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米イラン覚書の衝撃。揺らぐ米国・イスラエル「特別な関係」が大転換へ

長年にわたり、中東政策における米国とイスラエルの関係は「特別な関係」と表現され、地域秩序を支える重要な軸の一つと見なされてきました。しかし、今回の米国・イラン間の覚書では、核開発問題だけでなく、レバノンを含む地域全体の軍事行動停止が主要な論点として盛り込まれている点が注目されています。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、NYタイムズの記事や米イラン覚書の内容を整理したうえで、レバノン問題の位置づけと米国・イスラエル関係への影響について考察しています。

米国・イスラエルの特別関係、終わりの始まり

米国とイランが覚書に調印しました。

注目された核兵器の開発に関しては以下の文言となっています。

「イランは、核兵器を調達も開発もしないことを改めて確認する。米国とイランは、相互に合意されるメカニズムに基づき、備蓄された濃縮物質の処分を解決することで合意した。その最低限の手法は、IAEAの監督下で現地において希釈を行うこととする。」

米国にとっては許容できる内容でしょう。

注目すべきは第一条項です。

条項抜粋

米国とイランおよび両国の同盟国は本覚書に署名することによりレバノンを含む全ての前線での軍事行動を即時かつ恒久的に終了することを宣言する。

今後、相互にいかなる戦争または軍事行動も開始せず、相互に対する武力による威嚇または武力の行使を控え、レバノンの領土保全と主権を確保することを約束する。

最終合意は、レバノンを含む全ての前線での戦争の恒久的終結、および本項のその他の条項を確認するものになる。

解説

米国とイランの間の覚書にも関わらず、最初にレバノンが前面にでてきています。

イランにとっての、レバノンの重要性が見て取れます。

レバノンというよりも、ヒズボラといった方がよいでしょう。シーア派イスラムの政治・武装組織で、イランの支援を受けてイスラエルに対抗する活動をしています。

イスラエルの天敵です。

米国とイランの合意にイスラエルとヒズボラの関係性が挙げられているのです。

これについてNYタイムズの記事を見ましょう。

記事抜粋

締結された米イラン合意は、レバノンがいかにその核心にあるかを浮き彫りにした。

14項目のうち最初の項目では、両国および「現在の戦争における同盟国」に対し、「レバノンを含むすべての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止」を義務付けている。

しかし、米国と共にイランと戦争状態にあるイスラエルも、イランの支援を受けるヒズボラも、この合意に署名していない。

イランは、短期的・長期的な和平合意にはレバノンを含めるべきだと主張している。

しかしイスラエル政府は、レバノン南部からヒズボラを駆逐するための攻勢を継続すると繰り返し述べており、ネタニヤフ首相はそうするよう国内で多大な政治的圧力にさらされている。

解説

ネタニヤフ首相はイスラエル国内の刑事裁判において、収賄、詐欺、背任の罪状で起訴されています。

イランやヒズボラへの徹底攻撃を主張するのは、紛争が終われば、この刑事裁判に直面せざるを得ないからという憶測もあります。

そうであれば、ネタニヤフ首相さえ退任すれば、状況は変わります。

しかし、この記事にあるように「イスラエル国内の多大な政治的圧力」において徹底攻撃を続けているのであれば、首相交代でも問題は解決しません。

レバノン停戦ができずに合意が崩壊する可能性が大です。

それはつまり、米国・イスラエルの強固で特別な関係が崩れたことを明示する事になります。

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image by: Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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