トランプ氏とセットで用いられることが多い「ポスト・トゥルース(Post-truth)」という言葉。客観的な事実ではなく個人の感情や信念によって世論が形成される社会状況を批判的に捉えた概念で、陰謀論の温床ともされている。だがもし仮に、これまで陰謀論と言われてきたものが“真実”に格上げされたとしたら?トランプ氏が大統領に就任する来年早々にも、私たちは世界が根底からくつがえる瞬間を目撃するかもしれない。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:生物兵器
「新型コロナ生物兵器説」が陰謀論から“真実”に格上げ!?
あの「新型コロナウイルス」が実は「生物兵器」だったという説があるのをご存知ですか?
日本では「そんなのはド陰謀論だ」と一笑に付されてしまいます。
ところが世界、特にアメリカではちょっと事情が違います。
日本で想像する以上に、「新型コロナウイルス生物兵器説」を信じている欧米人は多いのです。
米国の大統領選挙は、トランプ氏の圧勝で終わりました。
トランプ氏を熱狂的に支持する民衆が膨れ上がった背景には、主流メディアの報道していることに疑問を持つ人々が増えた、という社会現象があるのです。
それはまた同時に、バイデン大統領の民主党政権にとどまらず、これまで米国を支配してきた「既存の権威や権力に対する不信感」を持つ人々が増えたということでもあるのです。
こうした民衆の多くが、「あの新型コロナウイルスは人工的に造られた『生物兵器』かもしれない」という疑念を抱いたとしても不思議はありません。

トランプ新政権で厚生長官に就任する、ワクチン懐疑派のロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)。新型コロナ対策を指揮したCDCは彼の所管になる(画像出典:Gage Skidmore, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons | 引用・キャプションは編集部)
もちろん、「新型コロナウイルス生物兵器説」が、科学的に本当に正しいのか間違っているのかは、さらなる冷静な検証が必要だろうと思います。
しかし、これまでの世論誘導の過程を振り返ると、万人が納得できるような科学的な議論というよりも、疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)といった「権威的機関」が生物兵器(つまり人工的に作られたウイルス)の可能性を否定したから、といった「権威による説得」が中心だったのです。
その挙句、一旦、こうした権威的機関の「お墨付き」が出ると、主流メディアだけではなく、SNSなどにおいても大々的な「検閲」が実施され、生物兵器ではないかという疑念を持つ者への口封じが行われました。
明らかに、世論がひとつの方向に誘導されようとしていたのです。