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2025年7月5日に起こる大事象は「予言の自己成就」か「予言の自殺」か?人間の思考が未来を書き換える不思議なメカニズム

2025年7月5日に破滅的事象が発生する」との不気味な予言が今、日本中を駆け巡っている。漫画『私が見た未来』(たつき諒)が嚆矢とも言われるが、複数の予言者や占い師、スピリチュアル関係者が口を揃えて「2025年7月」を危険視しているのは事実だ。そこで私たちが知っておきたいのは、未来は人間の思考が決めるということ。「予言の自己成就」と「予言の自殺」について、心理学者の富田隆教授(駒沢女子大)がわかりやすく解説する。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:予言の無効化

巨大地震?破局噴火?小惑星落下!? 2025年7月5日のカタストロフ予言

プチ新年会続きで、松が取れても「おとそ気分」が抜けない私ですが、あなた様におかれましては、どのようなお正月を過ごされましたか?正月早々、というよりも昨年あたりからずっと、ネット上には物騒な「予言」が飛び交っています。

2025年の7月5日に、巨大隕石(小惑星)がフィリピン沖に落下して、日本は巨大津波に襲われる」とか、毎度お馴染みの「南海トラフ地震に連動して〇月○日に富士山が噴火する」といったカタストロフ(大惨事)的な災害に関するものが人気?を博しています。

中には、「日本が沈没する」といった、昔見たSF映画のような予言まであります。

【関連】2025年7月5日4時18分。東日本大震災を予言した漫画家の著作『私が見た未来 完全版』に書かれていること

一方、社会経済モノとしては「〇月〇日にニューヨーク株が大暴落し、世界の市場は大恐慌にみまわれる」、あるいは「米国時間の1月20日(日本時間で21日)、大統領就任式当日にトランプ氏が暗殺され、米国は内乱状態に陥る」、さらには「ビ〇・ゲ〇ツ氏やフ〇ウ〇博士が鳥インフルエンザのウイルスをばら撒き、再度のパンデミックを引き起こす」といった陰謀論めいた噂まで広まっています。

心理学的に見れば、こうした噂や予言が拡がるのは、人々が「不安」を抱えているからです。

個人の抱える不安は、健康に関するものであったり、経済的な問題から生じるものであったり、多種多様ですが、その原因が何であれ、多くの人々が不安を抱えながらこの時代を生きているのです。

予言が注目される社会は「不安な社会」

人間は「知的な生き物」なので、自分が内心抱えている不安の「理由」を外部世界の現象に求めようとします。

そして、自分が抱えている不安の感情をうまく「説明」してくれる何らかの「情報」を見つけると「納得」し、その情報を信じてしまいます。

たとえば、買い物の度にインフレによる商品の値上がりを実感し、「この先どうなるのだろう」と将来への不安を抱えている人がいるとします。

この場合、不安の主たる原因は経済問題なのですが、その他にも社会環境や自身の体調などから様々なネガティブな刺激を受けていると、それらが絡み合って相互作用を起こし、いつの間にか、そうした不安は「何が原因か分からない」漠然とした「汎化された不安」に成長してしまうのです。

そんな人が、「○月○日に○○県を中心にしたM9.2の大地震が襲う」といった予言を目にすると、「私が最近抱えている不安はこの大地震への『予感』なのかもしれない」と妙に納得してしまうのです。

少なくとも、不安を抱えていない人に比べれば、そうした「カタストロフ的予言」を信じやすくなっているはずです。

【関連】2025年2月9日。福音派予言者ビックスが警告する巨大地震・津波の「前兆」…シンクロするビジョンは何を意味するのか?

人々が強く信じることで現実化する「予言の自己成就」

このように、いったん、その情報を信頼して受け入れれば、人はそれを親しい家族や仲間と「共有」しようとしますから、情報は次々に「拡散」され、多くの人が信ずる「噂」となって、世の中に影響を与えるレベルにまで膨れ上がります。

オカルト的な根拠の有無にかかわらず、こうしたカタストロフ的な予言を多くの人が信ずることにより、結果的に、世の中に災厄が生じてしまうことがあります。

これを「予言の自己成就(じこじょうじゅ)」と呼びます。

たとえば、「大手の○○銀行が潰れる」というもっともらしい予言?があったとします。最初は「まさか・・・」「そんなバカな」と噂を信じなかった〇〇銀行の預金者たちも、ネットなどに「経営危機」の噂が流れ、周囲の人間からも「これこれの理由であの銀行は危ないそうだ」「来月あたりに何かあるのでは?」といった話を聞かされるようになると、だんだん不安になってしまいます。

そして、実際に親戚のオジサンが○○銀行の預金を別の銀行に移したことをきっかけに、その人は慌てて預金を引き上げてしまいます。

こうした反応が次々に起これば、銀行側の対応も追い付かなくなり、そうした情報が拡散されると預金者たちはパニックに陥ります。

そして、我先にと人々は銀行に押しかけるのです。いわゆる「取り付け騒ぎ」です。実際、こうした「取り付け騒ぎ」が原因になり倒産した銀行もありました。

たとえ経営危機の情報がまったく根拠のない無責任な噂であったとしても、それが実際の銀行倒産という悲劇的な現実を招来してしまうことがあるのです。これが「予言の自己成就」です。皆が信じたことで予言が現実化するのです。

人々が力を合わせて未来を書き換える「予言の自殺」

もう一方では、逆のケース、「予言の自殺」というものもあります。

つまり、皆がその「不吉な予言」を避けようとして行動し、力を合わせて社会的な対抗策を講じることにより、予言の実現が阻止されるという場合がそれです。

1970年5月のことです。東京都新宿区牛込柳町において民間団体の実施した集団検診により、多数の者が「鉛中毒」と診断されました。これが新聞等で報道され、大きな社会問題になりました。

自動車排気ガスに含まれる鉛が大気汚染を引き起こした結果ではないかと多くの人が考えました。

その後の精密な検査の結果、「鉛中毒」と呼べるレベルに達している住民はいなかったものの、血中・尿中鉛濃度とも、大気汚染程度の激しい地域の住民ほどその値は高いということがわかりました。

これは人体が大気中の鉛に汚染されていることを強く示唆する結果だったのです。

当時のガソリンには「オクタン価(ガソリンのアンチノック性、つまりノッキングを起こしにくい性質を表す指標)」を高めるために、鉛が混入されていました。この鉛がエンジンからの排気ガスとして街中に放出されていたのです。

このままでは、東京などの大都市に暮らす人々は皆『鉛中毒』になってしまう」こうした「予言」、というよりも「危機意識」が急速に拡散し、国民が共有するところとなりました。

国民の声は政府を動かし、産業界も「公害撲滅」に立ち上がり、具体策と法律の整備が進みました。1975年にはレギュラーガソリンが無鉛化され、いわゆる「ハイオク」のプレミアムガソリンについても実質的に無鉛となったのです。

その背景には、トヨタやホンダなどの自動車製造各社が、無鉛化されたガソリンでもノッキングを起こさない燃焼効率の良いエンジンの改良に取り組む努力を重ねたということがあります。

さらに、自動車排気ガスの滞留を減らすために、道路渋滞の解消を図る地道な努力もその後半世紀に渡って続けられた、ということも付け加えておくべきでしょう。

これは見事な「予言の自殺」の好例と言えるでしょう。そしてこれは『地上の星』で取り上げてもおかしくない、なかなかの美談だと思います。

このように、社会的動物である人間は、「回避可能」な社会的問題なら、何とか力を合わせて対処することもできるのです。

あなたの「祈り」や「念」は通じる

ただ、そうは言っても、冒頭の「小惑星衝突」や「南海トラフ大地震」といったレベルのカタストロフ的災害を前にすると、さしもの人類も無力感にさいなまれてしまいます。

現在の私たちの科学力では「回避」することが難しそうだからです。

しかし、最後の最後まで諦めることは禁物です。たとえ、自分自身には、こうした災厄に対処する力が無かったとしても、諦めてはいけないと思うのです。

そういう困難な状況でも、私たちは不吉な予言を無効化するように「祈る」ことはできるのです。「祈る」という言葉が苦手なら、「願をかける」でも「念を送る」でも構いません。

とにかく、忌まわしい予言を知ったなら、それが実現しないように、「祈り」あるいは「願」をかけ、「念」を送ろうではありませんか。

「2025年7月5日」なんぞ、クソ食らえです。そんな予言は祈り倒して、皆で希望に溢れる7月6日を迎えましょう。

物理学者のデヴィッド・ボーム(David Joseph Bohm 1917 – 1992)やマイケル・タルボット(Michael Talbot 1953 – 1992)の言う「ホログラフィック宇宙論」の視点に立てば、私たちの「意識」は物理的現象をも変えることができるのです。

つまり、「祈り」や「念」は通じるのです。なぜなら、私たちが住むこの広大な宇宙も、私やあなたという個々の意識も、実は同じホログラフィックな「構造」を共有しているのであり、物理的現実の背後にある高次な次元の情報に意識がアクセスできれば、物理的現実を変えることも可能だからです。

まあ、詳細は別の機会に譲りますが、要するに、個人的なレベルにおいても「祈り」や「念」が物理的現実を変える可能性があるのですから、これが集団的レベルで協働すれば、さらに大きな力を発揮するはずだ、というお話です。

つまり、一見不可避に見える「カタストロフ的予言」さえも、あっさり無効化し得るということです。古来より伝わる「加持祈祷(かじきとう)」の類(たぐい)をバカにしてはいけません。

【関連】トランプ氏が「新型コロナ生物兵器説」を陰謀論から真実に格上げする日。ケネディ厚生長官がファウチ博士の“犯罪”徹底追及か

(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』2025年1月8日配信号「予言の無効化」より抜粋。この号の他の記事(「感情の問題」 「イリンクス」 「喧騒を越えて」)もお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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image by: Bignai / Shutterstock.com

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