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ディズニーから訴えられた「ミニ・トランプ」を岸田首相が厚遇するワケ

ウォルト・ディズニー社がフロリダの州知事を訴えて話題となっています。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、その話を詳しく解説するとともに、旧統一教会の関係にも迫っています。

ディズニー、2024年大統領候補デサンティス・フロリダ州知事を訴える 一方、デサンティス氏は日本訪問 共和党と旧統一教会との関係は?

ウォルト・ディズニー社は、アメリカ南部フロリダ州オーランドにあるディズニー社のテーマパーク「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」の事業運営に不当に介入しているとし、フロリダ州のデサンティス知事(44)を、フロリダ州の連邦地裁に提訴した。

デサンティス氏は、2024年の大統領選に立候補すれば、トランプ前大統領に次ぐ共和党の有力候補になるとも。

ディズニーは、デサンティス氏の政策に反対する発言をしたことで報復を受け、数10億ドルもの事業が脅かされていると主張。

「州政府は法律で保護されたディズニーの言論を罰するために、デサンティス知事による細かい指示の下、当社を標的とした報復キャンペーンを展開した。それは今やディズニーの事業運営を脅かし、同地域における当社の経済的将来を危険にさらし、憲法で保障された権利を侵害している」(*1)

と訴える。

保守派のデサンティス氏と、ディズニーとの間では、1年以上前から対立が続く。対立の発端となったのは、デサンティス氏がLGBTQなど性的少数者の話題を小学校の授業で扱うのを規制する州法を昨年3月に成立。

このことディズニーは批判した。これに対し、デサンティス氏が“報復”に出たのだ。

目次

・デサンティス氏、日本訪問 岸田首相と会談
・自民党と共和党との親和性
・共和党と旧統一教会との関係

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デサンティス氏、日本訪問 岸田首相と会談

ディズニーに訴えられたデサンティス氏は、“あろうことか”同じころ、日本にいた。

4月24日、デサンティス氏は東京で、岸田文雄首相と会談。今回の来日は、デサンティス氏自らの外交政策の信頼性をアピールすることを狙う、海外ツアーの最初の日程として組まれた。

訪日後、韓国やイスラエル、イギリスへの訪問予定が組まれている。

デサンティス氏の事務所は、出発に先立ち、今回の海外視察が、フロリダ州知事である自らが率いる、貿易ミッションの一環であると述べた(*2)。

デサンティス氏の海外視察は、2024年の大統領選挙への立候補へ向け、これまでほとんど触れられていなかった彼への外交問題のスタンスを周囲にアピールする機会でもあるという(*3)。

日本政府関係者よると、米ワシントンにある日本大使館が、冨田駐米大使らがデサンティス氏側と接触し、関係構築を進めながら、日本に早期を訪問するよう、働きかけていた(*4)。

また日本側の呼びかけの背景には、2016年当時の安倍晋三首相が、大統領就任前のトランプ氏といち早く会談し、信頼関係の構築のつなげたこともあるとも(*5)。

自民党と共和党との親和性

世界的大企業であるディズニーに訴えられ、あるいはまだ大統領選に立候補もしていない単なる州知事でしかない人物への岸田首相の厚遇ぶりは驚きだ。

本当にデサンティス氏が大統領になれるほどの人物だろうか。

デサンティス氏(44)は2018年の知事選挙で当時大統領であったトランプ氏の全面的な支援を受けて初当選。その政治的姿勢や主張から「ミニ・トランプ」とまでもてはやされた。

一方で、共和党内では、先月下旬以降、トランプ前大統領が大統領候補としての支持を伸ばし、デサンティス氏との差を広げている。さらにトランプ氏は3月30日にニューヨーク州のマンハッタン地区の大陪審に起訴されて以降、再び支持を伸ばす。

4月16日までの3日間の世論調査では、トランプ氏が53%、デサンティス氏が24%と、その差は29ポイントまで開いた(*6)。

問題の本質は、デサンティス氏だけでなく、トランプ氏を含め自民党と共和党の”親和性”だ。

第一に、自民党と共和党はイデオロギー的に似通っている。第二に、アメリカでは1980年のレーガン政権から2008年のオバマ政権までの28年の間、共和党が与党であった期間は20年間であったのに対し、米民主党はわずか8年間であった。

そのため、共和党の方が、継続性・安定性・予測可能性を好む自民党に馴染みやすいという。

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共和党と旧統一教会との関係

さらに言うなれば、米共和党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との結びつきは強いものがある。

旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」のサイトによると、2021年9月の集会に、安倍晋三元首相とともにトランプ氏もビデオメッセージを寄せている。トランプ氏は、さらに長年にわたり教団を率いた故・文鮮明氏の夫人について、

「素晴らしい人物である韓鶴子博士に感謝したい」(*7)

と9分間にわたり熱弁。

昨年8月の集会では、トランプ氏が改めてメッセージを送ったほか、ポンペオ前国務長官やギングリッチ元下院議長も出席していた(*8)。他の集会では、ペンス前副大統領やチェイニー元副大統領も講演している。

このことについて上智大の前嶋和弘教授(米国現代政治)は東京新聞の取材で、

「共和党にとって旧統一教会は敬虔なキリスト教の一派で、福音派とも親和性があり重なる。イメージとして悪くないのだろう」(*9)

と話す。

教団系の政治団体、国際勝共連合の機関紙「思想新聞」をたどると、半世紀前も前から共和党の面々が接点を持っていたようだ。

■引用・参考文献

(*1)Bloomberg「ディズニー、フロリダ州知事を提訴-言論巡る報復は違憲と主張」Yahoo!ニュース 2023年4月27日

(*2)Siladitya Ray「トランプの『対抗馬』が岸田首相に会いに来た理由」Forbes JAPAN 2023年4月25日

(*3)Siladitya Ray 2023年4月25日

(*4)「“ミニ・トランプ”は何しに日本へ?注目のフロリダ州知事」NHK NEWS WEB 2023年4月24日

(*5)NHK NEWS WEB 2023年4月24日

(*6)NHK NEWS WEB 2023年4月24日

(*7)木原育子・中山岳「トランプ氏ら米共和党と旧統一教会の半世紀にわたる関係 政権復帰なら日本はどう対応?」東京新聞デジタル 2022年11月15日

(*8)木原育子・中山岳 2022年11月15日

(*9)木原育子・中山岳 2022年11月15日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2023年5月6日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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伊東 森この著者の記事一覧

伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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