MAG2 NEWS MENU

なぜ日本人は世界一「眠らない」のか?我々は睡眠不足で20兆円を失っている

日本人の睡眠不足は、もはや個人の生活習慣の問題ではなく、社会構造そのものを映し出す課題として認識されつつあります。米国企業のCEOたちは、8時間睡眠を推奨すると口を揃えて語るなか、日本人はなぜこれほどまでに眠らないのでしょうか?今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者の河合薫さんが、睡眠という視点から日本社会のあり方を見つめ直しています。

眠れてますか?

今回は「睡眠」についてあれこれ考えてみます。

先日、日本人の睡眠不足がSNSで話題になりました。

3月13日は、世界睡眠学会が定める「世界睡眠デー」。もっと眠れ!!と専門家が警鐘を鳴らす中、「マジ、日本人寝てないじゃん!」と、さまざまな調査で明らかにされている「短時間睡眠国ニッポン」に関心が集まったのです。

例えば、米ミシガン大学の調査(“A global quantification of “normal” sleep schedules using smartphone data”)によると、日本人の平均睡眠時間は7時間24分で世界最短でした。世界一たくさん寝ていたのはオランダで8時間21分。

欧米は軒並み8時間前後です。

属性別には、日本の中年男性の睡眠時間がもっとも少なく、女性は男性より30分以上長く寝ていることもわかりました。

また、2021年に発表された経済協力開発機構(OECD)の平均睡眠時間の各国比較によると、先進国を中心にした世界33カ国のうち日本はもっとも短く、1日あたり7時間22分。

OECD加盟国の中で睡眠時間が一番長い米国で、日本人よりも1時間半も長い、8時間51分です。

日本人の睡眠時間が短い理由はあれこれ言われていますが、いずれも「働き方」に原因があるとする点は共通しています。

件のミシガン大学の研究チームは、「国ごとの社会的なプレッシャーによる影響が強く、体内時計の働きが弱まることで就寝が遅くなり、睡眠時間の減少につながる」とした上で、「日本人は労働時間が長い上に、通勤時間も長い。オフィスで過ごす時間も長く、世界一椅子に坐る時間が長い」など、数多の体内時計の働きを弱め、寝不足になる要因の存在を指摘しています。

私自身、以前、睡眠に関する調査を小規模なサンプルを対象に行い、「働き方」の影響を痛感しました。9割の人が「仕事のために寝る時間を削るのは仕方がない」との問いに、「はい」と回答したのです。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

初月無料で読む

日本人の睡眠時間が短い背景には、長年培われてきた「勤勉さ」への独特な価値観が影を落としています。一方、米国では、一流企業のCEOたちが「8時間睡眠こそが、質の高い意思決定と創造性を生むための最強の投資である」と発信を続けています。いわゆる「睡眠革命」です。

学校でも睡眠の大切さを教える授業があり、教育現場やビジネスの最前線で、睡眠不足はもはや「勤勉さ」ではなく「能力不足」や「自己管理の欠如」と見なされる時代へとシフトしています。

むろん欧米でもハイレベルマネジメントは、ハードワークです。

しかし、裁量権の有無によって、同じ長時間労働でも心身への影響、特にストレスや睡眠の質への影響は大きく異なります。ただし、仕事の責任や重圧が大きいことによる精神的ストレスは依然として大きく、寝つきの悪さ、途中の覚醒などが悪化するリスクは残る。だからこその「睡眠革命」なのです。

かたや日本では……。これ以上書くのはやめておきましょう。

その代わり、と言ってはなんですが、米RAND(ランド)研究所が16年にリリースした調査「Why sleep matters ─ the economic costs of insufficient sleep A cross-country comparative analysis(なぜ睡眠が重要なのか。睡眠不足による経済コストの国際比較分析)」 によれば、睡眠時間が6時間未満の日本にいる労働者が7~9時間の睡眠時間をとるようになれば、1380億ドル(約20兆円)の経済損失を防げると警告したことを加えておきますね。

春眠暁を覚えず。たくさん寝ましょう!

みなさんのご意見、お聞かせください。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

河合 薫この著者の記事一覧

米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』 』

【著者】 河合 薫 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け