誰にでも、「これ以上悪いことはない」と感じる出来事が起こることはあります。それらは多くの場合、その瞬間には「ああ失敗した」や「これは終わったな」という感情で受け止められますが、時間が経ってから振り返ると、それが思いもよらない転機になっていたということもまた、起こり得るのです。メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんは、知り合いのAさんの事例や自らの体験を挙げて、「逆境の使い方」について考えています。
最悪の出来事が人生を大きく変えるきっかけになる
人生には「これは最悪だ、完全に終わったな……」と思うほど、気持ちが沈む瞬間がある。
できれば避けたい。
できることなら経験したくない。
しかし、あとになって振り返ってみると、「あの出来事が人生を大きく変えるきっかけになった」と思えることがある。
逆に言えばそういう経験がなければ“人生を大きく変える”といったことはできないものだ。
知人Aさんのこと。
Aさんは数年続けてトップレベルの成績を残した。
その後、マネージャーに昇進。
マネージャーになってからも力を発揮する。
実績も安定しており、部下からの信頼もある。
数字だけでなく、人としても尊敬されていた。
まさに順風満帆だったのだ。
ところがある時、会社の仕組みがガラッと変わる。
本社からの異動で取締役が入れ替わった。
組織ではよくある話だ。
Aさんは力のある人。
しかし、今回の取締役とは合わなかった。
Aさんはマネージャーから別の役職へ。
いわゆるポストオフ。
しかも、その新しい役職にはたいした仕事がない。
Aさんいわく「実質、窓際だった」という。
その人事を告げられた日を思い返し、Aさんは「人生で一番、最悪の日でした」と言っていた。
- 事実に対する悔しさ
- 自分の情けなさ
- 会社、上層部への怒り
いろいろな感情が入り混じったのだろう。
窓際になってから、しばらく「もう俺は終わりだ。どうにでもなれ」と投げやりになっていたという。
それでもAさんは腐らなかった。
とにかく仕事が与えられない。だから時間だけは、たっぷりあった。
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そこでAさんが始めたのは、“営業スタッフ一人ひとりに声をかける”ということ。
毎日、営業スタッフを観察していると「彼は最近元気がないな」ということが見えてくる。
タイミングを計り「最近、困っていることはない?」もしくは「何か引っかかっていることはないか?」と声をかけるようにした。
今まで忙しくて十分できなかったこと。それが今はできる。
- 時間をかけてじっくり話を聞く
- 相手の遮らない
- 結論を急がない
などなど。
時間的に余裕があるのでじっくり話が聞ける。
すると次第に問題点が明確になる。
そして、自分の経験をもとに「この場合はこう考えたほうがいいぞ」と的確なアドバイスができるようになった。
こうなると当然Aさんへのニーズが高まる。
営業スタッフたちは、次第にAさんのもとへ集まるように。当然のことだろう。
もちろん上司は別にいる。
だが実際に、「困ったらAさんに相談する」という流れが自然にできていった。
気がつけば、事実上の上司のような存在になっていた。
こうなると、さすがに会社も評価せざるを得ない。
しばらくして、Aさんは以前よりも“上のポジション”に返り咲いたのだ。
Aさんは笑いながら「人生最悪の日が、実は人生最高の日だったんです」と話してくれた。
Aさんは重要なポストに就いてからも「部下の話をじっくり聞く」ということを続けた。
もちろん今でも活躍している。
この話を聞いた時、「何がきっかけになるかは、本当に分からない」と痛感した。
どんな人でも「これは最悪の事態だ」と思うような出来事に遭遇する。
そのことについて、あとから振り返ると“大きな転機”になっていることがある。
これは私自身も経験している。
営業スタッフ時代のこと。ダメ営業スタッフからトップ営業スタッフになった。嬉しかったし、夢のようだった。
その際、知らず知らずのうちに“謙虚さを忘れた”ということを否めない。
だんだんと権力のある上司から目を付けられるように。
それから、しばらくして住宅展示場から外された。
営業にとって展示場は“お客様と出会う”という大切な場所だ。
いわゆる主戦場。
そこから外れるということは新規の情報が得られないことになる。
営業にとって致命傷だ。
かなりショックだった。
さすがのその時は「もう終わったな」と諦めたものだ。
しばらくは腐っていた。
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しかし、いつまでもいじけていても意味はない。
少しずつ何かを探すようになった。
新規のお客様の接客がない分、時間だけはたっぷりある。
そこで私は、過去のアンケートを見かえすことに。
- 住所と名前だけ分かるお客様
- 商談にならなかったお客様
- タイミングが合わなかったお客様
- うまくいかず嫌われたお客様
などなど。
こういったお客様に対して営業レターを送った。
新規の情報が手に入らないから“過去のお客様を育てる”といったことをするしかない。
文章も送り方も工夫した。
ミスしたら後がない。
とにかく必死だった。
結果として、そこから商談客が生まれるように。
多くの契約につながった。
この経験が、後の私の営業人生を大きく変えたのだ。
「過去のお客様をうまく育てれば結果が出せる」
このノウハウが、独立後の仕事につながり、今に至っている。
もし、あの時展示場から外されていなければ、どうなっていたのか?
訪問しない、中長期のお客様を育てる。といったやり方は確率できなかっただろう。
今では心から感謝している。
辛い目にあった時は「なぜ自分が」と考えてしまう。
ここで腐って諦めるのか?
それにももがいて這い上がるのか?
そこでどう行動するかで未来は大きく変わる。
「今の立場でできることは何か?」
これを考え続けた人だけが、次のステージに進める。
最悪の出来事は、人生を止めるものではない。
視点を変え、行動を変えるきっかけになる。
そう考えて前向きに行動してほしい。
数年後、振り返ったとき「あれが良かったんだな」と感謝する日が必ず来る。
■本日のポイント
- 最悪の出来事は、後から意味を持つことが多い
- 環境が変わった時こそ「今できること」に集中する
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