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中国の10大ニュースに「日本」。なぜ南京市の寺でA級戦犯の位牌が祀られた?

日本では年末になると必ず特集される「今年の10大ニュース」ですが、実は中国もそういった特集があるのだそう。今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』では、2000年に来日し現在は日本に帰化されている中国出身の作家・黄文葦さんが、2022年の中国の10大ニュースを紹介し、中でも日本に関係したものについて説明しています。

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中国の「今年の10大ニュース」

Question

日本のマスコミは年末になると「今年の10大ニュース」が恒例企画となっていますが、中国ではどうですか?もし同じようにあるなら、今年はどんなニュースが選ばれるのでしょう?

黄文葦さんからの回答

中国でも、年末に10大ニュースを選ぶ習慣があります。多くのメディアが2022年のトップ10大ニュースを選んでおり、その内容はさまざまだが、基本的には次の3つビックニュースが含まれています。

☆ 10月、第二十回全国代表大会で新しい中国共産党の指導部である中央政治局常務委員会委員が選出された。中央委員会総書記は依然として習近平。勿論、胡錦濤の「途中退席」事件には触れていない。

☆ 中国の天宮号宇宙ステーションが正式に完成した。2023年、中国の宇宙ステーションは正式に運用段階に入る。

☆ 中国のCOMAC(中国商用飛機有限責任公司)は現地時間12月9日、小型機C919型機の初号機(登録記号B-919A)を、最初の顧客である中国東方航空(CES/MU)へ引き渡した。機体はC919型で、将来的にはボーイング737やエアバス320と健全に競合する可能性がある。

多くのメディアは、国内ニュースと国際ニュースを分けて報道しています。あるサイトでは、国内と海外のニュースを合わせて、次のようなトップ10を挙げています。そのうち2つは日本に関係するものです。

☆北京冬季オリンピック
☆ロシア ウクライナ紛争
☆中国東方航空MU5735便墜落事故
☆サル痘感染の発生
☆安倍首相暗殺事件
☆南京玄奘寺は日本の戦犯の位牌を祀っていた
☆英国の首相が相次いで交代する。
☆イギリスのエリザベス女王2世が死去
☆韓国・ソウルの梨泰院大規模な圧死事故
☆カタール・ワールドカップ

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特に、南京玄奘寺は日本の戦犯の位牌を祀っていることについて説明をしたい。中国メディアによると、位牌が確認されたのは南京市玄武区の古刹「玄奘寺」。極東国際軍事裁判でA級戦犯とされ、その後死刑を執行された松井石根陸軍大将や、南京軍事法廷で死刑となった谷寿夫陸軍中将らの氏名が書かれた位牌が奉納されていたということです。今年2月にこの寺を訪れた観光客がSNS上に画像を掲載し、ネット上で騒ぎになりました。

南京市民族宗教事務局が市内の玄奘寺で今年2月に位牌が見つかり、既に撤去されたと発表しました。さらに、市政府は、社会に悪影響をもたらしたとして、同事務局幹部らを免職などの処分にしました。

この出来事は、中国で大きな反響を呼んでいました。そのような行動は犯罪とみなされます。その後、中国警察はこの奉納者が呉阿萍(Wu ah-ping)という女性であることを突き止めた。北京の医学部で学び、2013年から南京の病院に勤務、2019年に五台山の寺の僧侶になるために辞職していました。

公安当局の訪問と調査により、戦犯の位牌を奉納した行為は呉阿萍の個人的な行為であり、その背後には他人の指示や共謀はないと指摘された。心理的なトラウマがあり、仏教に触れた彼女は、5人の日本人戦犯を供養することで自分を解放し、「不幸から抜け出せる」と期待したわけです。つまり、政治的な立場とは関係なさそうです。

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image by: Shutterstock.com

黄文葦この著者の記事一覧

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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【著者】 黄文葦 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第3月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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