中東発の原油供給不安が長期化するなか、米国・日本・オーストラリアなど主要国が、原油を産出しない韓国に対して「石油製品の輸出を制限しないでほしい」と相次いで要請していることが明らかになりました。米国の航空燃料輸入の71%が韓国産という驚くべき事実も浮かび上がっています。なぜ石油の取れない韓国が、世界のエネルギー供給網の中心に立つことができたのでしょうか。今回のメルマガ『キムチパワー』では、その背景にある韓国精油産業の戦略と、日本との決定的な違いについて、わかりやすく解き明かしていきます。
“韓国産”石油が日本・米などから引っ張りだこ。主要国が相次いで韓国に異例の要請
中東発の原油供給不安が長期化する中、米国、日本など主要国が韓国政府に対し「石油製品の輸出統制」を弱めるよう相次いで要請していたことが確認された。原油を輸入して精製後に再輸出する韓国の精油産業が、グローバル燃料供給網の核心的な軸として位置づけられる中、韓国産石油製品の需給状況が各国のエネルギー安全保障と直結する状況に置かれている。
21日、政府関係者によると、日本政府は最近、韓国側に「軽油の輸出制限」を控えてほしいとの意見を伝えた。また米国は航空燃料、オーストラリアとニュージーランドはガソリンについて、それぞれ供給に支障が生じないよう協力を求めたことが分かった。韓国政府が原油確保の観点から「輸出制限の可能性」を示唆すると主要輸入国が先手を打った形だ。
こうした動きは韓国精油業界の供給影響力を端的に示している。米エネルギー情報局(EIA)とKOTRAによると、米国の航空燃料輸入のうち71%が韓国産であり、オーストラリアの精製燃料輸入市場でも韓国は74億ドル規模を供給する最大の輸出国だ。ニュージーランドも韓国に大きく依存している。
実際、昨年の韓国の石油製品輸出比率を見ると、オーストラリアが16.8%で最も大きく、次いでシンガポール13.6%、日本11.3%、米国10.2%の順だった。政府関係者は「今回の中東発危機を契機に、韓国精油産業のグローバルな地位を改めて確認した」と述べた。
エネルギーを外交カードに活用へ
政府は韓国精油産業のこうした「供給網における影響力」を外交的なレバレッジとして活用する案を積極的に検討している。石油製品の供給を担保に、オーストラリアやニュージーランドなど資源国から希土類や重要鉱物を確保する「エネルギー・鉱物スワップ」カードが代表的な案だ。
KOTRAによると、韓国の精油・石油化学企業は、オーストラリア北西大陸棚で生産される超軽質油であるコンデンセートを主要原料として活用してきた。また最近では、オーストラリア北西部イクシスガス田で生産されるコンデンセートも好まれる原料として定着しつつある。
韓国石油公社が今年2月に発表した統計によると、2026年1月の韓国のオーストラリア産コンデンセート輸入量は218万バレルで、前年同期比7%増加した。KOTRAは「韓国とオーストラリア間のエネルギー安全保障協力の流れを、供給網再編の機会として活用する必要がある」と分析した。【ここまで毎日経済 ナ・ヒョンジュン記者コラムベース】
原油なき韓国がなぜ輸出大国に?
この記事を読んでええっ?と不思議に思った方も多いに違いない。そういう筆者もまたそうだから。「なんで石油の取れない韓国が石油製品を輸出できるのか」と。まず間違えてならないのは原油を輸出するんじゃなくて「石油製品(加工された原油)」を輸出してるということ。
特別な”魔法の技術”があるというより、産業構造と設備規模の強さがものをいっている。1.超大型の製油所を集中配置していること。S-OILとか現代オイルバンク、SKエナジー、GSカルテックスといった巨大企業が世界最大級の製油所を(韓国の)沿岸に集中的に持っているのが特徴だ。→ 規模が大きいほどコストが下がり、輸出競争力が上がる。
2.これらの製油所は、原油の種類を選ばず加工できる柔軟性をもっている。重い原油を分解して価値の高い燃料に変える装置(高度化設備)があったり、コンデンセートのようなかなり軽い油(超軽質油)を加工できる技術がある。これによって安くて質の悪い原油でも仕入れて高品質の燃料に変えて売れるということで利益が出やすい。
3.韓国は国内需要がそこまで大きくない一方で、最初から、日本、オーストラリア、東南アジアなどへの輸出を前提に設備投資してきた。つまり「国内用の余りを輸出」ではなく「最初から輸出ビジネスとして作っている」。ここが日本との大きな違いだ。
4.さらに挙げれば中東(原油供給地)と「日本・中国・東南アジア(需要地)」のちょうど中間にあるゆえ、→ 輸送コスト的に有利。こういった点が韓国での石油製品の輸出を後押ししているわけだ。この傾向は当面(5年~10年)は続くだろうと見られている。
日本と韓国、戦略の決定的な違い
日本が沿岸に巨大製油所を作れなかったのかというとそうではなくて「国内だけで回そう」という戦略で出発しているためだ。一言で言えば日本は「まず自分の国で回す」、韓国は「最初から世界市場で稼ぐ」というスタンスの違いがあって現在こうなっているわけだ。勝ち負けを離れて非常に興味深い記事だ。
てもある。しかしだからといって、今の不甲斐ない国民の力が圧勝するということは万が一にもありえないと、メルマガ筆者は思う。勿論勝ってほしい。しかしあまりにもダラシナイ。
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