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ついに「中高生で構成のトクリュウ」が出現の異常事態。毛沢東を真似た犯罪グループの悪質な手口

SNSを通じて面識のない者同士が犯罪に関わり、終われば解散するのを繰り返している新しい犯罪グループ「匿名・流動型犯罪グループ」通称トクリュウ。そうしたグループの中には「中高生だけで構成」されているものも出現しているそうです。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、著者でジャーナリストの多田文明さんが、この衝撃的な事実を解説しながら、企業を狙う犯罪グループの手口についても紹介しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:12日の合同結婚式からみえること 東京地裁の旧統一教会への解散命令の決定は信教の自由を守った!中高生で構成されるトクリュウが出現 企業を狙う詐欺

中高生で構成されるトクリュウが出現

SNSを通じてつながった面識もない人たちが、犯罪グループを作る。実行犯らが逮捕されたり、犯罪の目的が完遂されれば離散して、また新たなグループを作り、犯罪収益を得ようとする。こうしたトクリュウと呼ばれる「匿名・流動型犯罪グループ」の存在は社会を脅かしています。

犯罪行為は、特殊詐欺や強盗、空き巣だけでなく、悪質ホストクラブで高額な売掛金を負わせられた女性らを全国の風俗店に紹介するなどの犯罪に及んでいます。しかも、日本の犯罪グループだけでなく、中国、ベトナム系の外国人犯罪グループもありますが、最近は中高生で形成されたトクリュウまで出てきています。

今年3月、他人のIDやパスワードを不正に入手して、楽天モバイルの通信回線を契約していた3人が不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺容疑で逮捕されました。この3人は、17歳が2人で、15歳が1人の少年です。

報道では、不正に取得した回線は通信アプリ「テレグラム」を使い「1件、80ドル」で売られており、その数は100件になるということですので、少なくとも8000ドル(約110万円)の利益をあげていたことになります。

その資金を使い、「荒らし共栄圏」を名乗り、ネット上で誹謗(ひぼう)中傷や企業への脅迫行為をしていたといいます。

しかも、毛沢東を真似たグループになっており、組織のトップは、17歳の無職の少年で「主席」を名乗り、他の2人は「政治局委員」の役職が与えられていました。

特殊詐欺もそうですが、役割分担をしながら、それぞれに責任を与えて犯行を効率よく実行して、犯罪収益を得ていきますが、まさにその内容を中高生のグループが行っていることに驚きを禁じ得ません。

またAIも使い犯罪行為をしており、今後は、コンピューターの知識のある未成年者たちによるトクリュウにも警戒を要する時代になってきています。

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手口を変えて、個人だけでなく企業を狙う犯罪グループ

個人情報を抜き取ろうとする、企業などをかたったフィッシング詐欺のメールが、皆さんのところにも数多く届いていると思います。

一方で「2時間後に電話が止まります」といった自動音声ガイダンスの電話がかかってきて詐欺も深刻な状況になっています。この場合、電話は個人宅にかかってきて、警察をかたる人物が「あなたにはマネーロンダリングの容疑がかかっている」とあらぬ言いがかりをつけながら、だますわけですが、今、この音声ガイダンスとフィッシング詐欺の手口は企業に向けられてきています。

詐欺グループとしては、お金をもっている者が人であろうと、企業であろうとどちらでも構わないので、この手を使ってきていると考えています。

山形市内に「企業向けネットバンキングについての契約者情報の更新が必要です」という、山形銀行のネットバンキングをかたる自動音声電話がかかってきています。

受話器のボタンを押すと、銀行員になりすましたオペレーターにつながり、相手方からメールアドレスを聞き出されて、銀行のURL(偽サイト)が送られてきます。これに契約者情報(ID・パスワード)などを入力すると、詐欺グループにより、お金が引き出されてしまいます。山形鉄道はこの手口で今年3月に1億円を超える被害に遭っています。

また、武蔵野銀行をかたっての「ボイスフィッシング」の被害も明らかになりました。インターネットヘルプデスクをかたる自動音声からの電話で「口座情報の更新がされていないため、口座を凍結しました」などといわれます。

受話器のボタンを押させて、そこに出てきた人物から、「ネットバンキングの暗証番号を変える必要がある」と説明され、ネットバンキングのIDやパスワードなどを聞き出されています。

この他にも、那覇の琉球銀行や徳島の阿波銀行をかたった電話がかかってきていると報道されており、全国で地方銀行をかたる電話がかかってきています。

詐欺グループは、「口座を凍結する」や「(銀行との)取引を停止する」などの文言を使って、情報を聞き出していると思われます。詐欺の手口は警戒心のないところを狙って罠を仕掛けますので、個人だけでなく、企業も注意をする必要があります。

(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2025年4月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上お楽しみください)

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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【著者】 多田文明 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 14日・28日

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