弊サイトでも既報の通り、計発行部数が100万部を突破し、昨年日本テレビ系列でドラマ化された人気コミック『セクシー田中さん』の作者で、25日に50歳の誕生日を迎えたばかりだった芦原妃名子さんが、1月29日に急死した悲しい出来事。ドラマは23年10月22日から12月24日まで、女優の木南晴夏(38)主演で放送されたが、その脚本を巡ってトラブルがあったと伝えられている。
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トラブル露呈のきっかけとなったのは、脚本を手掛けたA氏による自身のインスタグラムへの「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」という投稿だった。これを受け芦原さんは自身のX(旧ツイッター)で1月26日に経緯を説明。
『セクシー田中さん』のドラマ化に当たり、「必ず漫画に忠実に描き、忠実でない場合は芦原さんが加筆修正する」「完結していない原作漫画の今後に影響を及ぼさないよう、ドラマ終盤のあらすじやセリフは芦原さんが用意する」という2つの条件を制作サイドに提示した芦原さんだったが、毎回提出されてきたのは原作を大きく改変したプロットや脚本。全10話中の1~7話は芦原さんが加筆修正しほぼ原作通りの脚本を完成させたというが、8話については修正ができず、9、10話の脚本は自身が担当したとポストしていた。
芦原さんが切々と綴った経緯説明を目にしたネットユーザーは、「原作者との約束を反故にした」としてドラマ制作サイドを猛批判。その矛先には脚本家も含まれていたのは言うまでもない。
ところが28日、芦原さんは当該ポストをすべて削除し、こんな投稿を残し急死した。
攻撃したかったわけじゃなくて。
ごめんなさい。
— 芦原妃名子 (@ashihara_hina) January 28, 2024
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『セクシー田中さん』のトラブルをどう語ったか
このような状況の中、脚本家の組織する「日本シナリオ作家協会」は芦原さんの急死が伝えられた29日夜、「【密談.特別編】緊急対談:原作者と脚本家はどう共存できるのか編」と題した動画を同協会のYouTubeチャンネルで公開。その内容が「あまりに酷い」と大きな話題となっている。
動画は多くの映画や人気テレビドラマを手掛ける女性脚本家Kと、50代以上ならば誰もが知る数々ドラマの脚本執筆だけでなく、小説家としての一面も持つ男性Bを中心とした4人のシナリオ作家らが、芦原さんの急死を受け原作者と脚本家の関係性などを語ったものだが、その発言内容は「脚本家擁護のエクスキューズ」と受け取られても致し方ないものだった。
「原作改変」についてKは、「最近はこだわりの強い原作者が増えている」とした上で、今回の『セクシー田中さん』を巡るトラブルに「芦原さんには芦原さんの、脚本家には脚本家のファンがいて、それぞれのファンが納得すれば済むことだったのに、あまりにも(脚本家を)責めすぎ」と発言。
さらにBは「僕はあの(芦原さんが出した)条件を付けられたらやらないなと思った」と語ったが、はたしてこれが、芦原さんの急死が伝えられたその日の夜に公開する動画にふさわしい内容と言えるのだろうか。
『のだめカンタービレ』の原作者もXで心情を吐露
中でも批判が集中したのはKの以下のコメント。
「私は原作者の方に会いたくない派なんですよ。私が対峙するのは原作であって、原作者の方はあんまり関係ないかなっていう」
この「原作者軽視」発言には多くのネットユーザーが憤慨し、否定的なポストがあふれた。
《あまりに原作者に対するリスペクトがなさすぎる》
《脚本家は原作者を下に見ているのか》
《これ原作者に面と向かって言えるのかと思ったけどそもそも会わないのか》
《つまりは原作だけよこせよってことだな》
《原作と対峙してぶっ壊すのが脚本家の仕事かw》
このKの発言には現役売れっ子漫画家も反応。ドラマ・映画化された人気コミック『のだめカンタービレ』の原作者・二ノ宮知子氏(54)は自身のXにこんなポストを投稿した。
「原作者には会いたくない」っていうのを見た。うん知ってる。だから問題が起きるんだって…。そういう方は、お好きにどうぞって案件だけ探せばいいのではないかな。面倒が嫌なのはお互い様だしね。すぐ消すけど
宣言通り現在当該ポストは削除されているが、原作者としての偽らざる気持ちの吐露だろう。ちなみにこちらも削除されているが、彼女は原作の改変に関して次のように綴っている。
お部屋探しと一緒。北向きで大家がうるさいからやめようとか、ペット禁止だからやめようとか。DIYオッケーな物件もあるだろうし。私もドアぐらい変えてもいいよ、とかあるし。でも何も言わないで変えたら怒るかもだよ。
悪いのは「誰かを叩きたい人」ネット民に責任押しつけ
『セクシー田中さん』を巡るトラブルでは、脚本家を含むドラマ制作サイドへ批判の矛先が向いたのは前述の通り。これについてもKはこのようにコメントしている。
「あんまりどっちが言わない方がいいと思います、状況もわからないのに。私人逮捕系youtuberがめちゃくちゃ捕まってますけど、私人逮捕と同じですよ、どっちが悪いとか言うのって」
「原作者(芦原さん)は誰も責めてほしくなかったのに、誰かを叩きたい人たちがいて、世間が対立構造を作ってしまったことが悲しくて仕方がありません」
ネットで「納得の行かないこと」に対して声を上げたネットユーザーを「私人逮捕系youtuber」扱いするという傲慢。SNS上にはあくまで「正常」な書き込みが数多くポストされた。
《被害者ヅラで逃げるなんて最低》
《芦原さんを追い詰めたのはネット民って言いたいわけか》
《そもそもの発端は脚本家がインスタにポストしたことだろ》
こんな脚本家たちの声を、漫画業界側はどう受け止めたのだろうか。女性漫画誌の元編集者が口を開く。
「20年以上前の話なんですが、編集していた雑誌の人気作品がテレビドラマ化されたことがあったんです。原作者の方は『好きなようにしてください派』だったんですが、それでも漫画に登場しない人物が加えられていたり、重要キャラの決め台詞が面白くもなんともないギャグになっていたりで、原作ファンからは不評でしたね。もちろん脚本家さんなりのご苦労はあるとは思うのですが、今回のシナリオ作家協会の動画を見て、こんなふうに思っている方には作品は預けられないなと思ってしまいました」
うんざりな加害者側の「誹謗中傷盾」「脅迫盾」
大炎上することなど誰の目から見ても明らかな動画を公開した日本シナリオ作家協会だったが、「2024年1月29日配信の『深夜密談・特別編』につきまして、いただいたご意見は真摯に拝読させていただきました。出演者・関係者への誹謗中傷や脅迫等がございましたので動画は削除しました」として、該当動画を消去。
しかし、本当に誹謗中傷、ましてや「脅迫」などはあったのか。2日16時現在、同協会はこの件に関する見解を何ひとつ出していない。これでは誹謗中傷・脅迫が「創作」と受け取られても仕方のないことだろう。
ただ、紹介したような内容の動画を不特定多数に向けて発信すれば、視聴者の中には異常な攻撃性を持つ人間がいないとも言い切れず、「脅迫等があった」というコメントを全否定することもできない。それにしても、である。いいかげん加害者側が「誹謗中傷盾」「脅迫盾」を用いて自己保身に走り、SNS規制を叫ぶかのような傲慢さにネットユーザーはうんざりしているのが事実だ。
そんなSNS上で目を引いたのは、これらの「ごもっとも」なポストだ。
《脚本家を主人公にして、こんな状況からどう逃げるかっていうシナリオを書いてみればいい。そういうドラマなら見る》
《「大炎上!」ってタイトルで、今回の炎上騒ぎを収拾するオリジナル脚本書いたらいいんじゃね?》
《脚本家なら、この炎上を押さえるどころか逆手に取るみたいなストーリーでドラマ一本書けるでしょ。原作いらないだろうし》
動画の削除により、「逃走」を図った日本シナリオ作家協会。しかしその卑怯極まりない姿勢は逆に、文字起こし職人や経緯まとめ職人たちの逆鱗に触れてしまったようだ。事実、凄まじい勢いで今回の騒動は多くの人が知るところとなっている。削除された動画を複製して再拡散するといった行為はもちろん違法であり決して褒められたものではない。だがそれもすべては同協会の「自己責任」と言って差し支えないだろう。
X(旧Twitter)の反応
もうこの件には触れないでおこうと思っていたんですが、
この対談を聞いて、貧血起きそうなほどイラツイてしまった。
オリジナルをつくる苦労はしたくないけれどオリジナルやりたいから原作を変えるって言ってる人もいて、
ヒット作品ある作家さんに見てほしい。
↓ https://t.co/hscmLEja1v— 山田こもも (@ya_momo) January 31, 2024
【シナリオ作家協会チャンネル】公式の
【密談.特別編】緊急対談:原作者と脚本家はどう共存できるのか編 ってのをyoutubeで聞いてたんだけど
なかなかショックな内容
動画は削除されてるけど
そもそもそうなるのが想像出来ないんだろうか?
怒りというか呆れるというか…— 吉田小梅 (@koume_yoshida7) February 2, 2024
シナリオ作家協会が動画の件で炎上してますが。今回なぜこのような痛ましい出来事に至ったのか、十分な検証もされない状態のなかで一部脚本家が語る動画(しかも「密談」とな)を上げるのは拙速にすぎる。どうぞ燃やしてください、と言うようなものだろう。協会としての総意と思われてもしかたがない。
— 磯田勉 (@isopie_) February 2, 2024
日本シナリオ作家協会、動画「原作者と脚本家はどう共存できるのか編」削除 「誹謗中傷や脅迫等が…」(スポニチアネックス)#Yahooニュースhttps://t.co/aiDkdODWDj
創作に当たっての「いくら何でもこんな愚かな選択はせんだろう。ご都合主義が過ぎる」という自戒をこの人たちが否定してくれるとは— 芦辺 拓 (@ashibetaku) February 2, 2024
シナリオ作家協会のラジオ動画、私はきのう全部聞いたけれど、おおよそすべての漫画家と小説家にとって、気分の良いものではなかったことは確かですね…
モヤモヤするところは多々あったけど、あとでFANBOXの日記に書こうかな。— 藤沢チヒロ??文フリ香川に出るよ?? (@uwabamic) February 2, 2024
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image by: 協同組合日本シナリオ作家協会公式X