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AIの発達で教育はどう変わっていく?「GPT-4」が示した模範解答とは

AIの発達により間違いなく変化すると考えられている教育のあり方。当のAI「GPT-4」は教育の未来についてどんな答えを導き出すのでしょうか。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、米国の大学院で教育学を学び、世界の教育のハブと言われるマレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、「GPT-4」と議論した内容を紹介。のもとさんによれば、見事な「模範解答」が示されたとのことで、世界の教育者たちの多くが思い描いている未来の教育の姿を確認できるようです。

AIと未来の教育について議論してみたら、今の方向性と重なった

AIができることの範囲を大きく増やしてきました。おそらくこれから、学校教育は大きく変わると思われます。私もほぼ毎日のようにAIを使っていますが、「模範的な解答」をさせたら、右に出るものはいないんではないだろうか……。では、今後の教育には何が必要なのだろうか。

GPT-4と未来の教育について議論した

今回は、実際にGPT-4に未来の教育がどうなるかを聞いてみた結果です。結果は毎回変わるので、何度か質問を繰り返して、一番適切そうなものを選んで掲載しています。みなさんも、興味あったらやってみてください。

質問 AIが発達することで、学校で教えなくても良くなることはなんですか?

GPT4 AIが発達することで、学校で教える必要が減る可能性があるのは以下のような要素です。

 

1 簡単な計算や情報検索: AIが高速で正確な計算や情報検索を行えるため、簡単な計算や基本的な情報検索の教育は必要性が低くなるでしょう。ただし、計算の基本原理や情報検索の方法論は、後の高度な学習に必要なため完全に省くことはできません。

 

2 暗記重視の学習: AIが大量の情報を記憶・検索できるため、単純な事実やデータの暗記に重きを置く教育は、徐々に減少していくでしょう。代わりに、情報を活用する方法や分析力が重視されます。

 

3 手書きやタイピング: 音声認識技術や筆記代行アプリの発展により、手書きやタイピングの技能が従来ほど重要視されなくなる可能性があります。

 

4 標準化された評価方法: AIの進化により、個々の学習スタイルや能力に合わせたカスタマイズされた教育が実現可能になります。そのため、一律の評価方法やカリキュラムから、より個別化された学習プランへのシフトが進むでしょう。

 

ただし、AIが発達しても、基本的な読み書きや計算、論理的思考、コミュニケーション能力などの教育は引き続き重要です。また、AIを適切に活用するためのリテラシーや倫理的判断力も必要になります。AIの発展によって、教育方法や重視されるスキルは変化するでしょうが、教育そのものの重要性は変わらないと考えられます。

ほぼいわゆる「進歩的教育」が切り捨てている部分と一致します。欧米の教育の多くが「3R(読み書き計算)から4C(批判的思考・コミュニケーション・コラボレーション・創造性)」へと舵を切っていることは本にも書いています。

アジア圏から欧米の教育を見ると、読み書き計算部分が最小限になっていたりします。そこで、「計算ドリルがない!」「漢字練習がない!」「標準化されたテストがない!」ことに衝撃を受ける人もいますが、多分、この辺はすでに予測されてたのだと思います。

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学校は何を教えるべきなのか

質問 では、AIが発達する未来において、学校教育において教えるべきことはなんでしょうか。

GPT4 AIが発達する未来において、学校教育で教えるべきことは以下のような要素が含まれます。

 

1 コンピュータリテラシー: プログラミング、アルゴリズムの理解、データ解析など、情報技術を活用する能力を身につけることが重要です。
クリティカルシンキング: 情報を分析し、論理的に考える力が求められます。AIが情報を提供しても、それを適切に判断・活用できる力が人間には必要です。

 

2 コミュニケーション能力: AIと共に働く未来では、人間同士や人間とAIとの円滑なコミュニケーションが重要になります。また、多様な文化や価値観を理解し、対話できる力も求められます。

 

3 エンパシーと倫理: AIの発達により、倫理的な判断や人間性が重要になります。他者への共感や協調性、倫理的な意思決定を行える力を養うことが大切です。

 

4 創造力と革新力: AIが従来の仕事を代替する中で、新しいアイデアやビジネスモデルを生み出す力がますます重要になります。柔軟性と適応力: AIの発達により、社会や職業が変化するスピードが速まります。変化に対応し、自ら学び続ける姿勢が求められます。

 

5 環境と持続可能性: 地球環境や持続可能な社会に関する知識や意識を高め、未来の世代に良い状況を残すために、環境保護や持続可能な取り組みを行えるようになることが重要です。
これらの能力や知識は、AIの発達によっても人間が持つべき基本的なスキルであり、将来の職業や生活において役立つことが期待されます。教育は、これらの能力を育成する場として機能する必要があります。

まあ未来予測はあんまり当てにならないでしょうが、こちらもまた、「先進的な」インターナショナル・スクールの宣伝文句みたいです。これが今のところ人間の集合知が達している「一つの答え」なのだと思いました。

いつも言っている4C(クリティカル・シンキング・コミュニケーション・協調・創造性)がしっかり入っています。2010年代に4Cと言い出した人は、レイ・カーツワイルのシンギュラリティの予言をまともに捉えていたとしか考えられないです。

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各国はどのように教育制度を変えるべき?

では、教育制度を各国はどんなふうに変えるべきでしょうか。各国の教育制度は、AIの発達や現代社会のニーズに対応するため、以下のような変革が求められます。

1 カリキュラムの見直し: 技術革新や社会の変化に対応するため、カリキュラムは定期的に見直されるべきです。STEM教育(Science, Technology, Engineering, Mathematics)の強化やプログラミング、データサイエンス、AIリテラシーを含めることが重要です。

 

2 個別化された学習: AIを活用して個々の学生の学習スタイルや能力に合わせたカスタマイズされた教育を提供することで、効果的な学習が可能になります。

 

3 ソフトスキルの重視: コミュニケーション能力、クリティカルシンキング、創造力、協調性などのソフトスキルを教育プログラムに組み込むことが重要です。

 

4 継続的な学びのサポート: 学びは一生涯続くものであり、社会や技術の変化に対応するために継続的な学びが求められます。教育制度は、生涯学習や職業訓練プログラムを通じて、これを支援すべきです。

 

5 多様性と包摂性の推進: 異なる文化や背景を持つ学生が共に学ぶ環境を作り、教育機会の平等を推進することが重要です。 実践的な学習: 理論だけでなく、実践的なスキルを身につけることが重要です。インターンシップやプロジェクトベースの学習を取り入れることで、実践的な経験を積むことができます。

 

6 学校と産業界の連携: 教育機関と産業界が連携し、最新の技術や産業動向に基づいた教育を提供することで、学生が社会にスムーズに適応できるようになります。

こちらも、インターナショナル・スクールの宣伝文句とか、日本の文科省のホームページとか、面談での模範解答みたいですが、少なくとも英語圏での教育はこの方向にすでにかなり舵を切っていると思います。

GPTなどが教えてくれるのは、「インターネットでよく言われていること」の平均解答値みたいなものですが、教育学を学んでいる中でも、大体こんな感じの理解をしている世界の教師が多いと感じます(逆に、多様性や包括性を否定する人を見たことが多分ない……)。それにしても、AIは模範的な解答が本当に得意だなぁ、と感じます。

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image by:Tada Images/Shutterstock.com

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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【著者】 のもときょうこ 【月額】 ¥1,320/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

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