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居酒屋のランチ営業、やめるべきか続けるべきか。敏腕飲食コンサルが出した「納得できる回答」とは

お店を閉めている時間も家賃は発生しているのならば、という理由で始められることも少なくない居酒屋のランチ営業。しかし外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんは、「時間を伸ばして収益を良くしていく発想」に否定的な姿勢を見せています。その理由はどこにあるのでしょうか。堀部さんは自身のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で今回、居酒屋の「最も駄目でドツボにハマるパターン」を提示しつつ、なぜランチ営業に安易に手を出すべきでないのかについて詳しく解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:居酒屋のランチ営業の必要有無を考え直してみた

居酒屋のランチ営業の必要有無を考え直してみた

居酒屋がランチ営業する必要があるのか?

確かに固定費は変わらないので、少しでも売上が上がった方が利益は出ます。

しかし同時に労働時間の短縮も必要でそことのバランスも考えないといけない。

結局、居酒屋でランチ営業を行う必要はあるのか。今日はその辺りを書いていこうと思います。

■結論

原則いらない。

時間を伸ばして収益を良くしていく発想よりも、限られた時間内で収益の最大化。

こちらの追求をしたいところです。

最も駄目でドツボにハマるパターンが、

このパターンです。

ど真ん中の領域で勝ちきれないのに、他の領域に拡張して本当に勝てるのか。

という話ですね。

なので基本的には「ディナーだけで儲け切る」事に最大限力を入れて欲しいなと思います(実行OKなパターンは後述)。

■そもそもランチ営業ができるという事は?

居酒屋を全国展開されるご支援先がいらっしゃいます。1店舗辺りの平均月商は1,600-1,800万円(もちろん不審店はあるので平均的にです)。

平均日販で見ると約50-60万円な感じ。客単価で考えると毎日約160-200人の来店です。

営業時間は17時~24時。

ランチ営業を仮にするとしたら、いつ営業するんだ?って話ですよね。

こちらも店にはよりますが、基本的に10時からアルバイトさんが出勤。

オープンまでの仕込みを10時~16時で行う形になります。

中小企業においてはCK活用も少数派。そう考えると暇だからランチもできる。

このようにも言えるので上述の通り、「ディナーだけで儲け切る」方が大切です。

■本当に儲かっているのか?の視点も

それ、本当に大丈夫?この視点は大切です。

その人件費に金額をつけるなら?

今まだ多いのですが社員さんが超労働時間でランチ営業を実施しているパターン。

勤務時間:10時出勤~24時退勤。

こうなると24日勤務だとすれば、残業が96時間になってきます。

そうなると固定残業が45時間だとすると、追加で残業代51時間が必要になって来ます。

これを正確に計上しても本当に人件費率は合っているのか。です。

ちなみにたくさん働くという事を否定している訳ではありません。

むしろ人生においてがむしゃらに働く期間はあった方が良いとは個人的に思いますし、実際えげつない働き方を自分自身もして来ました(笑)。

(今では言えないですが1年で休みは元旦だけ、平均睡眠3時間で4時間寝られたら幸せ、1週間家に帰らず風呂も入らず椅子を並べて寝る、等)

ただこんな働き方は個人の超絶な内発的動機付けがあった時だけの話ですよね。

それが義務になり風土になってしまうと、企業としての次の成長が止まってしまう訳です。

だからこそ、「善意の時間に金額をつけても本当に収益は合うの?」を見る必要があります。

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それは端材じゃないですよ

夜のロスだからお値打ち価格で良いんです。そんな事ないよ!という話ですね。

夜のロスはそっちの時間で創意工夫し、売上に変える努力をすべきな話であって、ランチに自由気ままに使って良い訳ではありません。

ここの管理が杜撰になるとランチが万が一伸びると、そのためだけに追加の仕入れが必要となり、原価率が異常値になってしまう。

こんなケースも本当にあるあるです。

ちゃんと「時間帯別収益」として最適となるビジネスモデルを組む。これが出来なければやっぱりダメですね。

あるあるな居酒屋のランチ営業

このような居酒屋のランチ多いですよね。オペレーション的には2オペです。

店が思っている収益

ランチを頑張れば半分くらいは残るから良いんじゃないか?という考え方ですね。

でも上記の視点で考えると、全く違う景色になってしまう訳です。

本当の収益

ちゃんと上記の売上を作れたとしてこのくらいの数字になってしまいます。ちなみに利益金額は1日:4,620円です。

これが1日35人の来店がなく下振れすると、一気に赤字に転落します。

上記のコストのうち人件費は固定費になるので、来店が27日の日販27,000円未満になると、やればやるだけ本来は赤字になる訳です。

これが「善意で成り立っている」事業であり、事業の発展や持続性がないという意味ですね。

それならば、夜だけで儲け切る方に知恵も努力もやった方が、そっちの方が発展や持続性があるという判断です──(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年5月6日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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