事務所の「統一教会&逮捕社長パー券購入を隠蔽」疑惑が28日、“文春砲”によって放たれた自民党の高市早苗首相。昨年12月の「解散について考えている暇などない」との発言から一転、彼女は1月23日の通常国会冒頭で衆院解散に打って出ました。各所から「大義なき解散」との批判が相次ぎましたが、候補者公認を巡っても物議を醸す状態となっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、高市氏の記者会見や党首討論での発言を追いつつ、「裏金議員」の公認を正当化する論理の破綻を指摘。その上で、高市政権が抱える「構造的な欺瞞」を痛烈に非難しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ウッカリおばさん顛末記
裏金問題をめぐる高市首相の解せない認識。ウッカリおばさん顛末記
高市早苗首相 「令和8年度の税制改正や当初予算の取りまとめなど、目の前でやらなきゃいけないことが山ほど控えておりますので、解散について考えている暇などございません」
これが何かと言うと、今から約40日ほど前の昨年12月17日、臨時国会閉会にあたっての記者会見で、記者から「年明けの解散」の可能性について質問された高市首相の発言です。そして、この発言から約1カ月後の今年1月19日、高市首相は、自分で「目の前に山ほど控えている」と言った「やらなきゃいけないこと」をすべて丸投げして、23日からの通常国会冒頭での解散を発表しました。
ま、この辺の流れは、全国津々浦々からのツッコミをあの分厚いツラの皮で絶賛跳ね返し中なので触れずに進めますが、今回の「大義なき大迷惑な解散総選挙」の公示日を翌日に控えた1月26日、日本記者クラブ主催の党首討論会に与野党の7党首が出席し、様々な問題について論戦が交わされました。その内容はテレビやラジオ、新聞などで報じられましたので、ここでは繰り返しませんが、あたしが何よりも驚いたのは、討論会後に行なわれた各メディアの記者との質疑応答での高市首相の発言でした。
それは、毎日新聞の論説委員をつとめる佐藤千矢子記者が、裏金議員を軒並み公認したことについて高市首相に質問した場面での発言です。内容だけでなく、そのニュアンスなども正確に伝えたいので、佐藤記者の質問も高市首相の回答も、一字一句そのまま書き起こしました。少し長いですがお読みください。
毎日新聞の佐藤千矢子記者 「不記載のあった議員や元議員について、今回の衆院選では、自民党としては公認し、比例代表の重複立候補も認めるという方針だということになったと思います。こういった姿勢には当然、野党から批判が出ておりまして、あと自民党の鈴木俊一幹事長も『われわれは禊(みそぎ)を受けてこの話は終了したとは思ってはいけないんだ』という発言をなさってます。高市総理総裁自身は前回の衆院選で禊は済んだというふうに受け止めてらっしゃるのでしょうか?」
高市首相 「あの~、禊が済んだとは受け止めておりません。あの、禊が済んだか、え~、どころではなく、とにかく二度と繰り返さないと、え~、言うことが一番大事です。あの、ルールを徹底的に順守する自民党を構築して行くことが、わたくしの役割だと思っています。まあその上でございますけれども、前回不記載があった議員についても、ぜひ働く機会を与えてやっていただきたいと思います。まあ、あの、本人による、え~、ウッカリもあったでしょう。で、ぜんぜん本人がご承知なかった場合もありました。
まあ、様々、人によって経緯はバラバラでしたけれども、ただ検察による捜査を受け、そしてまた外部の弁護士を交えた聞き取りの調査も受け、そして当事者自身が会見で説明をし、国会の政倫審で説明された方もいらっしゃいました。まあそんな中で、前回の選挙で厳しい審判を受けた人もいます。まあそれでも、専門知識を持った人材には、もう一度、働くチャンスを与えてやっていただきたいと、切に願います」
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軒並み公認されている「裏金づくり」を主導してきた面々
おいおいおいおいおーーーーい!…というわけで、あたしはこの「本人によるウッカリもあったでしょう」という高市首相の説明に、イスから転げ落ちそうになるほど驚きました。和室で座布団に座ってたので大丈夫でしたが…なんてのも織り込みつつ、何ですか?この「ウッカリ」って!
安倍派の政治資金パーティーのパー券をあちこちのスポンサー企業にウッカリと売りまくり、ノルマを超えたぶんのキックバックを証拠の残らない現金でウッカリと受け取り、それを政治資金収支報告書にウッカリと記載し忘れ、収入としても報告せずにウッカリと脱税し、その何百万円、何千万円という現金を事務所の引き出しや自分の銀行口座にウッカリと保管していた、とでも言うのでしょうか?
百歩ゆずって、何百人もの自民党の国会議員のうち1人くらいなら、ホントにそういうウッカリ議員がいてもおかしくはないでしょう。しかし、実際には安倍派を中心に他の派閥まで、合計で100人を超える国会議員が、まったく同じスキームで裏金づくりを繰り返し、私腹を肥やして来たのですよ?これってどう見ても自民党内に裏金づくりの指南役が存在し、党ぐるみで行なって来た「組織犯罪」じゃないですか?
さらに言えば、裏金問題でも統一教会問題でも中心人物と言われている萩生田光一幹事長代行が自民党東京都議連の会長をつとめていた時期には、自民党の都議たちもまったく同じスキームで裏金づくりに手を染めていたのですよ。萩生田氏自身は都議たちの裏金問題が発覚した瞬間に都議連の会長を辞任して逃亡しましたが、本来なら会長としての説明責任を果たしてから辞任すべきではなかったのではないでしょうか?つーか、誰が都議たちに裏金づくりのスキームを指南したのでしょうか?
それなのに、そんな萩生田光一氏を始め、同じ安倍派5人衆として悪名を轟かせた西村康稔氏、裏金づくりを復活させた張本人と言われている下村博文氏など、自民党の組織ぐるみの裏金づくりを主導して来た顔ぶれが軒並み「公認」されているのです。その数、小選挙区が38人、比例単独が5人、計43人です。そして、今回は比例重複も認めているので、たとえ選挙区で有権者が落選させても、その裏金議員は比例でゾンビのように復活して来る可能性が高いのです。
高市首相は今回、これらの裏金議員や元議員について「禊が済んだとは受け止めておりません」と明言した上で「もう一度、働くチャンスを与えてやっていただきたい」と述べました。これはつまり「その判断は有権者に委ねる」という意味ですよね?でも、そうであれば、裏金議員は全員を「小選挙区のみ」で公認しないとツジツマが合いません。
あたかも有権者の判断を仰ぐかのような説明で「裏金議員の公認」を正当化しておきながら、その実体は「選挙区で落選しても比例重複でゾンビ復活」というペテン。これじゃあ有権者の判断など完全無視じゃないですか?さらには、自民党への票だけで自動的に当選できる「比例単独」の裏金議員が5人って、まるで「裏金議員と詐欺師の互助会」のようなシステムじゃないですか。その上、高市首相は、この「もう一度、働くチャンスを与えてやっていただきたい」というフレーズを、以下の文脈で使ったのです。
高市首相 「そんな中で、前回の選挙で厳しい審判を受けた人もいます。まあそれでも、専門知識を持った人材には、もう一度、働くチャンスを与えてやっていただきたいと、切に願います」
つまり、前回の選挙で落選した元議員も「専門知識を持った人材」なので「もう一度、働くチャンスを与えてやっていただきたい」と言って公認したわけです。
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杉田水脈氏や丸川珠代氏が「専門知識を持った人材」なのか
で、それがどんな顔ぶれなのか見てみると、「LGBTは生産性がない」「アイヌのコスプレおばさん」など数々の差別発言が問題視されて来た上に、裏金問題だけでなく統一教会問題でも名前が挙がっている杉田水脈氏がいます。
また、夫婦でセッセと裏金づくりをして来て、2人そろって落選した丸川珠代氏と大塚拓氏もいます。丸川珠代氏は民主党政権が進めた子ども手当に反対して「この愚か者めが!」と叫んだことでもお馴染みですね。これらの元議員は、国民にとって何の役にも立って来なかっただけでなく、数々の問題を起こして来た最悪の人材なのです。
高市首相は、前回の選挙で有権者からハッキリと「NO!」を突き付けられた杉田水脈氏や丸川珠代氏が、一体どんな「専門知識を持った人材」だと言うのでしょうか?杉田水脈氏の公認は、もしかしたら自民党の支持者の中に一定数いる「排外主義者」や「差別主義者」など極右へのサービスなのかもしれませんが、普通に考えて「有権者の判断を仰ぐための公認」とはとても思えません。
そんな高市首相の毎度お馴染み「ツジツマの合わない説明」でしたが、あたしは今回の「本人によるウッカリもあったでしょう」というトンデモ認識を耳にして、すぐに昨年11月26日の高市首相の初の党首討論を思い出しました。
立憲民主党・野田佳彦代表 「企業団体献金の受け皿となっている政党支部の実態調査の結果はどうなっているのですか?」
自民党・高市早苗総裁 「御党に示すという約束であるとは思っていません。そんなことよりも定数の削減やりましょうよ」
この相手を小バカにした迷言から、今回の大義なき解散が「そんなことより解散」と呼ばれるようになったわけですが、どうして高市首相が「政党支部の実態調査の結果」をひた隠しにしたのかは、すぐに解明しました。この党首討論から1週間後の12月2日、高市首相が代表を務める「自民党奈良県第2選挙区支部」が東京都内の企業から、政治資金規正法の上限を超える1,000万円の違法献金を受けていたことが発覚したのです。
さらには、高市内閣で防衛大臣を任命された小泉進次郎氏も同様に、政治資金規正法の上限を超える1,000万円の違法献金を受けていたことが報じられました。自分や自分が任命した大臣に違法献金が発覚したのですから「政党支部の実態調査の結果」など発表できるわけがありませんよね。
中国を激怒させて数兆円規模の経済損失をもたらし、今もなお炎上し続けている「台湾有事発言」をドラの代わりに船出した高市政権は、またまた高市首相自身の「そんなことより発言」で火に油をそそいでしまいましたが、さらに自分自身の違法献金問題が浮上してしまったのです。それでも高市首相は「働いて働いて働いて働いて働いているふり」を続けつつ「解散について考えている暇などございません」などと強気の姿勢を崩しませんでした。
しかし、その直後に降って湧いたのが、韓国メディアが報じた旧統一教会の「TM文書」問題でした。「TM」は「トゥルーマザー」、萩生田光一氏が何度も繰り返して来た「真(まこと)のお母様」という意味で、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を指す言葉です。「TM文書」は日本の旧統一教会の徳野英治元会長が2021年の衆院選後に韓鶴子総裁へ送った、日本での活動内容の極秘報告書です。
「統一教会が応援した国会議員は自民党だけで290人に達する」と明記されているだけでなく、当時の安倍晋三首相が国政選挙のたびに統一教会側と打ち合わせをして組織票の配分を決めていた様子なども具体的に記されています。
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通常国会が始まれば「火ダルマ必至」だった高市首相
そして、この文書の「主役」とも呼べるのが、旧統一教会と安倍晋三首相を深く結びつけた功労者として計70回も登場する萩生田光一氏なのです。また、高市早苗氏も「安倍首相が期待している議員」として32回も名前が出て来ます。このような文書が発覚してしまったのですから、このまま年が明けて通常国会が始まれば、高市首相は火ダルマ必至でした。
昨年12月17日の時点では「目の前でやらなきゃいけないことが山ほど控えておりますので、解散について考えている暇などございません」などと強気のセリフを口にしていた高市首相でしたが、その後にこの「TM文書」の内容が報じられたことで、「国会で野党が私を攻撃する材料が山ほど控えておりますので、もはや解散するしかありません」となってしまったのです。そして「そんなことよりも定数の削減やりましょうよ」という自分の言葉すら忘れ、連立する維新と確約していた「定数の削減」も丸投げして「大義なき解散」へと突き進んだのです。
競馬を始めとしたギャンブルが大好きなあたしでも、ここまでのギャンブルは恐くて打つことができません。あっ、でも高市首相の場合は、855億円という莫大なギャンブル資金はすべて国民から巻き上げた税金で、仮にボロ負けしても自分の懐は痛まないのですから、何とも思っていないのでしょうね。
それにしても、ここまで嘘に嘘を塗り重ねても平然としていられる人物を見ていると、自然と安倍晋三首相の面影がオーバーラップして来ます。そして、そんな安倍首相からも高市首相からも可愛がられた杉田水脈氏の問題発言が思い出されます。「女性はいくらでも嘘をつけますから」という問題発言を。
(『きっこのメルマガ』2026年1月28日号より一部抜粋・文中敬称略)
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