毎日清潔にして、身だしなみもバッチリ整えているのに、気になる男子から「クッサ!なんでこの女、トイレのニオイがするんだ…?」なんて思われたらショックですよね。実はこのトラブル、男性宅のトイレ芳香剤とあなたの愛用するフレグランスが“一致”したときに起こります。香水としても人気がある秋の香り「金木犀(キンモクセイ)」は特に危険ですが、石けん系や柑橘系など他の香りが原因になってしまうことも。この記事では、素敵な香りを“トイレ臭い”と感じてしまうしくみや、その錯覚をリセットする方法を、メルマガ『富田隆のお気楽心理学』の著者で心理学者の富田さんが分かりやすく解説します。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:キンモクセイ
キンモクセイといえば何の香り?年代によっても違う感じ方
散歩をしていると、金木犀(キンモクセイ)の香りを嗅ぐことが多くなりました。
この香りが嫌いだという人は少ないと思いますが、この香りを嗅ぐとトイレを思い出してしまうという人も少なくないと思います。
なぜかその昔、金木犀の香りを使っているトイレの「芳香剤」が多かったのです。
メーカー側の「推し」もあったのかもしれませんが、この香りを選ぶ消費者も少なくなかったのでしょう。
この、「皆に愛された」ということが仇になってしまいました。
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一時期は、どこの家庭にお邪魔しても、トイレからは金木犀の香りが漂ってきたものです。それも、秋だけでなく1年中、この香りを嗅ぐはめになったのです。
その結果、多くの国民において、「レスポンデント条件付け」(またの名を「古典的条件付け」あるいは「条件反射」あるいは「パブロフ条件付け」)が成立してしまったのです。
つまり、トイレに入るたびに金木犀の香りを嗅ぐはめになった多くの国民は、本来はトイレとは無関係であった金木犀の香りから、トイレを連想するように条件付けられてしまったのです。
これには、ベルの音を聞くとよだれを垂らすように条件づけられた「パブロフの犬」と同じ原理が働いています。
しかも、この条件付けは強力で、秋になって「本物の」金木犀の香りを嗅いでも、ついついトイレを思い出すという人が続出し、その効果たるや何年にも及んだのです。
「香りの多様化」で、キンモクセイ以外のトイレ芳香剤と“かぶる”可能性も
かく言う私も、レスポンデント条件付けの呪縛から解放されたのは、ほんの数年前のことです。
お陰様で、今年になって金木犀の香りを嗅いでも、トイレを連想することはありません。
清々しい秋風や、鱗雲の浮かぶ青空、十五夜のお月様、といった秋の風物を連想するようになったのです。(やれやれ)
そして、これほど強力なレスポンデント条件付けが「消去(条件づけられた刺激と反応の関係が消え去ること)」されるに至った原因の中で最も有力なのは、「トイレで金木犀の芳香剤を嗅がなくなった」ことにあると考えられるのです。
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思い出してください。最近、トイレで金木犀の香りを嗅いだことがありますか?
おそらく、無いと思います。
もちろん、トイレに芳香剤が置かれなくなったわけではありません。香りが「多様化」したのです。
石けん、柑橘、フローラル。トイレ芳香剤で終わる恋もある
現在、トイレで使われている芳香剤は、清潔感のある「石けん系」「白檀系」「柑橘系」、華やかな「フローラル系」、爽やかな「シトラス系」「ミント系」「ラベンダー系」、と多岐に渡っています。
その結果、特定の香りとトイレの間に条件付けが成立しにくくなったのです。
ようやく、金木犀の香りは、本来の秋の風物詩へと戻ることができました。
とは言うものの、ご自宅で、特定のトイレの芳香剤だけを使い続けておりますと、かつて金木犀の香りで起きたことと同じ現象が起こってしまいます。
ご愛用の芳香剤の香りとトイレの間に、レスポンデント条件付けが成立してしまうのです。
その香りが、たまたま最愛の人が愛用するオーデコロンの香りと同じだったりすると、それは悲劇の原因ともなりかねません。
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だって、その人と会って話しているだけで、なぜかトイレを思い出してしまうのですから……。
まあ、受け止め方ひとつで悲劇も喜劇になります。
最愛の人からトイレを連想する。考えようによっては、それはそれで、ちょっとヘンタイっぽくって面白いかもしれません。
(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』10月8日配信号より一部抜粋。他のコンテンツもお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)