大手キャリアで相次ぐ値上げでユーザー離れが深刻化するなか、唯一“攻勢”を強めているのが楽天モバイル。1000万契約まであと少しというところですが、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、増加の裏側での大量の解約にも目を向け、今後の動きについて語っています。
楽天モバイル、1000万契約まであと「50万」。年内達成に欠かせない「絶対条件」とは
2025年11月13日、楽天グループが決算会見を開催。これで通信4キャリアが出そろった。先週、発表された3社に加え、楽天モバイルの状況も明らかになったが、結局、「ドコモひとり負け」に変わりはなかった。
この3ヶ月の純増数を見ると、NTTドコモが9.2万件の純減、KDDIが2.2万件の純増、ソフトバンクは10.8万件の純増、楽天モバイルが40.5万件の純増といった感じだ。ぶっちゃけていえば「値上げを発表しなかったキャリアの勝利」なのは間違いない。そのなかでも「楽天モバイルのひとり勝ち」といえそうだ。
安価なプランを求めて、NTTドコモやKDDIからワイモバイルや楽天モバイルに流れているのではないか。
楽天モバイルの決算資料は実に正直なので、見ているだけでいろいろと妄想が広がってくる。
楽天モバイルは純増数だけでなく、解約数もグラフで示してくれている。4キャリアのなかで、ここまで正直なグラフは楽天モバイルだけだ。
そのグラフを見るとMNO開通数は倍の80~90万件、達していそうなのだが、逆に解約数も40万件ほどあって、トータルで40.5万の純増に落ち着いている。
また、MNP純増数のグラフを見ると、他社からの転入数が40万件ほどありそうな一方、他社への転出も30万件といった感じで、差し引きすると9.5万件の純増といった具合だ。
楽天モバイルは「MNPユーザーは主にメイン回線の利用者であることから、解約率の逓減にも貢献」と書いている。ということはMNPによる転入ではない、単純新規の契約者はメイン回線でない可能性が高く、辞めやすいという可能性を秘めているとも言える。
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楽天モバイルの資料でちょっと気になったのが「最強U-NEXT」が「新サービス拡充によるARPU向上」という見出しだけで紹介されていた点だ。
本格的なサービス開始は10月1日ということで、決算の対象ではないが、せっかく始まった自慢のサービスなのだから、もうちょっと景気のいい話をしても良いのではないか。
9月のプレスカンファレンスでは「先行キャンペーンで10万件が利用した」とアピールしたのだから、その続報が聞きたかったのに。
通常、他社であれば、10月1日からサービスが始まり「決算の対象期間ではないが、直近ではこんなに契約が伸びている」とかの言及があるものだ。
三木谷浩史会長(AI)が「ARPUの向上に期待」とあまりにさらりと紹介しただけで、契約に関する発言がなかったことを考えると「もしかして、スベった?」と心配になってくる。
楽天モバイルとしては「年内に1000万件達成」と宣言している一方、11月7日現在で950万回線となっている。
あと50日ほどで50万回線を獲得しなければならない。ただ、MNO開通数自体は1日1万件ペースで増えているだけに、あとはいかに「解約数を減らすか」が目標達成の絶対条件と言えそうだ。
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