企業が依頼者の場合「社員を調べる依頼」が多い探偵という職業。今回のメルマガ『探偵の視点』では現役探偵の後藤啓佑さんが、社員の行動調査の方法やそこで得られる情報について詳しく語っています。
社員の「行動調査」で得られること
探偵と言うと‘’浮気調査‘’ですが法人が依頼者の場合で、例えば「社員を調べる」という場合には基本的にその社員の‘’行動‘’を調査することになります。横領でも、背任でも、基本は対象人物の行動を追っていく。
では、この‘’行動調査‘’で得られるものは? 大きく分けて3つです。
(1)対象人物の生活状況
(2)対象人物の立ち寄り先
(3)対象人物が接触する人物についての素性
(1)対象人物の生活状況
まずは対象人物の住んでいるマンションや一軒家の様子を見ます。家族構成から建物の価値や家賃、ゴミ出しの感じまで、収集できる情報は多岐に渡ります。それらの情報からは、主に経済的な状況が把握できたりすることも。数日張り込めば、同居人が働いているのかどうかや近所付き合いまで確認できるので、経済状況はもちろん、人となりも拾えたりします。
(2)対象人物の立ち寄り先
行動調査の核となる部分です。対象人物がどこへ行ったのかを全てチェックしていく作業です。
仕事であれば、訪問先はどこなのか。プライベートであれば、どういうレストランに行くのか。勤務後にスーパーで買い物? パチンコ屋? などなど。立ち寄り先を判明させること自体が調査の目的となる調査もあります。
例えば、取引先からバックをもらっている可能性がある対象人物であれば、予定外の取引先訪問がかなり怪しいですよね。
サボり調査であれば、勤務時間中にパチンコ屋に行くのは絶対に把握したい部分。
婚前調査であれば、キャバクラ通いなどは欲しい情報でしょう。
とにかく尾行し、立ち寄り先を判明させる。調査の核ですね。
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(3)対象人物が接触する人物についての素性
対象人物が誰と会うのか? これもまた非常に重要な項目です。
ここには、探偵にしかできない要素が潜んでいます。例えば、対象人物がある男性とカフェで接触したとしましょう。では、この男性が何者なのか?
パッと見てわかることは稀。探偵に求められるのは、この接触人物が何者なのかを判明させることです。
探偵が次に取らなければならない行動は、この男性の尾行、つまり、調査対象者の切り替えです。今まで尾行してきた対象人物ではなく、この男性にターゲットを切り替える。
尾行していき、彼がどこに帰るのか。わかりやすい会社ならすぐに判明できますが、帰宅されたら? そして、その移動方法も事前情報が無いので、臨機応変に尾行していかなければなりません。急に尾行の難易度があがるんです。
もし帰宅された場合は、彼が何者かを探り直します。生活状況の調査を行い、日を変え、勤務先を割り出す調査を行う。だいたいは、このくらいまでやると様々な情報を得ることができます。そして‘’何故彼に会ったのか‘’を行動調査の結果から仮説を立てていく。これは推理ですね。「接触人物を洗う」これは行動調査において非常に重要なフェーズです。
本日は行動調査で得られること、中でも3つに分類したものをお伝えしました。意外と深いところまで把握できると感じて頂けたのではないでしょうか?
最後の推理は、探偵っぽいですよね!
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