借入金の利息すら払えない「ゾンビ企業」が過去最高水準となってしまいました。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では、著者で現役税理士の今村仁さんがなぜこのような事態になったのかについて詳しく語っています。
ゾンビ企業増し増し。銀行方針の大転換をご存知ですか?
本業の利益で借入金の利息すら払えないいわゆる「ゾンビ企業」が、1年前より3割増しの約25万社に達し、過去最高水準となりました。
ゾンビ企業の正確な定義は、インタレストカバレッジレシオ(ICR)が、3年以上1未満で、設立10年以上とされています。
ICRとは、支払利息負担に対してどれだけ利益を稼いでいるかを示す指標で、中小企業向けに簡略化して書くと、「ICR=営業利益÷支払利息」です。
本来は、営業利益の中から借金返済もしていかないといけないので、ICRが1未満でそれが3年以上続いているというのは、まさにゾンビ企業といえるのかもしれません。
■国の方針は「経営資源をM&A売却」+「ガイドライン活用」
リーマンショック後の2009年に、金融機関に返済猶予や支払期限の延長(いわゆるリスケ)を求めた中小企業金融円滑化法が成立しました。
更には、コロナ禍における2020年春より、実質無利子・無担保融資であるいわゆるゼロゼロ融資の利用が始まりました。
結果として、冒頭のゾンビ企業25万社という結果となりました。
この結果に対して、国は昨年より下記の大方針を掲げました。
1.「経営資源と言えるような会社や事業はM&Aを使って存続」させるが、そうでない会社や事業は倒産してもらう
2.経営者が上記の決断をしやすいように「自己破産しなくてよくなる経営者保証ガイドラインの活用」を促していく
■銀行方針の大転換元年
国の大方針を受けて、銀行などの金融機関も下記を今年より実行していかれるようです。
1.安易なリスケ延長や借り換えには応じない
2.M&Aでの経営資源売却等を積極的に支援していく
3.経営者保証ガイドラインを理解し出来るだけ活用していく
上記について、特に3については相当に金融機関によって温度差が当初あるだろうと予測されますが、方向性は変わらないと思われます。
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