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元自衛官芸人やす子に漂う「不穏な空気」と「不快感」の正体。ボランティア叩きから「はい~!台湾有事は日本有事」へ?

元自衛官芸人・やす子(25)を「不快」に感じる視聴者が増えているようだ。中には、好き嫌いの感情を超えて「警戒感」を抱く人々まで。テレビで引っ張りダコの人気タレントに、いま何が起きているのか。

ピン芸人やす子が嫌われる理由、恨まれる理由

元自衛官という異色の経歴を持つ、女性ピン芸人のやす子(25)。

細かすぎる自衛隊ネタサバイバルネタでブレイクし、デビューから6年目の現在はテレビで見ない日はないほどの活躍ぶり。幅広い年齢層から親しまれる人気者として、バラエティ番組のほかCMにも多数出演している。

最近では、第91回日本ダービー(5月26日)に向けたJRAのキャンペーン「日本ダービー大作戦 ゴジラVSやす子」もスタートし、まさに絶好調。トレードマークの迷彩服や「はい~!」の合いの手を、読者も一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

だが最近、そんなやす子に対して「不快だ」との声が多数上がりはじめているという。いったい何が起きているのか。50代エンタメ系ライター氏が説明する。

「大手検索エンジンで『やす子』を調べても、サジェストされるのは『かわいい』『結婚』『年収』『美人』などポジティブなキーワードばかりです。ですが、これは恐らく“検閲”されたあとの検索結果でしょう。その証拠に、別のソーシャル系検索で『やす子』を調べると、『嫌い』『不快』『うるさい』『ゴリ押し』『つまらない』などネガティブなキーワードがズラリと並ぶんですよ」(エンタメ系ライター)

実際に試してみると、確かにいくつかの検索エンジンで、やす子が不自然なほどヨイショされているように感じられる。一方SNSでは、やす子を“称賛”する声もあるが、“批判”する声も同じくらいある印象だ。

《「はい~!」がしつこい。何回も聞かされてウンザリ》

《顔を見るだけで不快。CMの商品を買う気が失せる》

《根本的に面白くない。JRAで起用とか勘弁してほしい》

《芸風に共感性羞恥心を抱いてしまってゾワゾワする》

《こいつ災害ボランティアを叩いてたクズの一味だぞ》

《やす子をゴリ押ししてるのはどこの誰なんだよ》

これが隠された人々の本音、ということなのだろうか?

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能登半島地震「ボランティア批判」の影響

「芸能人に対する好き嫌いは千差万別ですし、SNSではネガティブな発言のほうが拡散しやすい。ですから、すべてを鵜呑みにすることはできません。でも、やす子の場合、このような“悪評”は、今年に入って急に目立つようになった印象がありますね」(同)

2024年に入って、やす子に不快感を抱く人々が急増した――仮にそうだとして、原因は何なのか?

「やはり、能登半島地震の影響が大きいのではないでしょうか。やす子は当時の番組内で、素人の民間人が災害ボランティアに行っても迷惑だ、と主張。ところがその後、被災地がボランティア不足に苦しんでいることが明らかになりました。軽率な発言に対する謝罪は現在に至るまでなく、被災者の方やその関係者から相当に恨まれている。このことを指摘するSNSユーザーを容赦なくブロックする姿勢にも疑問の声がたくさん上がっているんですよ」(同)

“政府の犬”に成り下がったイエスマンやす子

2024年1月1日16時10分、正月のだんらんを最大震度7の大地震が襲った。死者245人、不明者3人、負傷者1307人。能登半島地震から4カ月以上経過した今も、復興のメドはまったくついていない。

そんな被災地で今、問題になっているのが、圧倒的なボランティア不足だ。

テレビは最近になって「発災当初とは状況が変わってきた」「ボランティアが足りなくて大変だ」などとアリバイ作りの報道をしている。だが当時の「ボランティア叩き」の風潮はたしかに常軌を逸していた。被災地を訪れる人間が、あたかも犯罪者のように扱われていたのは記憶に新しい。

「その異常な流れに“加担”したのが、他ならぬピン芸人のやす子というわけです。やす子は1月7日放送のサンジャポで、自衛隊による災害救助と民間のボランティアを比較。自衛隊が能力的に自己完結できる一方、ボランティアは食事や宿泊などのリソースを消費してしまうとして、現地の迷惑になるからボランティアには行かないでほしいです、と呼びかけました。

これが、元自衛官としての知識を活かした、純粋な善意からのアドバイスであれば、今のように批判されることはなかったかもしれません。でも、やす子に嫌悪感を抱く人々はそうは考えていないようなのです。

なぜなら、このときのやす子の主張は、初動の遅れを批判されていた政府や馳知事の言い分を丸写ししたものでしかなかったからです」(同)

実は、与野党の党首が「現地入りをしない」という不可思議な決定をする中、山本太郎氏だけが被災地を視察に訪れ、その際に“炊き出しのカレーを食べた罪”で猛バッシングを受けていたのが、ちょうどこの時期にあたる。

グーグル日本法人元社長の辻野晃一郎氏は、MAG2NEWSの記事(2024.1.13)で、当時の世相を次のように批判している。

今回、政府や県の初動が悪くて被害の全体像の把握がなかなか進まない中、救えた命も救えなかったという話や災害関連死の増加が懸念されるという話も出ています。

山本氏が、日頃から貧困者への炊き出しや、被災地支援などに体を張って熱心に取り組んできている姿を目にしていますが、今回も真っ先に被災者に寄り添ったのは、彼にとってはただごく自然な行動だったのではないでしょうか。

被災地で振る舞われたカレーを食べたとかで、しつこく山本氏をバッシングする人たちの心情が私にはまるで理解することが出来ませんでした。

現地を視察した山本氏は、その後国会で、岸田総理に被災地を見捨てないように強く求めた(2024.1.29)。だが復興は遅々として進まず、現地はゴーストタウン化しつつあるのが現状だ。

このように時系列でみていくと、やす子のサンジャポでの主張は、極めて政治色が強い、偏ったメッセージだったとも解釈できる。嫌悪感を抱く人々が増えるのも無理のないことか。

やす子が「台湾有事は日本有事」を叫ぶ日

やす子は、「はい~!」という特徴的な合いの手について、自分自身が「人に言われたことに“はいはい”と従ってきたイエスマン」だったからこそ誕生したと告白している。

ちょっとした感動秘話(?)らしいが、言われたことに“はいはい”と従う芸人は、政府にとっても大いに利用価値があるという。

「やす子はこの春、自身の経歴を活かして即応予備自衛官に復帰しました。普段は他の職業に従事する元自衛官を中心に、自衛隊が予備の要員を確保するための仕組みですが、これは実質、自衛隊のPRの一環ではとの声があります。似たものに、自衛官未経験者が中心の予備自衛官補があって、こちらは一般社会人や学生も応募できますから、宣伝効果は抜群というわけです」(同)

政府や自衛隊に、テレビや芸人を使ったPRにそこまで躍起になる理由があるというわけか?

「少子高齢化の中で、もともと自衛隊は人員不足に悩まされていますからね。人員を災害救助に充ててくれるのなら大歓迎ですが、一部では『台湾有事』に備える動きではないか、と考える人もいるんですよ。そのような人たちの間では、やす子はすでに『不快な芸人』を超えて『警戒すべき扇動者』になっていると言えるでしょう」(同)

ジャーナリストの高野孟氏は、MAG2NEWSの記事(2024.3.13)で、「台湾有事は日本有事」のキャッチフレーズはアメリカの意向に忖度した安倍元首相の妄想にすぎず、自衛隊が戦争に参加しても日本国民には損しかないことを指摘している。

やす子が「はい~!台湾有事は日本有事」の勇ましいスローガンを叫び始める日は近いのだろうか?ボランティア叩きの異常を考えれば絵空事と笑えない。元自衛官“国営”芸人の今後の動向を注視していく必要がありそうだ。

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image by: やす子 | Sony Music Artists

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