山上哲也被告に対して奈良地方裁判所が「無期懲役」の判決を出しました。この判決は宗教2世の立場で育った生い立ちが考慮されず、統一教会被害の伝わりづらさを示す結果となりました。一方、統一教会の内部文書「TM特別報告」では、自民党議員との関係が次々と明らかになっています。教団はこの文書を「信憑性に欠ける」と公式に否定しましたが、それはメシヤである韓鶴子総裁への報告に嘘があったことを認めたことになります。メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では著者で統一教会元信者の多田文明さんが、教団の公式否定が露呈させた矛盾と真実について詳しく解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
山上被告「無期懲役」判決の意味
山上哲也被告に対して、奈良地方裁判所は「無期懲役」の判決を出しました。この判決は宗教2世の立場で育った生い立ちが事件を起こしたことに影響しないとした、事実をしっかりと見なかった残念な判決であるとも感じています。
一方で、旧統一教会の被害の伝わりづらさを世に示す結果ともなりました。
今の時点で被告や弁護団が控訴するのかはわかりませんが、この事件は、結果として統一教会の高額献金の実態や、宗教2世の問題などを世の中に明らかにすることになりましたので、今後は、旧統一教会の被害の悪質な実態をより訴える必要もあるのだろうと思います。何より、控訴をしないことは、事件の幕引きを早急に図りたい教団にとって、有利に働くとみています。
裁判が継続すれば、多くの人が注目するこの裁判ですので、宗教2世の実態や、旧統一教会の被害の実態がさらに明らかになりますので、二度とカルト思想による被害を生み出さないための社会にも、また一歩近づけるのではないかと思っています。
TM特別文書は次々に真実をあぶりだしている
TM特別文書では、自民党の長島昭久氏が、過去に信者としてマッチング(合同結婚式)を受けていたことなどの真実が明らかになっています。
また、自民党の萩生田光一氏は、動画サイトのなかで「19年7月の面会時には、安倍氏と共にエルメスのネクタイを受領した」ことを否定しています。
面白いと思ったのは、ネクタイをもらったことは事実ではないとしながらも、その他の教団とのつながりなどについての記述をすべて否定しませんでした。これは、否定した部分以外は真実だと認めたと受け止められることになりますが、それは真実なので仕方ないと思っているのかもしれません。
考えてみてください。もし皆さんが旧統一教会の文書に、事実無根のことを書かれて報道されれば、教団に対して厳しい抗議をして、その否定の事実について公式HPで掲載するように促すはずです。萩生田光一氏は、それをしていないことからも、それがみてとれます。
安倍晋三元首相の銃撃事件が起きて、田中会長が日本で最初に記者会見を行うまでの時系列をみても、腑に落ちるところも多くあり、この文書がいかに真実性に富むものかがわかります。記述における間違いなどを削いでいき、研磨していけば、より真実がみえてくる文書になると考えています。
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教団の公式見解が、語るに落ちる結果になる可能性
旧統一教会はHPで「当法人としては『TM特別報告』は極めて信憑性に欠けるものであると判断いたします」と公式に発表しました。これを見て、語るに落ちる結果になった可能性を感じています。
TMとは「トゥルーマザー(真の母)」のことで、韓鶴子総裁は、旧統一教会にとってメシヤとしての存在です。神様の立場にある人に、信憑性に欠ける報告をする。つまり、嘘を含んだ内容の報告を、信者らがしていることになります。
これは教義においては絶対にしてはいけないはずのことです。
私の信者時代に、アベル(神様に近い立場の人)には、カイン(神様から遠い立場の人)はすべて嘘偽りなく、報告、連絡、相談することで、神の子となることができると教えられました。
究極のアベルは、メシヤであり、韓鶴子総裁です。その人物への報告に本来、多少の間違いはあっても、ありもしない虚偽を伝えることは絶対にしてはならないはずです。
教団は「信憑性に欠ける」と判断したことは、教団内部でも嘘がまかり通っている実態があることを公に認めたことになります。
韓国本部でこのような状況なのですから、信者らは自分より信仰歴のあるアベルと呼ばれる人たちが、末端の信者に嘘をつく可能性を心にとめておかなければなりません。
元会長の発言を公式に否定したことにつながる
もう一つの観点は、この文書に「信憑性がない」とすることで、徳野英治元会長がメシヤへの報告に際して、嘘をついた可能性もあることを公に指摘したことにもなります。
徳野元会長は、今年春の金沢市長選に出馬すると報道されています。そのような人物に「元会長」を公言させてよいのでしょうか。もしメシヤに対して嘘をついたのであれば、除名などの厳しい処分を下さすべきではないでしょうか。
しかし私自身、信者時代に、徳野英治氏が会長になる前の姿をみていますが、彼は信仰の篤い人物であり、旧統一教会、メシヤのために必死になって活動する人物だと思っています。その彼がメシヤへの報告となることに嘘をつくことなどありえないと考えています。多少の言葉の間違いや誇張はあったとしても、ほぼ真実だと思います。
教団本部は彼の報告などをもとにした「TM特別報告」に対して「信憑性がない」と判断しました。これは元会長の発言を否定したことにつながります。
これまでの教団の姿勢としてはないことですので、今後も調査するとのことですので、教団内でまかり通っていた、信者としてあるまじき嘘をどのくらい暴いてくれるのか、注目しています。
しかしTM特別報告には多くの真実のダイヤが混じっていると考えています。
文書を研磨することで、日本の政治にどのような影響を与えてきたのか。自民党と旧統一教会にはどのような関係があったのか。それがはっきりと見えてくることになります。
(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2026年1月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上お楽しみください)
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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で