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tokyo, japan - april 04 2020: Aqua City shopping centers on the island of Odaiba with the building of the Japanese television channel Fuji TV famous for its Hachitama observation area in spring.

フジテレビ港社長の命運とフジメディアHD「株価急騰」の着地点は?運命の6月に向け狙われる不動産群…ホリエモンに期待の声も

中居正広のスキャンダルとその後の記者会見によって、すっかり「社会悪」のイメージが定着してしまったフジテレビ。同社と港社長はどうなる?一方、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの株価は、港社長の会見と前後して急騰。その理由は?人気コンサルタントの吉田繁治さんが詳しく分析します。(メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2025年1月22日号より一部抜粋、再構成)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです

「社会悪」となったフジテレビのスキャンダルはこれからが本番

フジテレビ(従業員数6000人)の組織的関与が疑われるスキャンダルが、とうとう局そのものを潰しかねないところまできました。

テレビの売上収入はスポンサーの広告費です。大手スポンサーのトヨタ、日本生命、明治安田生命、NTT、アフラック(保険)を筆頭に、1月21日までに50社以上が相次いでスポンサーを降りることを表明しました。

中居正広氏の問題よりも重いのは、あらかじめ取材を制限し、一方的に言葉を発するだけで、質問には何も答えない港浩一社長の会見です。これが、日枝-港体制のフジテレビが持つ「隠蔽体質」をあからさまに示した。約50回にのぼる回答拒否は、疑いを晴らすどころか、社長まで含む組織的なスキャンダルへの関与を示唆するものでした。

このスキャンダルを取り上げる理由は、わが国のテレビメディアに共通の問題だからです。“映像のない社長会見”のひどさに、スポンサーは即刻フジを離れました。フジの組織内部からも、隠蔽体質を露呈した会見を糾弾する声があがっています。ですが、テレビを特例的、特権的な世界と考え、何をやっても社会から許されると考えているふしがあるフジ幹部には、この問題の認識ができていないように思えます。

元SMAPのタレント、中居正広氏のスキャンダルが世間に知られる過程で、フジテレビには反社組織に共通する「社会悪」のイメージがつきました。「事件」の真相はまだ闇のなかですが、株主総会がある6月よりも前に明らかになるでしょう。経営者が恐れるのは株主総会の質疑です。スポンサー契約が更新される4月番組改編で、テレビ事業の危機が露呈します。

撤退ラッシュは、約4000億円(1日あたり11億円=テレビ局の売上)の広告料を払っていたスポンサー企業の過半以上に広がるでしょう。テレビ局は特定のスポンサーに、新聞は全国の購読世帯に情報を買ってもらう事業です。新聞購読者より5桁も少ない数のスポンサーに依存する事業構造ですから、いったん離れると速い。

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それでも「放送免許はく奪」はない。背景に総務省の天下り

一方で、放送免許はたぶん残るでしょう。フジテレビは電波帯(国民の共有資産)を総務省を通じて借りる立場ですが、フジテレビには総務省からの天下りが多数います。総務省とテレビ局は癒着しています。この問題は総務省を抜きには語れません。

どの業界でも官僚は監督すべき業界に天下っています。正常な神経では許されないことですが、官庁からの年間の天下り総数は3600人です。たとえば財務省・金融庁は銀行に天下りします。文科省は補助金を渡す学校法人、経産省は大手企業、厚労省は製薬と医療法人です。

官庁は、天下りのために予算と権限の拡大を求めます。日本の行政の根本にある問題です。補助金や業界への立法、それに企業に生じた問題を握り潰すための相談窓口と監督官庁へのパイプ役が、天下り官僚の役割です。

PBR0.41倍。一等地の優良不動産を手に入れるのは誰か?

フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスは、テレビメディアに関心をもつ投資主体に買収され、経営権を譲渡することになるでしょう(筆者の認識ではほぼ確定的)。

急落していたフジ・メディアHDの株価が、港社長の不首尾な会見があった1月17日から上がったのは買収期待によるものです。過去にフジテレビ買収を試みたホリエモンの名前も浮上するなど注目を集めています。

フジ・メディアHDの時価総額は3959億円、株価/純資産倍率(PBR)は0.41倍と低く(1月17日終値時点)、株価の約2.5倍の純資産(その多くは不動産)を持っているため、「フジテレビは安い買い物」です。同社が一等地に所有する不動産を時価の約1/2の価格で買うことと同じになります。

フジにかぎらず、テレビメディアのPBRは軒並み低い。TBSはフジ並みの0.51倍。テレビ朝日が0.44倍、日本テレビが0.41倍、テレビ東京でやっと0.91倍です。いずれも解散価値を下回っています。視聴数が減り、テレビ広告費が減少傾向にある中、どのテレビ局も放送事業は低迷が続いています。

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「新聞・テレビ時代」の終焉

新聞やテレビは長年、「社会正義」の味方のように装って「大きな顔」をしてきました。「自分は国民をバックにしている」という自負がある新聞記者やテレビ報道記者の、尊大な態度にそれが現れています。

「メディア権力」をもつ編成部、編集部やプロデューサーは「番組に出させてやる」という姿勢なのです。全盛期ほどの勢いはなく衰えつつあると言っても、彼らの番組や記事は国民に対してまだ「ブランド価値」を持っているからです。

「〇〇テレビです」「〇〇新聞です」と自己紹介すれば、たぶん70%の人は信用し、突然の取材にも応じるのが現状でしょう。当方は組織ではなく個人として人を見ることを習慣にしているからか、記者たちがかぶっている衣装の裏側、組織の権威や権力を利用する体質がよく見えます。

東京の有名大学の文系学生の間では、いまだに「報酬が高くブランド価値があるマスメディア」への就職人気が高い。しかし2024年、25年、26年は、20世紀以降の近代社会が行き詰まり、「時代適合」できない組織が崩壊していく時期です。政治、政党、メディア、金融、企業を巻き込んで、大きな転換点となるでしょう――(『ビジネス知識源プレミアム』2025年1月22日号より一部抜粋、再構成。続きはメルマガをご購読ください。初月無料です)

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   <Vol.1504:自爆するメディアと転換する世界の政治>
        2025年1月22日:有料版
【目次】
■ 1.アルゼンチンのミレイ大統領の改革(日本では報道がありません)
■ 2.社会主義銀行は、最後に国家を破壊する
■ 3.トランプ政策の骨子
■ 4.輸入関税の2倍、3倍への上げ
■ 5.シェールオイルの増産
■ 6.2025年の消費者物価(CPI)の上昇の要素になる
■ 7.国債の価格と金利の原理
■ 8.トランプが肯定した暗号通貨ラリー
■ 9.ICO型暗号通貨の価値の根拠
■ 10.移民の強制送還
■ 11.2025年の物価と金利
■ 12.米国の金利に追従する日本の金利
■ 13.米国債36兆ドルの償還が10兆ドル:利払いが1兆ドル
■ 14.2025年、26年の米国政府資金繰りへの推計
【後記:大統領令】

image by: kuremo / Shutterstock.com

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【著者】 吉田繁治 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

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