感じました。
例えば、介護をしてくれる人に介護される人の性格や好みや人生歴を教えてあげることが重要です。
なぜなら介護される人の中には、タオルが枕にないと眠れない人やネギが嫌いで食べられない人がいます。そうした人それぞれの特性を知っていないと、単にタオルがないから眠れないだけなのに、夜眠らないので困ってしまい、はてには強い薬を飲ませて寝せてしまうということがおきるというのです。
認知症の人の中には、「夕方の支度をしなければならない」と言い張る人もいます。そうした人を困ったおばさんと見るのは簡単です。しかし、長年夕食を作ってきたおばさんなのですから実際に介護施設の食事作りを手伝ってもらうと、意外と施設も助かるし、本人も落ち着いて家に帰りたいなどと言わなくなることがあるというのです。
このように世の中には、よい介護サービスもあれば、イマイチの介護サービスもあるわけです。サービスを受ける側から情報提供するだけで、介護サービスの質がよくなる可能性があるのです。
仮にデイサービスを使っていて問題があれば、あまり深く心配せずに、他のデイサービスを試してみるのも選択肢として持っておきましょう。
デイサービスに馴染めなくても、心配ない。デイサービスは、他にもたくさんあるからだ(p99)
父さんが認知症になったら「お前は、何も悪くない」という最初の一言が印象的でした。介護とは誰もが通る道だから、多くの人が同じことを感じ、悩んでいるのです。
子どもを育てるのもたいへんですが、老人を介護するのもたいへんです。誰もが介護について、学んでおくべきなのでしょう。
娘への20の手紙の形式になっているので読みやすく、心が揺さぶられました。★5とします。
原川さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★★(92点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
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