課題がなかなか解決できないのは、さまざまな要素が複雑に絡み合っているケースが多いもの。まずは、状況を正しく把握し、原因を分析し、その先を予測してより良くするためのアイデアをたくさん出す。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、経営コンサルタントの梅本泰則さんが、そんな考え方の整理と課題解決に役立つ3つの方法を紹介してくれます。
考えを整理する3つの方法
1.MECE
あなたは、考えを整理するのに、どんな方法を使っていますか?ビジネス書には、整理する方法も書かれています。その中から、3つご紹介しましょう。
最初に紹介するのは「MECE」です。MECEは、「ミーシー」と読みます。物事を整理して考えるときに使う手法です。ロジカルシンキングを学ぶときには必ず出会います。
MECEは、Mutually(相互に)、Exclusive(漏れがなく)、Collectively(全体として)、Exhaustive(重複せず)の頭文字をとったものです。難しい単語が並んでいますね。
一般的には「モレなく、ダブリなく」というように訳されています。つまり、全体を分類するときには、「互いにモレなく、そして全体にダブリなく」分類すると、正しく把握できるということです。
例えば、「お客様」を分類してみましょう。
- ダブリはないが、モレがある分類
「新規のお客様」「野球用品の既存客」 - モレはないが、ダブリがある分類
「新規のお客様」「既存のお客様」「野球用品の得意客」 - モレもダブリもある分類
「県内のお客様」「県外のお客様」「新規客」
この例は単純ですが、意外とモレやダブリがあったりするものです。全体を分類するときは、MECEで考えてみましょう。
では、なぜモレやダブリがあるといけないのでしょうか。それは、
- 網羅できる
- 見落としを排除できる
- 混乱がなくなる
からです。
2.KT法
次に紹介するのは「KT法」です。KJ法は有名ですが、KT法はあまり知られていませんね。KT法はアメリカの心理学者ケプラー氏と社会学者のトリガー氏によって開発された思考技術です。合理的な問題解決と的確な意思決定を導き出すことができます。
KT法の思考プロセスでは、次のように考えます。
- 何が起きていて何をすべきか
- なぜ起きたのか
- どのように対応すべきか
- 何が起きそうか
つまり、課題を設定し、その原因を調べ、対応策を決定し、計画遂行におけるリスク対策をとるということです。そうすれば、合理的、論理的に問題解決、意思決定ができるわけです。
ただし、その場合、次のように思考の癖を排除する必要があります。
- 先入観にとらわれない
- 結論を急ぎ過ぎて、対策にジャンプしない
- 固定観念にとらわれて、過去の延長線上の案になっていないかを考える
- 自説に固執しないで謙虚にリスク対策を受け入れる
KT法は、かなり緻密に組み立てられた思考法です。使いこなすには少し訓練が必要だともいわれています。
3.ブレインライティング法
最後に紹介するのは、ブレインライティング法です。物や企画を作るときのアイデア発想法に、有名なのがいくつかあります。
- オズボーンのチェックリスト法
- ブレインストーミング
- ブレインダンプ法
- KJ法
- マンダラ法
これらは、企画の現場でよく使われている方法ですので、あなたもいくつかはご存知でしょう。ところが、ブレインライティング法というのは、あまり使われていないようです。
そのブレインライティング法を使った研修に参加したことがあります。これがなかなか面白い方法でした。
この発想法は、当初「6・3・5法」と呼ばれていたそうです。6人の参加者が一つのテーブルについて、それぞれ3つづつのアイデアを考えて5分以内に記入し、それを隣の人に順次回していくという方法だからです。
すると、30分後には6人×3アイデア×6回、全部で108個のアイデアが出されることになります。実際には、何人でもできる方法ですので、一度試してみてはいかがでしょう。
以上、3つの方法を紹介しましたが、どれも実際にやってみないと分かりません。言葉だけで説明するのは難しいです。方法をよく知っている人にサポートしてもらうと良いでしょう。
■今日のツボ■
- MECEで整理すると、モレやダブリがなくなる。
- KT法では、合理的な問題解決と的確な意思決定ができる。
- ブレインライティング法を使うと、多くのアイデアを出すことが出来る
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