みなさんは何かを始める時、情報収集から始めていませんか?準備は必要ですが、情報収取をしすぎてしまうと思わぬ落とし穴が待っている場合もあります。「6つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」として知られる石川和男さんは自身のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の中で、情報収集を起点とする思考がなぜスピードを鈍らせるのか、そして成果を出す人が実践している行動について考察しています。
「情報収集」から始める人は、なぜ仕事が遅いのか?
3月は、1年のなかでも特別な空気が流れる季節です。
多くの企業にとっては、期末を迎え、来期の予算や体制を固めるタイミング。
人事異動や新規プロジェクトの準備が進み、街にはどこか「切り替わり」のムードが漂います。最近ではAI活用や業務効率化ツールの導入を4月の新年度から本格化させる企業も増えており、「とりあえず様子を見る」よりも「小さく試してみる」組織が一歩抜け出す傾向がより鮮明になっています。
そんな変化の季節だからこそ、あらためて大切にしたいのが「動きながら考える力」です。
何かを始めるとき、準備はもちろん重要です。
しかし、慎重になりすぎて準備ばかりに時間を費やしてしまうと結局スタートが切れません。
仕事が速い人は、完璧な準備を整えてから動くのではなく、動きながら問題点を見つけています。真の問題点は机上でどれだけ考えても見えてきません。実際に一歩踏み出してみて、初めて輪郭がはっきりするのです。
「初めての仕事」「クリエイティブな仕事」「難易度の高い仕事」。こうしたテーマに直面すると、不安が膨らみ、思考が止まってしまうことがあります。
失敗したらどうしよう、知識が足りないのではないか、もっと情報を集めてからのほうがいいのではないか。そう考えているうちに時間だけが過ぎていく。実はかつての私もそうでした。
税理士資格を取得し、いざ開業しようとしたときのことです。「法人税や相続税をもっと極めてからにしよう」「他の税法も専門学校の教材で復習しよう」「会計ソフトに備えてITの勉強もしておこう」と、準備項目ばかりが増えていきました。
しかし、あるとき気づいたのです。これは「万全を装った先延ばし」ではないか、と。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
思い切って開業してみると、心配の多くは杞憂でした。相続案件が殺到するわけでもなく、会計ソフトも初心者向けの設計で十分対応できました。
それよりも、実際にお客様と向き合うなかで見えてきた課題こそが、本当に磨くべきポイントでした。それらは、開業前にいくら考えても想像できなかったものばかりです。動いたからこそ、焦点が定まったのです。
ここで重要なのは、「やみくもに動く」ことではありません。「動きながら、試す」ことです。ざっくりで構いません。まず仮説を立てる。そして行動する。違うと感じたら、また別の仮説を立てて試す。
その過程で必要になった情報だけを集めていく。情報収集が先にあるのではなく、仮説と行動が先にあるのです。
自動車メーカーの創業者である本田宗一郎は、「人生は『見たり』『聞いたり』『試したり』の三つの知恵でまとまっているが、一番大切なのは『試したり』である」と語りました。
本田技研工業が世界企業へと成長した背景にも、膨大な「試す」の積み重ねがあったはずです。完璧な設計図を待つのではなく、走らせながら改良する。その姿勢が、結果としてスピードを生みます。
ビジネスは、限られた時間のなかで成果を出さなければなりません。
特に3月は、意思決定のスピードが来期を左右する時期です。新しい取り組みを「4月から本気でやる」のではなく、4月のうちに小さく試しておく。小さな実験を重ねておけば、スタートダッシュは格段に速くなります。
答えは、動いた先にあります。完璧な自信がつく日を待つ必要はありません。仮説を持ち、小さく試し、修正し、また試す。その循環を回し続ける人こそ、結果的に最短距離でゴールへたどり着きます。
この春、あなたが踏み出す一歩は何でしょうか。桜が咲く頃には景色が変わっているように、 行動を起こせば、見える景色は必ず変わります。準備に安心を求めるのではなく、行動のなかに 確信を育てる。3月という転換点を、ぜひ「動きながら考える力」を磨く時間にしていきましょう。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com