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brilliant cut diamond held by tweezers

ダイヤモンドの価値は「作られたもの」だった?私たちが今もダマされ続けているモノ

私たちが「当たり前」だと思っているものや習慣の中には、誰かが「戦略的に作り上げたもの」も多く含まれています。では、こんなに身近なのに「実はマーケティングによって作られていた」ということがわかった途端、信じられなくなるものは何でしょうか? 営業実務コンサルタントの島田安浩さんは、自身のメルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』の中で、衝撃的な「事実」を紹介しています。これを知ってしまったら、明日からまともに指輪を見ることができなくなるかもしれませんよ。

文化を作って売る?!私たちはまんまと【騙されてる?!】

父親はダイヤモンドの供給調整をした

今回の話は、「文化」を創造して爆発的に売れ続けている話です。

まあ、似たような話はいろいろあります。

「土用の丑の日」

平賀源内が作った日本初?のキャッチコピーです。

本当かどうかは知りませんが、以前、本で読んだか、聞いたような気がします。うなぎ屋さんに頼まれてキャッチコピーを作り、今では、日本の文化に成っています。

「恵方巻」

諸説あります。

私は大阪に転勤になっていた時セブンイレブンで初めて見ました。1999年頃なので、24年前の話です。当時、東京では「恵方巻」なんて聞いたことが無かったです。

それが、どうでしょう?今では、節分に成ると、豆まきよりも恵方巻という雰囲気です。スーパー、コンビニ、どこでも「恵方巻」を販売しています!

「バレンタインのチョコ」

「モロゾフ」の創業者、葛野友太郎氏が始めたそうです。

これは、中国に赴任していた時に、中国では、バレンタインは男女関係無しで、好きな人にプレゼントを贈る習慣があります。

日本だと、男性は貰う側で、チョコが何個もらえるかワクワクする日ですが、全く違うので、戸惑いました!「チョコ業界の陰謀だ!」って感じでした。

ちなみに、「ホワイトデー」なんていうのも日本だけです!商売人はいろいろ考えるものです。商魂たくましいわけです。

このように、広告が文化、習慣を生み出して、商品の消費を促すというのは昔からの手法の一つです。

ただし、今回の話は、デカいです。そして、私もその陰謀の犠牲者?あなたも、たぶん犠牲者の一人だと思います。

何の話なのか?

「ダイヤモンド」です。

会社名:De Beers(デビアス)です。デビアスという名前は、あなたも聞いたことがあると思います。南アフリカ創業の、ダイヤモンドの世界シェア90%を握った、「ダイヤモンド=デビアス」というような会社です。

その支配的株主アーネスト・オッペンハイマー(Ernest Oppenheimer)がお父さんです。彼は、ダイヤモンドを貴重品というイメージを創造した人らしいです。ちょっと、これには完全にやられていました。

実は、ルビーはダイヤモンドより40倍も希少だって、知ってましたか?私は、全く知らなかったです!なんか、希少だから高価というイメージを勝手に思っていました。だから、ルビーよりもダイヤモンドは希少品だと思っていたんですが、それは作られたイメージだったようです。

また、ダイヤモンドは最も硬いから、永遠に輝き続ける!そういうイメージがありましたが、実際には、「燃えやすい」そうです。まあ、石炭のなかに多く含まれている炭素の単一原子のみがダイヤモンドなので、燃えると言われれば、「そうだろうなぁ~」と思ってしまいます。ただし600度というような高温で燃えるそうです。普通の火災などで燃えることは無いそうですが、変色してしまうらしいです、…。

また、ダイヤモンドは硬いんですが、靭性(じんせい)は弱いので、割れたりしやすい物質だそうです!これまた、知りませんでした。

こういうのを、知っていたら、今ほど高い値段で流通したかどうか?って、思ってしまいますが、すでに貴重品に成ってしまっています。

お父さんの戦略は、何をやったのか?

「供給を制御した」のです。

貴重品だ!というようになると、まあ、考えて、供給量を操ったわけです。世の中に、少量しか流通しなければ、貴重だ!と成るという発想だったようです。

ただ、20年が過ぎ、売上は50%下がり、価格は80%下がった。実際には、あまり効果的では無く、逆効果だったと言えます。

息子は『文化』を創造した!?

そして、息子のハリー・オッペンハイマー(Harry Oppenheimer)はアメリカに行きます。そして、マーケティングを開始します。このマーケティングの餌食に成ったのが、世の中、全ての男性だと言えます。

彼によって作られたのは、文化そのものです!

結婚指輪や婚約指輪って、当たり前に買いますよね?!それって、デビアスによって作られた広告なんです!!ヤバくないですか?まんまと、世の中の男性は、広告の餌食に成ったわけです。

【愛=ダイヤモンド】

こんな、訳の分からないイメージを植え付けたわけです!

宝石と言えば宝物かも知れませんが、単なる石です。キレイに輝く石というだけです。ルビーよりも40倍も沢山取れ、燃えやすく、壊れやすい石です。別にダイヤモンドじゃなくても、金でも、銀でも、ルビーでも、真珠でも、もっと言えば、指輪である必要も無いです。

愛とは何の関係も無い訳ですが、民衆というお客様を教育することで、「愛の大きさは、ダイヤモンドの大きさに比例する」なんて、ヤバい教育をしていくわけです。そう考えるとムチャムチャ凄い戦略だと言えます。それが、達成できたのは、広告代理店の力によるところが強いでしょう。

1938年広告代理店「N.W.Ayer Ad Agency」と契約を結びます。アメリカ最古の広告代理店と言われています。その広告代理店に、方向性を伝えて、広告代理店が頑張って仕事をしたわけです。

「我々は、人々の心の中で、ダイヤモンドとロマンスを結び付け、強化しなければならない。

若い男性の90%は結婚指輪として購入するので、ダイヤモンドは愛の贈り物であると彼らに教え込まなければならない。

ダイヤモンドが大きくて、輝いていることは、愛の大きさを示している。同様に若い女性には、ダイヤモンドが求愛に不可欠と教え込まなければならない」

これが、広告代理店の考えたものです。そして、実行されていきます。

ダイヤモンドをマリリンモンローにたくさん持たせて、写真をバンバン写して、それを活用しまくった!

その他映画スター【女優】には、愛の象徴としてダイヤモンドが与えられた。そして、彼女達は、その指輪やネックレスを付けてメディアに登場したことで、ドンドン、ダイヤモンドを彼女のように身に付けたいと、女性たちを教育したのです。

また、男性には、美しい女性にダイヤモンドを贈るべきだと、写真やメディアを活用して教育したのです。ダイヤモンドとロマンスの結びつきを繰り返し強調したのです。雑誌、新聞にダイヤモンドの物語や写真を掲載し続けたのです。

また、ラジオ番組でファッションデザイナーに依頼して、ダイヤモンドがトレンドに向かっていると話をさせたのです。週刊誌「Hollywood Personalities」は映画スターが身に付けるダイヤモンドについて特集記事を書かせたことが、上位125位の新聞に掲載されたりして、波及効果が創出されたのです。

また、全国の高校で講演を行ったりもしています。ダイヤモンドを身に付けて、ダイヤモンドに関する物語などを話すことで、彼女や彼等に、【愛=ダイヤモンド】と教育して、頭の中にイメージを植え付けたわけです。

そういう、一つの文化を作ったわけです。まあ、ムチャムチャ大掛かりですが、これが物凄い成果を出します。たった3年で55%売上アップします。

また、フランシス・ゲレティ(Frances Gerety)は、DeBeersの広告で「ダイヤモンドは永遠に」というキャッチコピーを作成しました。25年に渡ってDeBeersを担当して活躍したそうです。

当時は、女性の商品は女性のコピーライターを使うのが一般的で、彼女も女性です。写真を見ると、あまり、ダイヤモンドを身に付けてというような雰囲気ではないです。ただ、このキャッチコピーほど有名な、そして、今も使われているコピーは少ないでしょう。

「ダイヤモンドは永遠に」って、言葉はあなたも知っているでしょう。たぶん、このキャッチコピーの影響で、ダイヤモンドは永遠に輝くようなイメージが植え付けられたように感じです。

実際は、燃えやすく、もろいって!詐欺じゃないか!!って思ってしまいます。

その後、アメリカだけじゃなく、日本、中国で、キャンペーンを実施しました。キャンペーンというか、洗脳戦略とも言えるかも知れません。ダイヤモンドこそ現代西洋の価値観の証であるとしてキャンペーンを実施したわけです。

日本の雑誌で、美しい女性に西洋の洋服とダイヤモンドを身に付けたカラフルな広告を作成した。さらに、日本の文化を飛び越えた、サイクリング、キャンプ、ヨット、海上の水泳、登山する女性の広告を作った。このことは、自動車、スポーツ用品、などが海外からの輸入が背景としてあったわけです。

メッセージは明らかだったわけです。ダイヤモンドは、東洋の過去の伝統を崩壊して、現代生活へのシフトを示したことです!

「結婚・婚約指輪=ダイヤモンド」贈るのは当然で文化そのものだ!

そういうものだと、教育して、大成功を収めたわけです。

3ヵ国でキャンペーンを実施した結果。これほど、犠牲者?というか、文化が定着しました。

・アメリカ

1940年:10%
1990年:80%

・日本

1965年:5%
1995年:77%

・中国

1994年:1%
2010年:31%

婚約・結婚指輪としてダイヤモンドを贈る文化を作った。そのように社会を説得した!まあ、凄いことですね。

これを、一企業が行ったというのは凄いです。日本も、私が生まれた頃はまだ5%だったのが、今では、文化として定着しています。結婚したら、奥さんにダイヤモンドの指輪を贈るのは当たり前です!そういう風習を作ったら、従わないと変な奴だと思われ、奥さんには嫌われるので、まあ、たまらない話です。凄い話ですよね!?

「デビアス」って名前は聞いたことはありますが、マーケティングで文化を作った会社だとは、知らなかったです。本当に、勉強になります。

image by: Shutterstock.com

島田安浩(営業コンサルタント)この著者の記事一覧

最初売れない営業マンだった私が、売れるようになり、日本でトップセールスに登りつめ、経営者として株式公開した。その営業ノウハウを、売れる営業の常識と売れない営業の非常識と言う観点で分かり易くまとめた。

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【著者】 島田安浩(営業コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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