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TOKYO, JAPAN - 23 July 2021:Takashimaya sign

高島屋の中元戦略は何が凄い?鍵となるメリハリ消費と来店促進

夏といえばお中元の時期。物価が高い昨今ですが、高額商品の売上が伸びる時期でもあります。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』で、著者の理央さんが、この時期特有の「メリハリ消費」に目をつけた高島屋のお中元にフォーカスをあて分析しています。

人は行く理由がないと来店しない~高島屋の中元商品ラインアップに学ぶ、顧客視点の来店促進策

日本全国が熱気むんむんのこの季節、ビジネスにも中元商戦のタイミングがやってきます。

この時期、多くのお店では、物価高や消費環境の厳しさを跳ね返すように、高額商品の売り上げが伸びる、「メリハリ消費」が見られます。

メリハリ消費とは

「メリハリ消費」とは、消費者がお金を使う時に、必要最低限のものや、価格の安いものには節約をしながらも、自分が本当に欲しいものや、価値を感じるものには、高額でも積極的に、たくさんのお金を使うという消費の仕方です。

消費者はお金の使い方にメリハリをつけて、賢く消費しているという意味です。

この背景には、物価の高騰や生活環境の変化などにより、消費者は自分の購買行動を見直す傾向があります。

なので、節約する一方で、特別な体験や価値を感じる、商品・サービスに対しては高額でも出費する、というメリハリの効いたお金の使い方になる、ということになるのです。

高島屋のお中元の事例

高島屋では、このメリハリ消費に目をつけ、お中元商品のラインアップに、対応する商品を組み込んでいます。

以下は2023年6月8日日本経済新聞の、記事からの引用です。

大丸松坂屋百貨店は「鰻のひつまぶし」(1万800円)や「ゼリー寄せ3種セット」(7,200円)など有名店のシェフが監修した高価格帯のギフトを取りそろえた。店舗に行列ができる人気のスイーツなども用意した。

「消費を厳選する傾向がある。自分がよいと感じた商品は多少高くても購入してくれる」(ギフト企画担当)という。

高島屋が注目したのは猛暑関連の商品だ。

「冷感」や「さっぱり」「発汗」などのキーワードを掲げる。カフェ運営のアフタヌーンティー・ティールーム(東京・渋谷)の「アイス&シャーベット」(5,400円)や、奥芝商店(札幌市)の「竜宮の賄い海鮮スープカレー」(5,234円)
などをそろえた。電気代値上げで高まる節電志向に対応する常温で長期保存ができる食品も用意した。

小売業では、市場の流れをいち早く読み取り、品揃えやサービスに、その変化への対応策を、いち早く取り入れて、来店を促進する必要があります。

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来店促進とは?

来店促進の戦略とは、お店に顧客を引き寄せるためになにができるか?を考えることです。

例えば、この高島屋では中元のギフトとして、旬の果物や地元産品を厳選した、記事にあるようなオリジナル商品を提供しています。

お中元を提供する小売業は、デパートに限らず多くありますが、顧客から選ばれるには、“高島屋だけでしか買えない特別な商品”という魅力を打ち出す必要があります。

このメルマガでもよく説明するように、お中元を送る人からすると、高島屋も三越も、Amazonも楽天も、全部同じに見えるので、「高島屋はここが違う」という独自価値を、ちゃんとコミュニケーションしないと、顧客はわからないのです。

そもそも顧客はなにを求めているのか?

先程のように、メリハリ消費があるな、と気づいたら、すぐに来店促進戦略に取り入れやいところです

その際に、まずは顧客の心理を、もう少し深掘りする必要があるでしょう。

多くの顧客は次のような購買体験を求めます。

1.特別な体験を求める 

お金を使うとき、人々は単に物を手に入れるだけではなく、特別な体験を求めます。例えば、ユニクロのUTはアーティストや人気ブランドとのコラボレーション商品で、これを着ることで特別な体験やステータスを享受できます。

2.価値に対する納得感

たとえ商品が高価格であっても、その価値が明確で、それに見合った満足感や納得感が得られると、消費者は購入を決定します。価値は商品の特長、利便性、高品質な素材など、多岐にわたります。

3.限定商品への欲求 

人々は限定商品に強く引き寄せられます。それが「今しか手に入らない」「数に限りがある」といった独自性と希少性を兼ね備えている場合、それは一種のステータスを象徴し、購入意欲を刺激します。

うちの会社はなにができるか、ではなく、まずは「顧客はなにが欲しいのか?」を先に考えることが大事です。

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施策を考える

顧客の欲求を実現するためになにができるか?を、具体的に考えていくといいでしょう。

1.特別な体験を提供する

顧客は、商品自体だけではなく、購入を通じて得られる体験に価値を置く傾向があります。

これは、特別なイベントの開催や、製品の限定版の販売などを通じて提供できます。

顧客が特別な何か、他では得られない何かを、手に入れたと感じさせることが大切です。

スターバックスのリザーブロースタリーは、この戦略の良い事例です。

一般的なスターバックスの店舗とは一線を画し、その場で豆を焙煎し、豊富なメニューから選べる、という特別な体験を提供しています。

これにより、顧客は単にコーヒーを購入するだけでなく、豆からカップに至るまでの、コーヒー作りのプロセスを体験できます。

2.消費者の認知を深める

高額商品の価値を消費者に理解してもらうには、その商品の品質、使い心地、効果など、具体的な特徴を詳しく説明することが大切です。

これにより、消費者は商品の価値を理解し、その価値に見合った価格だと納得することができます。

Appleの製品紹介はこの戦略を見事に実践しています。新製品が発表されるとき、Appleはその製品が持つ,技術的な特徴やデザインに至るまでを、詳細に説明します。

これにより、消費者はApple製品の価値を理解し、高額でも納得して購入したくなるのです。

3.限定感を打ち出す

NIKEは、数量限定のスニーカーを、頻繁にリリースします。

これらの商品は発売と同時に即完売し、消費者間での取引価格が、初めの価格の数倍にもなることもあります。

限定感と希少性が消費者の購買意欲を高め、ブランドの価値をさらに高めています。

このように、売り伸ばしていくためには、

・いち早く消費の変化に気づくこと
・戦略を明確にすること
・顧客の立場で考えること

の3点が重要なのです。

その意味でも、高島屋の中元戦略は、顧客視点での戦略立案の好事例と言えます。

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image by: yu_photo / Shutterstock.com

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