イラン戦争とウクライナ戦争、そのいずれにも核保有国が関わり、指導者が核兵器の使用を仄めかす事態となっています。原油価格は200ドルへ向かう可能性があり、米国の戦略石油備蓄は残り40日分と45年ぶりの最低水準です。プーチン大統領が追い詰められれば、戦術核に手を伸ばす危険も否定できません。『国際戦略コラム有料版』では、著者の津田慶治さんが、中東とウクライナの最新戦況、円安と財政運営に揺れる高市政権の危うさ、そして核戦争を前提に日本が今から備えるべき戦時経済のあり方までを読み解きます。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです
世界的な「核戦争」の危険性
イラン戦争、ウクライナ戦争共に、核を持つ国が関わり、かつ指導者が核兵器の使用を仄めかしている。今後を検討しよう。
先週、米国の株価は200ドルの下落。原油価格は85ドルで、イラン戦争再開で、有事のドル買いになりドル高になっている。米国には残り40日分の備蓄原油しかなく、45年ぶりの最低水準。このまま、中東での原油供給がなくなると、原油価格は100ドルを越え、200ドルになるかもしれない。
もう1つ、中国がAIをオープンソースにして、国際公共財化するという。アンソロピックのクロードに匹敵するムーンショットのKimi K3が出てきて、巨額のAI投資回収ができるのかという疑問が起きている。このため、NASDAQは下落が止まらない。
これに関しては韓国KOSPIの株価が暴落しているが、120万口座で追証が出たことによるという。
物価高で年収1000万円でも貧困
米国では過去7年でコーヒーは127%、牛肉79%、卵72%、ガソリン60%、電気44%増と生活必需品が大幅に上昇している。インフレ率が低下しても下がるのは値上がりの「速度」であり「価格」ではない。価格は上がり続ける。物価安定を語る政府と生活が苦しくなる米国民がいる。
このため、年収1000万円でも貧困家庭になっている。そのうえにイラン戦争である。しかし、株式市場は、イラン戦争を無視した状態を続けている。
この戦争の経費は1.15兆ドルも必要であり、この経費を関税で補おうとしている。当初はホルムズ海峡の航行護衛費を取ろうとしたが、世界から批判を浴び、それを止めた。
このため、トランプ氏は、強制労働に関する懸念から新たな関税を発動することにした。60か国・地域からの輸入品に10~12.5%の新関税を課すことで、戦争経費を賄うようである。初めてロシアに関税を課すようだ。
もう1つが、「相互関税」を無効と判断され、その後、政権は10%の追加関税を課したが、24日に失効が決まっているため、USTRは新たな関税のしくみにした。
日本は80兆円の投資をするので優遇措置を受けるはずが、それも無視されている。トランプ氏は、この約束を覚えていない可能性がある。
この他に、カナダには追加関税50%も加わるし、EUに対しても「デジタル市場法(DMA)」や「デジタルサービス法(DSA)」などの規制で米企業を差別していると追加関税50%を検討している。
米国国内に日本企業は入り込んで、関税障壁を利用したビジネスを行う必要がある。日本製鉄のUSS買収は、良い事例だと思う。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
イラン戦争の現在
イランの弾道ミサイル攻撃で、米兵が3名死亡したが、これに対する報復攻撃を11日間も続けている。この攻撃に対して、イランも報復攻撃をして、戦闘が拡大している。この中には、アマゾンのバーレーン中央データセンターを破壊したことも含まれる。
このため、カタールは、緊張を緩和するため、10日間の停戦とホルムズ海峡の船舶制限の解除という提案をイランと米国にしたが、イランが拒否した。
トランプ氏の度重なる核攻撃の脅しから、イランはナタンツ近郊に強固に要塞化されたピッケール山の奥深くのトンネル内に、数千基の核遠心分離機を移設したようである。この施設でウラン濃縮を継続して、核兵器化するようである。米軍はバンカーバスターで攻撃したが到達不可だったようである。
11日も継続して攻撃した結果、米当局者は、「補給不足と戦闘被害のため防空ミサイルと長距離弾薬が十分にないため、作戦を安全に持続することができずにいる」という。このため、12日目の攻撃を中止した。
しかし、トランプ氏は23日、イランに対し「大規模な攻撃を検討している。かつてないほどの規模だ」と明らかにした。この攻撃を行うために、輸送機を米国から英国に飛び、その後、中東に向かっている。
そして、英国のバーナム新首相は、米国によるイラン攻撃のための英国RAFフェアフォード基地使用を承認した。
だが、トランプ氏は、米軍に24日金曜夜のイランに対する「大規模攻撃」を実施しないよう命じた。これは、オマーン代表団がホルムズ海峡の再開に向けた協議のためテヘランに到着したことで、期待したからのようだ。
同時にイエメンのフーシ派は、紅海の出口のバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖した。これに対して、トランプ氏は21日、フーシ派が紅海の封鎖に踏み切れば、米国は「対応せざるを得ない」と警告した。これに対して、フーシ派は、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖していないとし、海上封鎖の対象はサウジのみであるという。
米国とアラブ諸国は、イスラエルが今回の戦闘に加われば紛争が制御不能に陥ると懸念して、イスラエルの戦闘参加を抑えている。米軍は多くのKC-135R空中給油機をイスラエルに置いている。防空ミサイルをイスラエルに配備したようであり、かつイランの攻撃を受けないようにしている。
イランが核兵器を持つ方向であるので、米国とサウジが、原子力技術共有協定を正式に締結した。米企業による原子炉建設が可能となるが、サウジによるウラン濃縮を認めることにもつながるが、「アブラハム合意参加」が条件であり、イスラエルとの国交正常化が、必要になる。
トランプ米大統領は23日、ペルシャ湾およびその周辺で船舶などが攻撃による被害を受けた場合、米国が管理するイランの凍結資産で補償すると表明した。
イランは、米国戦略石油備蓄(SPR)の在庫が8月中旬までに危機的な水準まで低下し、原油価格が約120ドル/Bに達するのを待って、取引を開始するようだ。そうすれば、最終的にトランプ氏はイランの条件を受け入れざるを得なくなると読んでいる。
7月26日朝9時現在の状況であり、非常に早く事態が動くので、X等で事態の推移を追いかけてください。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
ウクライナ戦争の現在
ウ軍のシルスキー軍総司令官が、ゼレンスキー大統領によって解任された。国民からの人気が高いフェドロフ国防相との対立が公になり、国内各地でシルスキー氏に対する大規模な抗議デモが展開されていた。総司令官の交代は2年5カ月ぶりで、後任にはドラパティ統合軍司令官が就く。
ウクライナ国民が最も信頼する指導者の調査で、
1位:ヴァレリー・ザルジニー — 70% 2位:ミハイロ・フェドロフ — 65%(わずか1週間で30%上昇) 3位:キリロ・ブダノフ — 62% 4位:ウラジーミル・ゼレンスキー — 59%
最も顕著な変化は、ミハイロ・フェドロフへの信頼度の急上昇だ。わずか1週間で支持率は35%から65%に跳ね上がった。一方、オレクサンドル・シルスキーへの信頼度は39%から23%へと急落した。
それと、ロシア衛星の情報でイランが中東で米軍人を標的にしているとの報告後、米国内の右翼からウクライナ支援に大きな支持を得始めている。米国が本格的にウクライナ支援になり始めている。
戦火では、ウ軍は、ロシア国内のもう一つの大規模なワイルドベリーズ倉庫を破壊している。
このため、ロシアは、国民総動員の準備をしている。プーチンは、戦争に勝っているというが、勝っているはずの国が、「誰もが祖国を守るべきだ」というスローガンの下、当局は現在、女性、年金受給者、障害者、そして基本的に奉仕する意思のある人なら誰でも──年齢、性別、健康状態を問わず──徴兵することを提案している。
第2次世界大戦の敗戦間際の日本を思い出す展開になっている。しかし、気を付けなければならないのは、プーチンが負けそうになれば、核兵器を使う可能性が増すということである。水爆は使えないが、戦術核兵器なら、キーウ全体を破壊できる。
特にトランプ氏やネタニアフ首相が核兵器でイランを攻撃したときは、ロシアはウクライナを核攻撃する事になるということである。
この時には、正当性を確保できるからだ。
日本の状況は?
高市首相は、骨太の方針を発表したが、円安が加速する方向であり、支持率も50%割れになって、国民もインフレ加速により生活レベルが下がり、当初から心配していた通りになっている。
メリハリをつけるべきで、議員数の削減は行わず、新幹線建設も高速道路建設も成長戦略も全部を行うほど、財政的な余裕がないし、投資家からの目にどう映るかという視点がないことで、「責任ある積極財政」ではなく、放漫財政と見られているようだ。
経済は、論理ではなく心理学であるという原則を政権の裏にいる評論家は、肝に銘じることである。
このため、円ショートになって、円安が進行している。これを止める為替介入もできない。外貨準備の米国債の売却をベッセント財務長官から止められているからだ。このため、GPIFの資金で円買いを行いたいが、GPIFも急には配分の見直しができない。
もう1つ、10年国債の金利が上昇して、円安を止めることより、金利上昇を止めることが優先度で高く、そちらにシフトしたことで、円安を止める方法がなくなっている。
そうしたら、高市首相は、内閣改造と党役員人事の検討に入るという。実施時期は8月や9月だという。どうなるかだが、経済の見方を変えないといけない。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
世界平和の構想(核戦争を前提にした政策)
ここまで来ると、最終戦争に備えて、日本が実施する政策を考えることである。
南シナ海での中国の領土主張に対して、ASEAN諸国など14カ国が反対を表明したことで、中国の正当性は大きく傷付いたようである。そして、王毅外相はASEAN外相会議に出ずに、上海機構の会議に出席するために飛び立っている。
中国はASEAN諸国より中央アジア諸国の方が重要のようである。理由は、シーレーンよりランドラインの方が中国にとって重要なのである。
経済的な苦境にある中国は、ASEANに対する援助がなくなり、多くの国で中国から日本に支持を変えたことで、そうなっている。カンボジアでも日本との防衛協力協定が結ばれるように、中国離れが進んでいる。
レアアースでも、マレーシアなどが生産をして、中国のシェアを落とす方向であり、中国に生産が偏っている品目の生産を日本や日本以外でおこなうように持っていくことである。
中国が、サプライチェーンを武器にすることを止めることである。
しかし、核兵器が使われると、連鎖的に核戦争が拡散することになり、これを止める手段を持つ必要がある。ビーム兵器が必要な理由でもある。
それと、核のチリで世界の気候が大変動することになり、農産物の生産ができなくなる予感がする。このためには、コメなどの備蓄を増やすことであり、現状、卸売の倉庫に売れずに在庫されているコメを政府が買い上げることだと思う。
コメ価格を安定的にして、安いコメでも3000円程度にするように、備蓄米も利用して、調整する仕組みを作ることである。統制経済を行う必要がある。戦時経済に移行する必要がある。
それと、核攻撃で生き残った人たちを救援する仕組みと日本への移住を考えておくことである。日本しか受け入れ先がなくなるように見える。食糧不足時に自国民以外を受け入れられないということである。コメの備蓄があれば、日本は食糧不足にはならない。
事前の準備をして、世界を助けるのが日本の使命だと思う。日本から救世主が世界を救うというが、その準備を行うことである。高市首相の役目でもある。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2026年7月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ
image by: Tayibaa / Shutterstock.com