22日、紅麹(ベニコウジ)の成分を含んだサプリメントを摂取した人に腎疾患などの健康被害が発生したとして、該当製品の自主回収を発表し速やかな使用中止を訴えた医薬品大手の小林製薬。同社によると、一時的に透析が必要となった被害者もいたという。さらに同社は24日、問題のサプリメンに使用されている同社製の紅麹を国内外の卸売業者52社に販売していたと発表。宝酒造や紀文食品が製品の自主回収を行うとしている。また、25日のニュース報道によれば小林製薬の紅麹サプリ摂取が原因と思われる入院患者数が、これまでに26人にまで及んでいることが明らかとなった。
小林製薬 自主回収の“紅麹原料”食品メーカーなどに供給 卸売り52社通じ https://t.co/SKRG4t8uBO
— テレ朝news (@tv_asahi_news) March 24, 2024
この報道にネット上はパニック状態に。
《まさかと思ってチェックしてみたらプロテインに入ってた》
《子どもに食べさせてたパンにも紅麹使われてるのあった。泣きそう》
《会社で毎日食ってるスナック菓子にバッチリ表示されてるっていうね》
《カップ麺に入ってるなんて聞いたから見てみたらうそじゃなかった。これやばいの?》
《漬物の食品表示表にガッツリ書かれてるんだけど》
小林製薬が提供したとする卸売業者52社を通じて紅麹を仕入れて使用していた企業のうち、製品の自主回収を表明しているのは、25日17時現在で上記の宝酒造と紀文食品の他に、福岡市の通信販売会社「ZERO PLUS」と名古屋市の豆菓子専門店「豆福」の計4社。他の企業については現時点で発表がないため、消費者の不安の声は広がるばかりだ。
古くから食品用の着色料として使われてきた紅麹
「そもそも紅麹は着色料として古くから使われているもので、インスタント食品やスナック菓子、漬物類など幅広く使用されています」
と語るのは、食品業界にも詳しい50代の男性ライターだ。
「それだけ一般的に用いられているので、消費者が紅麹を回避するのはまず不可能と言えるでしょう。含まれるものすべてを企業が自主回収するということになったら、商品棚がスカスカになってしまう恐れもあります」(同前)
かように紅麹は、我々の生活に“浸透”しているという。
「ただ…、猫を飼っている身として気になるのは、キャットフードにも紅麹色素を使用している製品があることでしょうか。猫はもともと腎臓を悪くして命を落とすケースが多いため、それはちょっと心配ではあります」(同前)
もちろん今この時点で、猫の腎臓と紅麹との間に何らかの関係性があるとの研究結果や報告は見受けられないので、ライター男性の上記発言はあくまで彼の“私見”であることを強調しておく。
本当に「小林製薬の紅麹」だけが問題なのか?
ここで気になるのが、件の「小林製薬」の紅麹だけが問題なのか、という点だ。かつて在京テレビ局のニュース番組で食の安全に関するコーナーを担当した50代のテレビ関係者に聞いた。
「EUでは一部の紅麹菌株が生産する『シトリニン』という有害物質の健康被害を問題視して、紅麹由来のサプリメントに対して注意喚起を行っています。これは内閣府の食品安全委員会のHPにも掲載されています」
確かに、食品安全委員会の「紅麹を由来とするサプリメントに注意(欧州で注意喚起)」にもそのような記載がある。さらに一般財団法人食品産業センターのHPによれば、着色料として「ベニコウジ色素」は、米、英、EU、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、豪州では使用禁止となっているようだ。
「ただし報道によると、小林製薬さんが回収対象とした製品からは『シトリニン』は検出されなかったとされています」(同前)
しかし、と同氏は言う。
「国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部が2018年に出した『食品安全情報(化学物質)』に、欧州食品安全機関による『紅麹に含まれるモナコリンKの安全性に関する科学的意見』が紹介されています。<ラクトン型のモナコリンKは、EUで高コレステロール血症の治療用として承認された複数の医薬品の有効成分であるロバスタチンと同じものと考えられる。(中略)横紋筋融解症を含む筋骨格系や肝臓に深刻な健康影響を及ぼす可能性がある>との記載がありますが、今回の小林製薬さんのサプリで報告されているのは腎臓被害。安易に結びつけることは禁物ですが、海外で紅麹が“要注意”とされているのは間違いありません」(同前)
ちなみに我が国と中国、韓国、台湾では使用を禁じられていない。責められるべきは小林製薬のみでなく、国民に対して紅麹の「万が一にもあり得る健康被害の可能性」をアナウンスしてこなかった日本政府や厚労省などの省庁ではないだろうか。
「もう腹くくって食うしかない」の声も
ネット上には、冒頭に挙げた紅麹が使用されているサプリや食品に対する心配の声と正反対のポストも散見される。
《ほとんどのものに入っているていうんであれば避けられないしもう腹くくって食うしかない》
《カップ麺もスナック菓子も紅麹どうこうより塩分で体やられそうだから同じじゃないか?》
《今まで食べてきて特にどうこうなかったからこれからも大丈夫の予感》
とは言え、さらにこれ以上の健康被害が認められるとすれば、政府や担当省庁の責任は免れないだろう。
「日本の食の安全」は今、大きな岐路に立たされている。
X(旧Twitter)の反応
重要:拡散>紀藤正樹氏 小林製薬のサプリ回収に私見「トクホとの違いを消費者はほとんど知らない」「紅麹コレステヘルプ」摂取の男女計13人に健康被害が発生
・小林製薬HP
https://t.co/5pimvSVdwh
3月22日(金)~電話0120‐58‐5090 9時~17時(土日・祝日は除く)https://t.co/QpBbNMI7LK— 紀藤正樹 MasakiKito (@masaki_kito) March 23, 2024
小林製薬の紅麹で健康被害
↓
ちゅ~るにも紅麹が含まれてる
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いなば食品に電話で問い合わせ
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「小林製薬の紅麹は使用しておらず、人間用食品でも10年以上使っており健康被害の報告はないので安心してね」←今ここ https://t.co/bYQUdKt7OS— コルメル??キャットデザイナー (@xCOLMELx) March 25, 2024
今、報道に出ている『紅麹』は、『麹』と名前がついているだけで、酒、味噌、醤油、焼酎、甘酒、酢、味醂、など、幅広く日本の発酵食品に使われる『麹菌』とは、全く異なる菌です。
一般的な麹菌はAspergillus属、今回話題になっている紅麹はMonascus属となり、全く異なります 1/n
— 村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai) March 24, 2024
この状況の何がまずいかを具体的に説明すると
→原因物質の特定ができていない
→影響範囲が分からない
→製造工程で不活性化あるいは除去されるかもわからない
→原料として使用したものは全てリスクがある
→原料として使用したものは全て回収せざるを得ない… https://t.co/IvQwv0N739— すん@製薬工場勤務 (@shin_gmp) March 24, 2024
これはたいへん。
機能性表示食品により腎疾患等が発生との報告。一部の紅麹原料に、意図しない成分が含まれている可能性、だそう。
一部の紅麹が産生するかび毒シトリニンは、検出されていないらしい。微生物の制御は、やっぱり容易ではない。https://t.co/1GA7zmL2q8— 松永 和紀 (@waki1711) March 22, 2024
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image by: 小林製薬株式会社 , Shutterstock.com