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大手紙の「自民圧勝」ムードは本物か?朝日と文春で“真逆”に割れた情勢調査が示す「不都合な真実」

2月8日の投開票を前に、早くも「自民圧勝」の情勢報道が広がる衆院選。しかし元全国紙社会部記者の新 恭さんは、「野党支持層が落ち込むのはまだ早い」と言います。その根拠はどこにあるのでしょうか。新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で今回、朝日新聞と週刊文春の情勢調査に生じた大きな乖離を手がかりに、選挙結果を左右しかねない「投票率」という盲点を検証。その上で、寒波予想という不確定要素が、衆院選の行方にどのような影響を及ぼすのかを考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:自民圧勝の朝日情勢調査、当たるかどうかは天候しだい?

投票日に日本列島を襲う寒波。「自民圧勝」の朝日情勢調査は当たるか

衆議院選挙の投開票は2月8日だが、早くも勝負がついてしまったかのような空気感が日本列島に漂っている。むろん、大手メディアによる選挙情勢調査のせいだ。

序盤から「自民党が単独過半数をうかがう」と各社の予測が出ていたが、2日に朝日新聞が公表した「中盤情勢調査」はその程度のものではなかった。なんと、自民党が単独で過半数を大きく上まわり、日本維新の会と合わせ300議席超の勢い。その一方、新党「中道改革連合」は公示前勢力から半減する可能性があるという、驚愕の中身だった。

朝日のこの種の調査は精度が高いと評されるだけに、野党支持層はがっかりしているに違いない。だが、落ち込むのはまだ早い。ここは冷静になることも必要だ。

たしかに、SNSなどで高市人気は沸騰している。彼女が応援演説に駆けつけた会場は大変な人出であるらしい。それでも、まだ決着がついたわけではない。これまで何度となく大メディアの予測が外れたケースを見てきた。

頭を冷やすために参考にしたいのが、政治広報システム研究所の久保田正志氏とともに行った週刊文春の情勢調査である。マスメディアの調査結果とは大きく異なり、むしろ自民の苦境を予想する内容となっている。

すなわち、自民党は現有から6議席増の203議席で、維新の予測数29議席(5議席減)を足しても過半数(233議席)に1議席足りない。「中道」は5議席減の167議席に踏みとどまる、というものだ。

文春1月29日発行号に掲載されているから、まさに序盤の情報ではあるが、基本的な構図は変わっておらず、大手メディアのそれと比較する価値は十分にある。

記者クラブメディアと週刊誌という違いはあっても、選挙情勢の調査・分析結果にこれほど開きがあるのは、どういうことなのだろうか。

ひとつ言えるのは、週刊文春の分析は、前提条件が明確にされているということだ。文春と共同で情勢分析にあたった久保田氏は、高市首相が中道の組織票に対抗するにはサナエ人気を梃に無党派層に投票してもらうしかないとして、こう語る。

寒波の影響もあり、今回の予測は低水準だった24年衆院選の53.85%と同じくらいの投票率という前提で行いました。私の試算では、投票率が58~60%ていどに達すれば、組織票を無効化するだけの浮動票が自民に流れると見ています。
(文春の記事より)

つまり、この調査は、前回衆院選と同じくらいの投票率になるという前提条件のもとに予測されている。それより投票率が高くなればなるほど自民党に有利となるわけだ。高市人気がカギを握る今回の衆院選では、投票率によって結果が大きく違ってくることは間違いない。

大手メディアの調査は、電話やインターネットで数十万人から得た回答データに全国の支局の取材を加味した大がかりなものだが、残念ながら投票率については度外視されている。

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あの「裏金議員」の生殺与奪権を握る創価学会員票

こうした観点を踏まえたうえで、自民と中道が激しく対決する注目選挙区を中心にピックアップし、文春と朝日(中盤)、読売(序盤)調査の違いを検証していこう。新聞記事の「接戦」「激しく競り合う」「横一線」「互角」などの場合は、先に名が書かれた候補者を優勢と見るのが通例だ。

◇千葉8区(立候補者4人)

メモ
党の共同政務調査会長であり、過去二度にわたって自民党候補を破ってきた本庄氏としてはなんとしても勝ちたいところだ。文春は本庄氏を「やや優勢」としたが、朝日、読売は松本氏に勢いがあるとみているようだ。

◇埼玉3区(3人)

メモ
高市首相の側近、黄川田氏としては負けられない戦いだが、参政党の新人、中村尚子氏に票を食われる心配も。

◇神奈川8区(2人)

メモ
文春は江田氏が優勢とみた。朝日と読売はやや三谷氏に分があると読んでいるようだ。

◇神奈川14区(4人)

メモ
国家公安委員長の要職にある赤間氏だが、前回の衆院選では長友氏に約7,000票差に迫られた。この選挙区には創価学会員が多く、赤間氏の学会依存度がこれまで高かっただけに、予断を許さない展開だ。

◇東京3区(5人)

メモ
前回は石原氏が接戦の末、阿部氏を破ったが、学会票への依存度が高かった。今回は学会票の流入を見込める阿部氏有利と見るのが順当だ。しかし朝日と読売は石原氏に利ありと踏んでいる。

◇東京24区(4人)

メモ
萩生田氏について、読売、文春は苦戦を伝えているが、朝日はわずかながら優勢とみる。創価大学など学会関連施設があり、学会票の行方がカギとなる。

◇新潟4区(4人)

◇石川3区(3人)

◇兵庫2区(4人)

メモ
公明党の赤羽一嘉氏が1996年以降、ほぼ議席を独占してきたが、新党結成にともない比例近畿ブロックに出馬したため、船川氏に学会票が移る可能性が高い。

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高市人気にすがるしかない安倍元首相の甥っ子候補

◇兵庫8区(5人)

メモ
抜群の知名度を誇る青山氏だが、選挙歴は参院比例区だけであり、衆院小選挙区での戦い方に習熟しているとは言い難い。それでも選挙に及ぼすSNSの影響力の強さが青山氏の勢いに見てとれる。

◇山口2区(2人)

メモ
岸氏は前回、学会依存度の高い選挙戦を展開した。それでも、平岡氏にわずかの差まで迫られた。学会票が期待できない今回はまさに高市人気を頼みとするほかない。

以上でわかるように、前回並みの低い投票率を前提に予測している文春調査は、自民が苦戦し、中道がやや優勢と判断しているケースが多い。朝日や読売の調査は前提条件として投票率を設定していないため、無党派層の間に広がる高市人気をフルに反映した予測になりやすい。

自民が中道などの野党と激しくつばぜり合いを演じているのは全国289選挙区のうち100をこえている。選挙区で自民220議席を中心値とする朝日の調査はおそらく、接戦の大半を自民勝利にカウントしているのではないだろうか。

気になるのは投票率に影響する選挙当日の天候だ。6日までは暖かいが、7日から日本列島に寒波が襲ってくると予想されている。前回投票日の24年10月27日は曇りとか小雨といったぐずつき気味の天気ではあったが、まずまずの投票日和といえた。今回は酷寒のなかである。高市人気が悪条件を吹っ飛ばして高い投票率を手繰り寄せられるかどうか、要注目だ。

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image by: MAG2NEWS

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