未だ被害が相次いでいる「有名人なりすまし投資詐欺」。名前を利用された前澤友作氏は詐欺広告の掲載を許可しているMeta社とFacebook Japan社を提訴しましたが、この「犯罪」の裏には中国が絡んでいるという見方も否定できないようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんが主宰するメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では今回、これらの広告主の多くが香港の秘書会社で、彼らを中国企業が利用しているとするニュースを紹介。さらに欧州で発覚した中国企業が関わる大規模な「個人情報不正取得詐欺」の実態を取り上げ、世界中からカネだけでなく情報までをも抜き取ろうと画策する中国の狙いを考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】中国は金も情報も抜き取ろうとしている
中国は金も情報も抜き取ろうとしている
● 中国企業が「世論工作システム」開発か、Xアカウントを乗っ取り意見投稿…ネットに資料流出
中国政府と関係のある上海のIT企業が、X(旧ツイッター)のアカウントを乗っ取り、世論工作を仕掛けるシステムを開発した疑いがあることが明らかになりました。そのシステムの営業資料がインターネット上に流出したことで発覚したそうです。
流出したのは上海に本社がある「安洵信息技術有限公司」のもので、同社は2010年に設立され、スパイ摘発などを行う中国の国家安全省にIT製品を納入する業者に選定され、さらには公安省や地方警察の公安当局ともパートナーとなっているといいます。
読売新聞が入手した同社の文書には「ツイッター世論誘導統制システム 製品紹介資料」という題名が書かれ、システムの目的として、中国国外の好ましくない世論を検知し、世論をコントロールするためだと書かれていたそうです。
このシステムを使ってXのアカウントに不正URLを送信し、それをクリックさせることでアカウントを乗っ取ることができるといいますから、ユーザーにとってはかなり危険です。
記事には日本政府関係者の話として、近年は他人に乗っ取られたと見られるXのアカウントが、中国の反体制派を批判するケースが相次いでおり、こうしたシステムが使われている可能性が指摘されています。
加えて、最近はSNSなどで有名人になりすまして投資を勧誘し、資金を騙し取る投資詐欺が話題になっています。TBSのnews23がこうした広告主15社を調べると、香港が12社と最も多く、しかも、現地取材してみると会社の登録をしているだけの「秘書会社」であり、営業実態がありませんでした。専門家によれば、中国企業が香港の秘書会社を利用している可能性が高いとのことです。
● 有名人を騙るSNS投資詐欺 直撃!ニセ広告の業者が香港に…プラットフォーム側の規制しないと「2024年に日本人の資産奪われる」【news23】
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ
もちろん、こうした中国からの詐欺は、日本に限りません。英国の『ガーディアン』紙、ドイツの『ディ・ツァイト』紙、フランスの『ル・モンド』紙が共同で行った国際的な調査により、英国の公認取引基準協会(CTSI)が「世界最大級のインターネット詐欺」と呼ぶ、7万6,000の偽サイト開設で80万人の被害者(ほぼ全員が欧米)を出している詐欺の実態が明らかにされました。
調査によると、この詐欺は中国福建省から行われているとされ、「福州中慶網路科技有限公司」という企業が関わっている疑いがあるそうです。
しかも、専門家たちは、この詐欺の主な目的は金銭ではなく、クレジットカードの詳細やその他の機密性の高い個人情報を得ることだと結論づけています。
不思議なことに、詐欺に遭って買い物をしようとした人の多くは、銀行が支払いをブロックしたり、偽ショップが処理をしなかったりして、実際にはお金を失っていないそうですが、その一方で、80万人もの人々がメールアドレスを提供し、そのうちの47万4,000人が、名前、電話番号、住所はもちろん、デビットカードやクレジットカードの情報とセキュリティコードを渡したと推定されています。
そのため専門家は、この詐欺の多くは、組織的犯罪シンジケートの一部が行った深刻な犯罪であり、彼らは、後に一般市民を攻撃するために使用される可能性のあるデータを収集し、消費者がフィッシングに対してより脆弱になるようにしているのだとしています。このような個人のデータベースは、スパイ活動に関心を持つ外国の諜報機関にとって貴重なものである可能性があるといいます。
つまり、中国に個人情報が流出し、スパイ活動に使われる可能性があるということです。日本では金銭的被害が出ている詐欺事件ばかりが話題になっていますが、個人情報を打ち込んでも金銭的被害が出ていないために、見逃されているケースも多いはずです。
そうした個人情報がSNSやメールアドレスの乗っ取りなどに利用される可能性もあるわけです。今後は、金銭被害があるかどうかにかかわらず、個人情報が抜き出されていないかを注意する必要があります。信用が確立していないサイトで買い物しないのはもちろん、さまざまなアンケートなどについても、気軽に書き込むべきではないでしょう。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年5月15日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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