2018年以来となる「日中与党交流協議会」をはじめ、中国との関係改善を進める石破首相。しかしながらこの動きを懸念する声も多々上がっているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、石破政権の「親中外交」の数々と、それらについて台湾メディアがどのように伝えているかを紹介。さらに石破首相の台湾問題を巡る発言について、日中両国の政府機関の発表が食い違いを見せている事情を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【台湾】台湾でも警戒され始めた石破総理の親中姿勢
台湾メディアも警戒。媚中の石破首相には守れぬ日本の安全
台湾のメディアも、石破茂政権の親中外交を懸念する報道を行いました。
1月14日、自民、公明両党の幹事長が北京を訪問、6年3ヶ月ぶりに「日中与党交流協議会」が開催されましたが、これについて台湾の「自由時報」は同日、「石破茂政権の親中外交政策は、日本の学者や自民党の保守派に、日本の過剰な妥協が危険な状況を招くという懸念を抱かせている」と報じました。
同紙は、トランプ氏のアメリカ大統領復帰が間近に迫り、中国の対日けん制はますます明白になっているなか、石破政権はトランプ氏の就任前に米新政権との意思疎通の機会を得られないばかりか、日本製鉄によるUSスチール買収をめぐってバイデン政権による掣肘で躓いていると指摘。中国偏重の石破政権の姿勢が日米関係に影響を与えかねないとしています。
さらには、石破政権の最近の外交的動きが韓国と中国に集中し、先月(12月)に訪中したばかりの岩屋毅外相は1月13日に訪韓し、自民党の森山裕、公明党の西田実仁の連立与党両代表も、7年ぶりに「日中与党交流協議会」を再開するために代表団を率いて北京を訪れ、それぞれ中国の王毅外相、王滬寧・中国人民政治協商会議(政協)全国委員長と会談したことを報じました。
一方、中国人民解放軍東部戦区の代表団が1月13日に来日、14日に国防省を訪問し、5年ぶりに日中両軍の交流を再開しています。中国代表団は17日まで滞在する予定で、その間、自衛隊員とも交流する予定です。東部戦域司令部は南京に本部を置き、東シナ海と台湾を管轄している部隊です。
親中派とされている日本政府の林芳正官房長官は、14日の定例記者会見で、司令官レベルの率直なコミュニケーションを通じて、相互理解と信頼を促進し、日中間の建設的で安定した関係を築くだけでなく、地域の平和と安定にも貢献できると述べました。
また、日本の衛藤拓農林水産大臣は、1月15日から17日まで中国を訪問すると発表し、中国の韓俊農業農村部部長らと会談し、日本の水産物の対中輸出再開などについて協議するなど、政権中枢が次々と中国要人と会談する予定を発表しています。
このように、石破政権の外交政策は中国と韓国に偏っており、台湾紙「自由時報」は、このことが学者や自民党保守派の懸念を呼んでいると指摘しています。
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外務省のウェブサイトから削除された石破首相の発言
元自民党政調会長の萩生田光一氏は数日前、岩屋氏が訪中した後、党内の議論手続きを経ずに、中国人観光客のビザなし措置を大幅に緩和すると発表したことについて、「これは大きな問題だ」と批判したことを紹介。
中国人向けビザ要件の緩和は、2024年12月25日、北京で開かれた「ハイレベル人的・文化交流対話」で岩屋氏が表明したものです。富裕層を念頭に10年間有効な観光ビザを新設するほか、観光で複数回使える数次ビザをとれば3年間自由に渡航できるようにするというもの。
● 中国向けビザ発給緩和、日中交流の拡大狙う 歩み寄りにじむ外相会談
しかもこうしたビザ要件緩和は、自民党内での議論手続きを経ずに、岩屋氏の独断で決定されたということで、自民党の萩生田元政務調査会長は1月10日、動画配信サイトの番組「櫻LIVE」で「ビザの拡大は大きな問題だ。党の外交部会などに全くかけず、約束をしてきてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」と批判していました。
加えて萩生田氏は、「外交の基軸は日米だ。アメリカの外交政策が見えない時に、慌てて中国や無政府状態に近い韓国にわざわざ行く時間があれば、外務大臣は東南アジアに行ったほうがいい」と述べ、外交姿勢に苦言を呈していました。
筑波大学名誉教授の遠藤誉氏によれば、石破首相は昨年10月10日、ラオスのビエンチャンで李強首相と会談しましたが、その際の台湾問題に関する発言について、中国外交部の公式発表では、「石破首相は『日本は日中共同声明で定められた立場を堅持する』と明言した上で、『中国とともに(アメリカの)挑発に対応する』と述べた」とされ、そのことは、中国外交部のウェブサイトにも記されてあるとのことです。
ところが、日本の外務省の発表では、「台湾については、最近の軍事情勢を含む動向を中止している旨伝えつつ、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとって極めて需要である旨改めて強調した」と書いてあるだけで、「日中共同声明で定められた立場を堅持する」も「中国とともに挑発に対応する」という文言もまったくありません。
● 日中首脳会談
遠藤誉氏によれば、石破首相が「日中共同声明で定められた立場を堅持する」「中国とともに挑発に対応する」と発言したことは、おそらく事実であろうが、それを日本の外務省のウェブサイトから削除させたのは、岩屋外務大臣ではないかと推論しています。
さらに遠藤氏は、もしかすると中国側は石破首相周辺に水面下で「もし李強首相と会談したいのなら、中国側に利する発言を会談においてすること」という要求を行い、実際にそのような発言を行わせたことを中国外交部のホームページで強調する一方、日本側は岩屋外務大臣がその事実を隠蔽し、あたかも「日本はあくまでもアメリカと台湾の側に立っている」ということを強調したのではないか、という疑念を示しています。
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理由は明白。自衛官からまったく人気のない石破首相
石破氏といえば、保守派からすると、安倍晋三元首相が主張する「台湾有事は日本有事」を事実上否定し、中国に傾斜する「親中派」として見られています。
加えて、2008年2月、石破氏が防衛大臣のときに、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が千葉県野島崎沖でマグロはえ縄漁船「清徳丸」と衝突、漁師父子が死亡する事件が起こりましたが、このとき、事件の原因がどちらにあるのかがまだはっきりしていない状況で、石破氏は遺族の方のところへ行って謝罪してしまったのです。もちろん艦長、海幕長も謝罪に行かせました。
その時の様子は、当時、統合幕僚長だった河野克俊氏が文春のインタビューで赤裸々に語っています。
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また石破氏は、事件から間もない段階で、海上幕僚長を含めて88人を処分してしまいました。5年後、刑事事件であたご側は無罪となりましたが、早々に部下を断罪し、処断してしまった石破氏は、自衛官から非常に人気がないと言われています。
いずれにせよ、日本をいかに守るかという点について、非常に不安な石破総理であり、その国家間、あるいはアジアの平和構想などについて、台湾からも大きな懸念が示され始めたといっていいでしょう。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2025年1月15日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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