これまでも全国各自治体でたびたび問題となってきた、重大事態いじめを巡る第三者委員会の信頼性。被害者救済のために設置されたはずの調査組織ですが、その「真逆」とも言えるケースがまたも発覚する事態となっています。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、千葉県松戸市で進行中のにわかに信じがたい「調査の実態」を紹介。その上で、真に公正な検証を実現するための課題について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:千葉県松戸市で重大事態いじめ、第三者性がない自称第三者委員会が横行か!?
千葉県松戸市で重大事態いじめ、第三者性がない自称第三者委員会が横行か!?
千葉県松戸市でいじめ重大事態が発生し、現在第三者委員会が調査をしているという。
しかし、この第三者委員会に第三者性が無いという疑惑が生じている。
被害保護者に話を聞いた。
いじめの概要
令和7年当時、小学2年生だった被害男児A君は、B君から「死ね」と言われたり「中指を立てられる」などのいじめ行為を受けていた。
当初は学童で起きていたが、学校は、校外で起きているとして対応を拒んだ。
一方で、学童側は被害男児に「嘘を言うな」などと被害側を注意し、加害を止めずに被害側を攻め続けた。結果、被害男児A君は深刻な適応障害を発症してしまう事態となった。
文科省におけるいじめの定義の扱いは、平成18年(いじめ防止対策推進法施行前)から、「学校の内外を問わない」としており、学校外で起きたことでも、いじめとして取り扱うことになっている。またその通達等は再三、報らされているはずなのだが、学校外の事は知るか!の風潮は教職社会に浸透しており、未だに反発はある。
また、これを理由に知りませんでしたで、逃げ果せる(いじめに対応しなかったことで失職する事例はまずない)と高を括っている傾向は非常に強い。
特に本件では令和8年1月に学校が、被害者A君と加害者B君の導線分離や物理的に出くわさないようにすると約束したのにもかかわらず、ことごとく、これが破られる結果となり、被害者A君は、大人を信用できないというメッセージを暗に受け取ってしまった。
さらに、被害が辛いならば、支援級へ被害者だけ行ったらいいなど、圧力をかけたのである。
その結果、適応障害の状態はさらに悪化し、極めて深刻な症状を発症させることになってしまった。
その上で、松戸市教育委員会は、第三者委員会でいじめの重大事態調査を実施することを決めたのだが。
この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ
全員ほぼ上司部下、そして仲間
本件では、当然に学校の対応は調査対象になる。
しかし、この小学校の校長は、松戸市教育委員会指導課の元課長補佐である。教育委員会側で第三者委員会の事務局を取り仕切る現在の指導課の課長や課長補佐は、現在の校長からすれば、直属の当時の部下(指導主事)であった。
ちなみに、現教育長はこの小学校の校長が課長補佐自体の課長である。
一方、第三者委員会の委員長(5期目)は、これまたすごい。
平成29年、松戸市の女子中学生(当時中1)が「僕をいじめていたいじめっ子、これで反省してね」「いじめっ子に仕返しをしてみたい」と書かれたノートを残し、飛び降り自殺をした。しかし、当時の第三者委員会は、「いじめの事実は確認できない」として、これを無かったことにしたのである。
この時の、第三者委員会の委員長が、本件の第三者委員会の委員長であり、この時、様々な協議に教育委員会の職員として参加していたのが、いじめ問題の担当課であった指導課であった。
そして、上に書いた通り、当時の指導課課長が現在の教育長、本件重大事態いじめが起きた小学校の校長が、元指導課の課長補佐、現在の第三者委員会の一切の取り仕切りの事務局が、現在の指導課の課長補佐、当時の指導主事であった。つまり、全員顔見知りであり、平成29年当時、官製隠蔽ではないかと大いに疑いをもたれても、そのまま押し通した主要メンバーなのである。
平成29年5月29日請願第1号では、解任を求める請願がされていることもわかった。なかなか、ある意味凄いメンバーがいじめの重大事態の調査に当たっているということになるだろう。
被害側提供 過去の請願の実物
学校は恐ろしく強気
本件のいじめ重大事態では、被害側の個人情報が何の許可もなく、加害保護者に住所や氏名が書かれ、診断名などの病状が書かれている診断書の写しを見せてしまっていたり、wiskの結果(特に何の異状も認められない)を第三者委員会に提出してしまったりしている。
許可の求めもなかった被害保護者は個人情報の取り扱いについて校長に書面で問いだしたが、被害保護者が認めたことだから、加害者保護者に見せたのだと書面で回答したのである。
その後、被害保護者は加害保護者らを家から見掛けることが多くなったとのことだ。それまでは、道順などからまずは被害者宅側には寄ることは絶対に近いほどなく、一度も見かけたことは無かったそうだ。
確かに地図上で確認すると、被害者宅は住宅街の袋小路になっており、用事がない人が向かう場所ではなく、地元民が迷うことも無いだろう。
こうした他の地域、他の事件では、処分対象となり報道されてしまいかねない問題を起こしていても、学校長は強気を崩すことは無い。もはや言わずもがな、なのだろう。
この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ
被害保護者や被害者の「助けて」はクレームではない
学校絶対保護主義と言われる教員出身の学者の中には、このようにいう者がいる。
子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、軽い体罰でもすぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、かわいそうな被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そしてクレーマーの保護者。
(引用 「学校崩壊と理不尽クレーム」集英社/嶋崎政男 著)
この主張によれば、このクレーマー、つまり保護者のには、三種の神器があり、それは、1に議員、2に人権と法曹関係者、3にマスコミ関係者なのだそうだ。
ただ、これだけは忘れ欲しくはない。
いじめの被害者は加害者の選択によって選ばれ、実行力として何らかの危害を加えられるのである。それも何らの要因がないケースが多い。仮になにかのキッカケがあったとしても、その対応手段に犯罪行為を含むいじめ行為を選択したのは加害者なのである。
理不尽な暴力から「助けて」というのが被害側の主張の主体であって、それは断じて教育組織への批判ではないのだ。
一方で、教育業界の一定層が、クレーマー、三種の神器だとみていることはよくわかったが、こういう考えが主流なのであれば、学校は、一寸先は闇地獄、やられ損の加害者天国になることは火を見るより明らかだろう。
いつまでも、悲惨ないじめ事件が起き、いつも厳正な真の第三者委員会が、学校や教育委員会や学校法人に、未だにいじめ防止対策推進法を理解していないと強烈に非難するのは当然であろう。
被害側提供 過去のいじめ事件の諮問書
皆さんはどう思うか
調査をする側の長が調査対象の元上司、調査をする側の事務局が調査対象の元部下、関係者は元同僚で、調査を行う人は調査対象の盟友という状態。
これは、当時の開示資料や職員一覧表など公的な資料から証明できるものだから、仮にそうであれば、という前提はなく、事実である。
これを第三者委員会であるという松戸市であるが、これ読む皆さんはどうジャッジするであろう。
私は、これはさすがにアウトだと思うのだが、皆さんはどうだろう。
松戸市は市長部局でもいじめ問題に対応するのだとして、こども家庭庁に助成してもらって、成果がありましたと事業報告をしている。
そこまで力を入れているのであれば、きっと、まともな思考の持ち主もいようと思うが、これが正されることはあるのだろうか。
現在の第三者委員会はどうやら動き始めたばかりのようだが、被害者支援を通じ、ウォッチしていきたいと思う――(『伝説の探偵』2026年7月9日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方はぜひご登録ください。初月無料でお読みいただけます)
この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ
image by: 千葉県 松戸市役所 - Home | Facebook